399 イギリスの軍用リボルバーについて質問します。
中折れ式のエンフィールドNO.2 とウェブリーMK4の使用弾薬は旧式なS&W38の200gr重弾頭のものですが、これらの銃が開発された時代 既に このパワーアップ版である.38SPECIAL 弾薬とそのリボルバーが広く出回っていました。
軍用とてしては強力な方を望むであろうところを、イギリス陸軍省があえて古くて弱い弾薬を制式とした理由は何故なのでしょうか。
リボルバーキッド

  1. 当時の英軍は拳銃自体が不足で、米からS&Wビクトリーを供与してもらっていたのです。
    なので、新しく採用する英国産拳銃も、ビクトリーモデルと弾薬の互換性を持たせなければならなかった訳です。
    旧式銃の在庫処分に付合わされたようで不憫ですが、米軍は米軍で新式.38splリボルバーへの更新で忙しかったでしょうし、
    仕方の無いことではあります。
    ななめ

  2. 結論から申せば、.38SPECIAL弾薬はSWING OUTリボルバー向き弾薬であり、HINGED-FRAME REVOLVER には
    不向きな弾薬だからです。
    御質問のエンフィールドとウェブリーに限らす、リボルバー初期から現代のH&R社やIVER-JOHNSON社、
    HOPKINS&ALLEN社迄 新旧あまたのHINGED-FRAME REVOLVER で、.38SPECIAL 弾薬を使用するものは皆無です。
    何故なら.38SPECIALは弾薬全長(ケース長)がHINGED-FRAME REVOLVERには長すぎるからです。

     ・HINGED-FRAME REVOLVER はその構造上 エジェクターのせり上がりストロークがあまり長くとれません。
      よって長めの弾薬は排莢不良を起こします。

     ・弾薬が長いと⇒シリンダーもフレームスパンも長くなり、閉鎖機構(ロックメカニズム)強度に不利となります。
      つまり弾薬威力がアップするのに閉鎖機構は逆に設計苦しくなるのです。

    保守的な英国王立陸軍が装填・排莢が素早いとからとHINGED-FRAME REVOLVERに拘っている限り、
    短弾薬しか採用出来ないのです。

    英国王立陸軍は旧式なオリジナル.38S&W(俗称38レギュラー)弾の弾頭を鉛長弾重量化して威力向上改良しましたが、
    この.38S&W 200gr重弾頭(英呼称.38/200, 380/200)の弾薬全長は、その前の制式大口径リボルバー
    ウェブリー&スコットNO.1 MK6の.455弾薬と弾薬全長がほぼ同じという事が非常に重要な事です。
    HINGED-FRAME REVOLVER を採用し続ける上で思慮深く小口径化しています。

    さて、Wikiや 何かの本にては、エンフィールドNO.2の .38S&W口径採用は、米国から供与された
    S&W ビクトリーモデル.38S&W口径との共用性から来ている旨が書かれていまずが、
    時系列を考えれば全く逆の誤解説であります。 時系列を表記します。

     1922年、英国王立陸軍が次期制式口径 .38/200の弾薬仕様決定。鉛むく長弾頭。
     1923年、翌年、ウェブリー&スコット社が自社既存品MK3 .38口径(1897年より警察向け製造)を元に試作品を提出。
    1936年、上記試作品を改良した王立エンフィールド造兵廠案を、エンフィールドNO.2 MK1 として制式採用。
    1941〜1942年、COLT オフィシャルポリスの軍用型であるコマンド製造開始。
    S&W社 ビクトリーモデル製造開始。両銃.38S&W口径を製作し英国へ供与。
    1942年、ハーグ陸戦条約を気にかけて、.38/200弾薬を158gr銅ジャケット弾頭に変更し 380 MK2z弾薬となる。

    又、ビクトリーモデルを供与された英国側の感想は・・・
    『(エンフィールドNO.2に較べて)耐久性がなく、酷使すると構成部品間にゆるみが出て機能不全をおこす事があった。』
       BY ジョンウィークス著書。との事です。

    まとめ、英国王立陸軍が軍用自動拳銃の開発にもたついて、HINGED-FRAME REVOLVERを使い続けるべく
    やむを得ず短弾薬の .38S&W弾薬の重弾頭改良型を使用しました。
    数年後には非ダムダム弾の銅ジャケット弾頭に変更しています。

    以上 長文失礼 しました。

    軌跡の発動機?誉

  3. >2. 〜.38/200弾薬を158gr銅ジャケット弾頭に変更し 380 MK2z弾薬となる。

    すみません誤記訂正します。
     誤:158gr銅ジャケット弾頭に変更し〜。
     正:180gr銅ジャケット弾頭に変更し〜。

    ちなみにとある洋書では その威力・貫通力を、距離15フィートに7/8in厚ホワイトパインを並べて
    5枚貫通するとしています。〔.38SPCIALなら だいたい7枚抜きます。)

    〜?誉

  4. ななめ さん、軌跡の発動機?誉 さん 回答ありがとうございます。
    パワーがあまりない短弾薬しか使用出来ない中折れ式より、パワーのある弾薬も使用できるスゥイングアウト式の方が優れており、現代のリボルバーのほとんどがスゥイングアウト式であるという話が解りました。
    そうするとまた疑問が出ます。イギリス陸軍は 第一次大戦時にもアメリカよりS&Wのスゥイングアウトリボルバーの455口径を供給してもらっていました。
    第一次大戦後 結果としてエンフィールドとなった次期38口径リボルバーを検討する時に、その供与銃の使用経験からスゥイングアウトリボルバーの方がパワーのある弾薬が使用出来て総合的に優れており中折れは時代遅れと感じなかったのでしょうか。
    リボルバーキッド

  5. >4.アメリカよりS&Wのスゥイングアウトリボルバーの455口径を供給してもらっていました。

    米国より供与されたSWING OUT REVOLVER S&W MARKI.455に対しての英国王立陸軍の感想・意見は
    専門書やネットを調べると結構見つけられます。
    例えば英語版Wikiにも書かれていますが当時のS&W大型リボルバーの備える
    ”TRIPLE LOCKING SYSTEM”(弾倉開閉3点ロック機構)は 戦場の泥や砂塵に弱く信頼性が低いと指摘しています。
    かといってウェブリー&スコットの .455が同様環境で強いと言えるか怪しいですが!!
    但し同じく第一次大戦時、急遽米陸軍用にS&W MARKI&II .455を元に設計・大量製造した
    S&W M1917 .45ACP口径リボルバーは この”TRIPLE LOCKING SYSTEM”を止めていますので不具合事実が有ったのでしょう。
    結局は HINGED-FRAMEのウェブリー&スコット.455リボルバー(1887年制定)を30年以上
    特に大きな問題もなく使用してきた事による保守的気質が大きいものと思います。

    〜?誉

  6.  重箱の隅なんですが、英国4軍のうち陸軍だけは"王立"じゃ無いです。
    MAG

  7. >6. 陸軍だけは”王立”じゃ無いです。

    御進言の通り正確にはそうですね。
    英国の陸軍士官学校が18世紀の開設より今昔、王立ですので小生の気持ち的には英国王立陸軍のつもりでいます。
     
    〜?誉


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