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AIM-9やAIM-120などのスペックを見ると最高飛翔速度マッハ4などとなっていますが、マッハって言うのは高度によって違い絶対的な速度単位ではないと思います。 実際通常の航空機だと高度〜〜でM○という書き方をしていますが ミサイルなどはそうなっていないようなんですが何か理由があるのでしょうか? ROCKS |
- パンフレットなどの数字を何も考えずに書いているからです。
もう少し補足すると、ミサイル(AAMやSAM)は速度制御をしていない(できない)ので最高速度は発射条件(発射速度、高度など)によって変わります。(母機の発射速度がそのままミサイルの速度に加算されると思ってください)
しかし、その速度が出るのは一瞬で、最大射程の命中時なんかでは、マッハ1くらいまで落ちます。
つまりAAMにおいては最高速度に意味がなく、そのためカタログにも概算値
しか書いていません。
(ASMやMETEORなんかは速度制御しているので、上記と話が違います。)
taka
- 公開されていない情報は、詳しく書きようがないからではないでしょうか。
例えばAIM-120の最高速度はMach 4とされることが多いかと思いますが、おそらく情報元はこのあたりかと思います。
http://www.nationalmuseum.af.mil/factsheets/factsheet.asp?id=1006
一方でこれも空軍のサイトですが、
http://www.af.mil/AboutUs/FactSheets/Display/tabid/224/Article/104576/aim-120-amraam.aspx
射程はある程度の記述はありますが、速度は以下の通り。
Range: 20+ miles (17.38+ nautical miles)
Speed: Supersonic
とぼかされています。
http://www.navy.mil/navydata/fact_display.asp?cid=2200&tid=100&ct=2
海軍に至っては
Speed: Classified
に指定されてますね。
つまりは最高速度って重要なんだと思います。
最高速度は sustainer で結構持続するのかもしれませんしね。
http://forums.eagle.ru/attachment.php?attachmentid=104165&d=1410108839
こんなサイトもあります。もっとも、このシミュレーションは推力がDTRM(Dual Thrust Rocket Motor)になっていないようにも見えるので、実際とは違うのではないかと思いますが。
太助
- ミサイルの最高速度は、ある程度の目安です。
1> 小生の知識では、ミサイルの最高速度は、「発射母機の速度+ミサイル本来の速度」ではなく、発射母機の速度は無関係の方が正しいと思われます。50年ほど前の技術で開発されたAIM54Aフェニックス+F14のシステムでは、発射されたフェニックスは距離を稼ぐため予めのプログラムにのっとって一旦上昇し、目標の未来位置に下降しながらマッハ5で急降下するそうです。またこの急降下の際には、内蔵する発電機で発電し、レーダにより目標の捜索を行うそうです(また、必要に応じて、母機からの誘導をも受けるそうです)。即ち、最高速度はマッハ5です。
あれから50年近く経過しています。AIM−120であろうが、AIM−9であろうが、発射の際には母機からミサイルに敵機の未来位置のみならず各種のデータの入力がなされ、そのデータに基づいて最適な飛行を行う様になっていると思います。従って、最高速度について細かい条件を公開するとまずいことが生じ得るため、あくまでも目安、参考として概略、大まかなデータを公開していると思われます。なおこれは、射距離や射程についても同様と思われます。(但し、小生の推測です)
UK
- >2
参考ですが、
DTRM(Dual Thrust Rocket Motor)でも燃焼時間は30秒も持ちません。
なのでダクテッドロケットが開発されてます。
>3
ミサイルの推進装置が何か考えてみましょう。
固体ロケットモータで推力制御できるものは、現用では実用化されてません。そのため、速度制御できるわけがないんです。
