409 今度は、高角砲について質問させていただきます。
先日Mk 12 5インチ砲の性能を知りました。
そして「四五口径十年式十二糎高角砲の発射速度を少し上げればMk 12 5インチ砲の性能を超えられるんじゃないか?」と思いました。
四五口径十年式十二糎高角砲の欠点は、発射速度の低さですがこれはおそらく半自動装填装置を採用されていないため発射速度が低いのだと思います。
そこで質問ですが半自動装填装置を採用させるなどして発射速度を向上させることは、当時(1929年頃)の技術力では不可能だったんでしょうか?
shadow

  1.  そりゃ89式12.7高作れるんですから、可能か不可能かでいうなら可能でしょう。
     射撃速度上げて、運動性上げて、仰角増して、自動調停つけて、同じ弾薬包重量の中で想定交戦範囲内での最適の効率を求めた結果が89式や98式であって10年式の改良ではなかったという点を考えていただければ、有益な行為ではないと結論付けるしか無いでしょう。
    SUDO

  2. おそらく、十年式十二糎高角砲の最大射程が八九式十二糎七高角砲よりも大きな数字であることからこのような質問を考えられたのだろうと思います。
    しかし・・・・・・、ということですね。
    高角砲の発射速度が低いと何が問題かというと、空中に高密度の弾幕を形成出来ないことです。弾幕の密度を上げるためには、発射速度を上げるだけでなく、砲弾一発一発の毀害半径の拡大も必要であるわけです。
    「四五口径十年式十二糎高角砲の欠点は、発射速度の低さ」だけでなく「毀害半径も」だった、と見なされて八九式十二糎七へ、さらに九八式十糎へと更新されていっているのです。



  3. >2
    では、毀害半径を向上させ初速と生産性を維持しつつ艦艇に装備可能な高角砲を開発することはできなかったんでしょうか?
    shadow

  4. >3
     89式や98式は10年式とほぼ同じ重量の完全弾薬包です(弾丸と薬莢と装薬のセット)この重量を装薬(発射薬)と弾丸重量のどちらにどれだけリソースを割り当てるかが、10年式、89式、98式の差であるともいえます。
     つまり高初速と大危害範囲は、弾薬包の重量条件が同一である限り両立が難しいのです。
     分離弾薬包にする等で重量の制限を撤廃しないことには飛躍は無理でしょう。
    SUDO

  5. >4
    分離弾薬包を採用することは、不可能だったんですよね。
    もし実現可能であればとっくに採用してもいいわけですし。
    shadow

  6. 初速を上げるにはもうひとつは砲身長を延ばすことでしょうが、そうすると砲身重量が重くなって取り回しが鈍ります。
    八九式十二糎七高角砲というのは、それまでの十年式十二糎高角砲が比較的低高度をやって来る雷撃機に対するものだったのに対し、高度6000m付近で来襲する急降下爆撃機に対するものとして作られています。それゆえ、十年式十二糎高角砲が高仰角で発射速度が甚だしく低下するのに対して、高仰角でも発射速度を維持し、見た目の角速度移動量が大きい敵艦爆を追従しようと目論まれているのです。
    射程が長いに越したことはありませんが、こうした目的のためにバランスをとろうとした一応の結果であるわけです。


  7. >5
     例えば陸軍の4年式15糎榴弾砲も分離ですので、当時の日本で全く不可能ということもないでしょう。
     また英軍の4.5インチQFは小型艦向けに分離式に改めたバージョンが存在しますから、既存の完全弾薬式からマイナーチェンジすることも無理な話ではないでしょう。
     ただし分離式にした場合、信管調停や自動装填に於けるマイナートラブルは頻発したでしょうし、装填人員の増加から作業スペースの圧迫といった問題も生じるでしょうから、必ずしも良い結果になるとはいえません。
     またそれで弾薬重量の制限を緩和して大重量砲弾を高初速で発射するとなると、砲そのものも巨大で重くなり、搭載可能数や搭載船舶を選ぶことになってしまう可能性もあります。かといってシステムを大型化しないならば、完全弾薬包で頑張った場合と大差ないわけで、構造を複雑化させてまでする意義が微妙になってきます。
    SUDO

  8. ちなみにいうと、上空へやって来る敵艦爆を縦に追うための速度を速くしようとしたのが八九式十二糎七高角砲で、それだけではよろしくないとわかったので、横方向にも速くしたのが九八式十糎高角砲です。
    ここでもものごとは一足飛びにではなく、一歩ずつ進んでいる感じです。



  9. 答えにはないませんが、出来ているともいえると思います。
    陸軍の「高射砲」と言う単行本があるので読んでみるとよいでしょう。

    ドイツからの導入が出来なくなったので、海軍から12.7Cm砲の資料と協力を受けて開発されたのが12Cmの3式高射砲です。
    12.7は使いにくいようで、わざわざ縮めて新たに開発しているんです。

    このときの砲口初速は、860mだそうで、840mと比べ大差はありません。
    また、尖頭段弾を使用して、射高をあげてもいますが、発射速度は、12.7と同じだそうです。

    危害半径の話も出ていますが、12Cmの危害半径を12とすると10Cmは、10だそうです。
    とすれば、あるものを改良するほうが、早道で量用法が出来たかもしれませんね?
    青江

  10.  ていうか、10年式12高は成功作ではなかったという観点を持ったほうが良いかと思われます。
     それは手動装填で手動操作の鈍い砲というだけではなく、元々分離装填の平射砲だった3年式を完全弾薬の高射化する段階で、砲身も含めて色々と違っているという点から、原型か本砲か、もしくはどちらも、どこかイマイチな出来だった可能性も考慮するべきかもしれません。
     40口径12糎砲だって有してるのに、わざわざ12.7で40口径を新規に開発していること、このために新装薬まで開発したこと等、10年式12高は仕様以前に機械として完成度ないし発展性が低く、それをそのまま発展させられない理由があったのかもしれません。
    SUDO


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