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戦術データリンクについての質問です。 データリンクのプロトコルとして代表的なものにlink-16(Jシリーズ)とVMF(K-シリーズ)があると思いますが、この二つのプロトコルの相互運用性はどの程度あるのでしょうか? とある資料では「VMF/IDMとlink-16はデータエレメントを直接やりとりすることが可能」とあるのですが、 一方では「ノースロップグラマンがB-52にCLIP(Common Link Integration Processing)システムを導入し、これによってVMFとlink-16のデータフォワーディングが可能になった (=特別な装備が無ければVMFとLink-16の直接の通信は不可能)」とあったり、 実際のところどうなのかよく分かりません。 私が調べた限りでは、双方の方式の違いとして ・J-シリーズはデータ交信の度に225ビットのデータ内容すべてをアップデートしている。 ・K-シリーズは新たに更新された情報のみをアップデートしている。 という事で、データのやり取りの仕方が違う以上、完全な互換性があるとは思えないのですが・・・。 そもそもIDMをポン付けするだけで完全なlink-16との連接が可能なら、わざわざ費用をかけてMIDSの搭載改修をする意味が無いような気もしますし。 どなたか是非ご教授ください。よろしくお願いいたします。 AAA |
- このあたりをご覧になったんでしょうか。
http://www.idlsoc.com/Documents/Symposiums/IDLS2007/IDLS2007_VMF.pdf
小生もよくわからないので、コメントをつらつら並べることになりますが、
(1)VMFのヘッダ情報のなかにメッセージフォーマットを規定しているようなフラグ(UMF)があるのですが、そのフラグでVMFフォーマットとLink-16フォーマットを切り替えることが出来そう。
→VMF/IDMはLink-16フォーマットも使えそうだ。
→VMF/IDMはLink-16にクライアントとして参加出来るのではないか、という推測ができます。
ただし、
・VMFネットワークの他のユニットからの情報をLink-16ネットワークに転送するかどうかは分かりません。つまり、Link-16ネットワークには、(VMFネットワークの一員としてではなく)機器単体として連接する可能性があります。
・Link-16ネットワーク側からVMFネットワーク側に、積極的に連接することはできない。つまり、ネットワークを連接するかどうかはVMF側の意思次第ということになるかと思います。
(2)一方でCLIPはゲートウェイのようですから、Link-16ネットワークとVMFネットワークを文字通り連接し、ひとつの大きなネットワークとして情報共有できるものと思います。
(3)IDMをポン付けすることですまない理由の全てはわかりませんが、少なくとも通信速度は純正品に比べて落ちるのではないかと思いますよ。
ご質問の「相互運用性」に関していえば、
「VMF/IDMは母国語だけじゃなくLink-16語も使えるよ。ただし、自分のことは伝えられるけど、他人の通訳できるほど流暢じゃない?」
「Link-16は母国語しか使えません?VMFに話し掛けるなんてとんでもない?」
「CLIPは専門の通訳です。Link-16とVMFの橋渡しをします。」
というぐらいかと推測します。
長々と駄文失礼しましたが、正月ということでご容赦下さい。
太助
- >太助様
早速のご回答、誠にありがとうございます。
資料についてはまさしく太助様がご提示されたもので生じた疑問でした。
質問時にこちらから提示するべきでしたが、失念してしまい申し訳ありません。
ご教示頂いた内容は、例えも含めて自分のような浅学の者でも分かりやすく、大変参考になります。
つまり、VMF/IDMは(VMF側がクライアントとして要求を出せば)単体としてならLink-16ネットワークに参加する事は可能。
ただしLink-16側から積極的にVMF/IDMを取り込むことはせず、またネットワークとしてのVMFをリンク16と連接するには特別な処理が必要。
加えて、IDMが単体としてリンク16に接続できたとしても(JTIDSやMIDSに比べて)通信速度などの面で能力が限定される。という事なのですね。
年末年始の時期にのどにひっかかっていた疑問が気持ちよく解消され、思わぬお年玉を頂いた心地がします。
重ね重ね、丁寧な回答をいただき、本当にありがとうございました。
AAA