「発射母機の速度+ミサイル本来の速度」になるかどうかは、計算してみれば
すぐにわかります。
なお1でASMやMETEORを除いたのは、推力制御可能な推進装置だからです
taka
- 4> 射距離を稼ぐため最初にかなり上昇しているので、目標近くでの降下の際には位置のエネルギーが速度として転換されます。このため、空気の薄い成層圏では、最終速度はかなり早くなると思います。但し、このマッハ5と言う値も大凡でしょう。
発射母機の高度や目標の高度によってもかなり相違すると思います。
また、少なくともAIM−54については、目標近くではロケットモータそのものは燃え尽きていると思います。
なお、最適な飛行とは、飛んでいく方向、水平線に対する(上昇)角度、飛行中のフィンによる制御等をも含む概念として用いています。
UK
- >5
ミサイルの最大射程は命中時の速度が一定値以上の範囲を指します。
もちろんAIM-54で最終速度がM5になるポイントもあるでしょうが、
それだけ速度が残っているのであれば、もっと遠距離で攻撃ができます。
ちなみに、それだけ最終速度が残っている範囲はNo Esape Zoneと言い、
飛行機が機動で回避不能な範囲とされ、最大射程とは区別されています。
taka
- >>4
30秒という数字がどこから出てきたのかは知りませんが、まあ仮に sustainer が30秒間持続するとしましょうか。AIM-120の速度をMach 4 → 1200m/s 程度とすると、1200m/s x 30s = 36km の間は Mach 4 を維持できる可能性があることになります。この 36kmという距離は>>2に添付した空軍のサイトに記載されている「Range: 20+ miles (17.38+ nautical miles) 」を上回るくらいなんですね。つまり、空軍がいう「Range」内では最高速度が維持される→標的に命中する時の速度もMach 4 あたりになるような運用が推奨されている可能性もある訳です。
可能性、可能性と仮定の話が続きましたが、実際は最高速度と(最低)要撃速度がおおきく異なる場合もあることも追記しておきます。あくまで>>1の断定的な書きように対する対論としてお読みいただけたら幸いです。しかしAIM-120のDTRMは実際のところどの程度持続するのか、>>4では30秒ももたないと書き込みされていますが、その論拠はどこにあるのかも気になるところです。
太助
- >7
燃焼時間について
一般的なHTPBの燃焼速度が1cm/s程度(ブースト時)なので、
普通に燃やせば、胴径7インチであれば断熱材の厚みを考えると
推進薬の厚みは7〜8cmと推定。
なので普通に燃やせば、7、8秒で燃え尽きます。
サステナフェーズであれば、燃焼圧を落としてるんで2〜3倍
燃えるとしても、30秒も燃えないでしょう。
実際はブースト用に半分以上使うはずなので、サステナで10秒も持てば
いいとこと思われます。
taka
- >>8
なるほど、
http://www.tpub.com/gunners/221.htm
このサイトの Figure 9-22.-Cutaway view of a dual-thrust rocket motor.のようにモデル化したんですね。
一方でDTRMには別の構造もあるんですよ。
火器弾薬技術ハンドブック(2012年改訂版)のP.688にdual thrust motorとして記載がありますが、
http://www.tpub.com/gunners/221.htm
このサイトの Figure 9-21.のBとAを組み合わせた構造です。 boost時は主としてB(径方向へ燃焼)が行われ、 sustain時はA(長軸方向へ燃焼)が行われます。
AIM-120がどちらの構造を採用しているのかは調べていませんが、>>8の想定よりも長く燃焼が持続する可能性もある訳です。
太助
- AIM-120シリーズでロケットモーターに大きな変更があったのは、推進ロケットモーターの大型化(長さ方向)を行ったAIM-120C-5からではないかと思います。
運用中のものでは最新型に近いC-5モデルでもロケットモーターはDTRMではないブースト・フェーズのみのタイプと思っていましたが、DTRMなんでしょうか?
