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爆風(破片を除く)の威力は距離の三乗に反比例するという記述を見るのですが、根拠はどういったものでしょうか。 そもそも"威力"というものをどう数字にするかという問題もありますが、よろしくお願い致します。 http://ansqn.warbirds.jp/logs-prev/B001/B0003102.html せつ |
- 爆薬/火薬が燃焼すると大量の燃焼ガスが発生します。
短時間で大量の燃焼ガスが発生するので、そこだけ密度が高まり、気圧が上昇します。
燃焼ガスは気圧の低いほうへ移動しようとします。これが爆風です。
爆風の勢いは燃焼ガスの気圧と周辺の気圧の差に比例します。つまり、密度の差が爆風の勢いになるわけです。
密度=質量(ここでは燃焼ガスの量)/容積(燃焼ガスが充満している空間の広さ)
なので、燃焼ガスが広がる→燃焼ガスが充満している空間の容積が広がる→密度が低下する→威力が低下する・・・というプロセスが生まれます。
爆発地点からの距離が2倍になるとすると、容積(燃焼ガスが充満している空間の広さ)は2倍の三乗に比例して大きくなるので、燃焼ガスの密度は2倍の三乗に反比例して小さくなります。
つまり爆風の威力も2倍の三乗に反比例して小さくなるわけです。
実際は燃焼ガスの温度と周辺大気の温度も影響するし、障害物の影響もうけるので、正確に距離の三乗に反比例するわけではありません。
おうる
- ありがとうございます。
そのとき、容積内の圧力は半径が変わっても相似である、と考えてよいのでしょうか。
極端な話、燃焼ガスの圧がすべて境界面の一定厚さに集中したなら二乗反比例になります。
せつ
- 参考程度にみて貰えるとありがたいです。
「距離の三乗に反比例する」というのは、
http://www.dgp.toronto.edu/~neff/papers/BlastThesis.pdf
に記載のBrode equationsの一式である(2.20)式が独り歩きしたのではないかと考えています。ただし、この式の適用範囲は爆風圧が10bar以上と極めて高い領域です。(クレーターができる条件ならばクレーターの中心付近かと。)あまり使う領域ではありませんね。
実際に適用されるような範囲ではは3乗反比例どころか、>>2で言及なさっているような2乗反比例ほどにも減衰しません。↓のサイトのPmaxでお試し下さい。
http://explosion-safety.db.aist.go.jp/damage.html
https://www.pref.hiroshima.lg.jp/uploaded/life/204413_377652_misc.pdf
>>2はいい所に目をつけられたと思いますが、なぜ2乗反比例にならないかを考えますと、爆風被害の指標Pmaxは静圧なのだからだと思います(蛇足を書くとゲージですね)。ベルヌーイの法則でも保存されるのは全圧ですので、2乗反比例になるパラメータがあるとすれば全圧かもと予想します(あくまで予想です)。
また、↓の資料を見てもらえると、圧力が小さくなると、静圧に比べて動圧がガタ落ちしているのが分かるかと思います。
http://www.jsce.or.jp/committee/st/kajuu/documents/guideline/style/ap_sample.doc
このため、爆風被害の指標とされるPmaxは2乗反比例ほどにも減少しないのでしょう。
多分に推測やおかしな例もあったと思いますが、ご容赦下さい。
太助
- 威力の定義によると思います
距離の三乗で反比例するのは爆風が広がるためのエネルギー
距離の二乗に反比例するのは爆風面の圧力
例えばあるものを吹っ飛ばしたければ爆風にそれを動かすエネルギーが必要
窓ガラスを割るならガラスの耐える圧力以上が必要なる
Tu
- >>3
専門的な資料を複数ありがとうございます。二乗よりも一乗に近いのは意外でした。
>>4
広がるためのエネルギーとはどういったものでしょうか
せつ
- 付け加えると・・・爆風にも慣性が働くことが影響してます。
高性能爆薬や核爆弾のような極端に高い爆発力によって大気が拡散すると、爆心地は瞬間的に負圧(真空に近い状態)になります。
これは爆発によって吹き飛ばされた大気(爆風)に慣性が働くためで、慣性を考えずに静圧のみで数学的に考えると距離の二乗の反比例で減衰するはずなのですが、爆風が慣性によって外側へと移動し続けるので実際には数式通りにはなりません。
蛇足ですが・・・この場合、爆風の運動エネルギーがある程度減衰すると、爆心地の負圧によって大気が引き戻されて、逆方向の爆風が発生します。きのこ雲の発生は、この逆方向の(爆心地に向かって吹く)爆風の影響によるものです。
おうる
- 二乗反比例にさらに内側から押されて圧縮される、というイメージですかね
キノコ雲は浮力によるものだと聞きます。それともどちらも寄与するという事でしょうか
せつ
- >>5
>広がるためのエネルギーとはどういったものでしょうか
爆風のもつ運動エネルギーです
逆説的になりますがダイナマイト等で何かを破壊したい場合の必要量の計算では
破壊対象の体積に比例します、体積ですから距離(長さ)の三乗と等価です
ダイナマイト等の破壊メカは発生したガスが膨張することによるので膨張を
止められた時点で破壊は終了となります、爆風も同様に考えられませんか
Tu
- 質問文には書き忘れていましたが、物体の内部に挿入して粉砕するのではなく、間に空気があり離れた場所にある物体を破壊することを想定しています。
せつ
- >質問文には書き忘れていましたが、物体の内部に挿入して粉砕するのではなく、間に空気があり離れた場所にある物体を破壊することを想定しています。
同じでないでしょうか、破壊対象の途中にある物質が空気であるかないかだけの違いで
均一でない層状の物質の破壊と同じで空気のパラメータを与えるだけです
このように考えると爆雷の効果にも適用できます
最初に戻りますが爆風の威力を運動エネルギーとすると均一物質中ならば運動エネルギーは距離の三乗に反比例する、根拠は単なる幾何です。これで>4へですかね
Tu
- 爆風は空気を一定細かさに破壊しながら進んでゆくのでしょうか。
もし反対側にコンクリートなどがあれば
(コンクリート-空気-空気-爆薬-空気-空気-空気-対象)
そこでエネルギーは大きく消費され対象の被害は低減されますか。
せつ
- >>11
>爆風は空気を一定細かさに破壊しながら進んでゆくのでしょうか。
破壊するのは衝撃波です。
爆風は基本的には「押す」だけです。
衝撃波も爆風ではあるんですが、爆風のすべてが衝撃をもたらすわけではありません。
>もし反対側にコンクリートなどがあれば
>(コンクリート-空気-空気-爆薬-空気-空気-空気-対象)
>そこでエネルギーは大きく消費され対象の被害は低減されますか。
低減はしません。
コンクリートで反射した衝撃波が第二波として対象に届き、破壊力が増します。
また、コンクリートによって爆風の拡散経路が制限されるので、対象にかかる爆圧(爆風の圧力)も高くなります。
おうる
- >>3の、二乗よりもさらに低減しにくい、で解決とします。
せつ