DTRM(これ自体昔からある方式ですが)にすると一般的に射程は増大するものの加速度や最高速度は減少しますね。
いずれにしろ地対空や空対空の対空ミサイルの固体燃料ロケットモーターにとって30秒などと言う燃焼時間は大変長い部類で一般的には10秒程度のものが多いと思います。それでもMach 4〜5位には加速させられるので、ロケット燃焼終了後の数十秒間を慣性飛翔しても最大射程は数十〜百キロメータークラスになると思います。
太助さんがDTRMと言っているのは開発・試験中のAIM-120Dの話なのでしょうかね。
Dモデルは最大速度Mach 4で97nm(180 km)の最大射程を狙っているという話もありますので、推進系が更に変更されている可能性もありますね。
だとしたら従来からあるDual Thrust Rocket Motor技術だけでなく近年のDual-Pulse Rocket Motorの技術なども盛り込まれているのかもしれません。
MK@2004-
- >>10
http://www.dtic.mil/dtic/tr/fulltext/u2/a142508.pdf
これなんかどうでしょうか。
AIM-120の項目に
PROPULSION-Boost Sustain reduced smoke
と記載されていますが。
太助
- >11
紹介されている誘導武器類のpdf資料は、一覧表的にまとまっていて大変参考になりますね。
1984年1月の資料として少なくともAIM-120A/BはDTRMみたいですね。
一般向け公開資料ということからか、やはりAIM-120のロケットモーターのBoost時とSustain時の推力や秒時の数値は表示されていませんね。
DTRM使用のAIM-7などに比べて発射後の加速性がずっと良く見えるAIM-120は、同じDTRM方式と言ってもかなり違っているのでしょう。
MK@2004-
- AIM-120C-5からはWPU-16/Bというタイプになり、DTRMではなくなっているようですね。(>>2に挙げたシミュレーションサイトは正しかった。)
http://cms.atk.com/SiteCollectionDocuments/ProductsAndServices/B-AIM-120-AMRAAM-14-S-1234.pdf
http://enu.kz/repository/2011/AIAA-2011-6941.pdf
てっきりC型はSustain時間をのばして射程も延長しているものと思い込んでいましたが、思い込みとは怖いものです。もしかしたら、C型の方がA/B型よりも射程が短くなっている可能性すらありますね。制御翼を縮めた空力的影響が、世間の噂よりも大きいのかもしれません。
太助
- >13
この紹介されている資料2件もなかなか興味深いですね。
以前私も見たような気がするのですが、どうも記憶が曖昧いと言うか、忘れてしまっていたようです。
AIM-120に限らず同じモデルでも時代やバージョンによってロケットモーターの推進剤や燃焼方式も変わっている場合が少なくないようですね。
AIM-120C-5〜C-7/AIM-120DのロケットモーターはWPU-16/Bと言うことで基本的には同じものみたいですね。
AIM-120C-5のロケットモーターは大型化していることもあり、推進剤の改良や充填率の向上などによる推進エネルギーも増大しているのではないかと思います。
同じロケットモーターと言えばAIM-9MとAIM-9Xのも同一と言うことで、9XにはTVC用の可動ベーン機構が付加されていますが、弾体のロール制御や操舵の方式変更等による空力抵抗の大幅減などもあってAIM-9XはAIM-9Mより大幅に射程が延びていますね。
弾頭やレーザー近接信管、ロケットモーターなどが共通と言うこともあってAIM-9Mの最終バージョンあたりは、改修キットでAIM-9Xへ変更されたものが結構多かったのではないかと推定しています。
最新型のAIM-9X-2(AIM-9X Block II)は、AIM-9X-1の更なる改良型ですが、新型の信管の他に発射後の指令を可能とするデータリンク機能も付加されますね。
日本のAAM-5改の開発・試験も進んでいるようですが。
MK@2004-
- ...かなり本題からずれましたが、technical documentationも供給品のなかに入ってますね。
この中でspeedがどのように記載されているか(高度や気象条件が付記してあるのか、Mach表記か絶対速度表記かなど)、防衛省に尋ねてみるのも一興でしょう。数字は教えてくれないと思いますが、記載方法くらいは明かしてくれるかもしれません。
http://www.dsca.mil/major-arms-sales/japan-aim-120c7-amraam-missiles
太助