393 155mm榴弾砲と60mm/120mm迫撃砲で威力半径(効力半径、有効半径)にどれくらいの違いがでるか知りたいのですが、ご教示願えますか。

榴弾砲の方は日本語で検索できました。
60mm迫撃砲はWikipediaに『殺傷半径は20m』とあります。
一方で
http://www.globalsecurity.org/military/library/policy/army/fm/7-90/Appb.htm#figb_5
のホームページ(Figure B-5,B-10,Table B-1)には『lethal bursting area』として、60mm迫撃砲に"直径"20mの円を付してあります。またFigure B-10には60mm迫撃砲に"半径"20mの円を付してありますが、これは90%鎮圧半径とでも呼べばいいのでしょうか?対応する日本語がよく判りませんが、とりあえず図があります。

要するに、Wikipediaを含めて数値の真贋の区別と、日本語と英語の対比がつかないのです。あと添付ホームページのFigure B-5とB-10では、運用上どちら("殺傷"か"鎮圧(?)"か)が重視されるのか教えて貰えるとありがたいです。

よろしくお願いします。

太助

  1. 追記します。
    以下の内容を確認しております。89式重擲弾筒の"危害半径10m"が威力半径10mと同義であるとすると、60mm迫撃砲ならば威力半径が10m以上はありそうだが20mもあるのかな?と疑問に感じました。おそらくどれも着発信管だと思いますが…

    http://sus3041.sakura.ne.jp/contents/shell_db/155_t75_he.htm
    http://www.warbirds.jp/ansq/4/D2000435.html

    あと、155mm榴弾の"有効区域"のデータが着発信管なのか近接信管なのか判ればそちらもお願いします。

    太助

  2. 砲兵用語として使われるsuppressionの訳語は「制圧」でしょう。
    使われる国によって破壊の程度と意味が異なりますが、この場合、殺傷できなくとも機能を失わせることができるという意味で使われています。
    このような射撃効果は攻撃する友軍に対する近接支援など破壊を伴わない制圧に意味のある場合に重視されますが、一方で友軍の攻撃と連動しない場合のCB射撃などではあまり意味を持ちません。

    BUN

  3. 回答ありがとうございます。
    なるほど「制圧」でしたか。制圧射撃の「制圧」ですね。
    あと有効な射撃の種類も状況によりけりということですな。

    余談ですが「制圧」されるってどのような感じなんでしょうね。
    傷を負ってなくとも、音や圧力がすごくて身動きがとれない/平衡感覚が狂う/内臓にダメージ?といったところでしょうか。

    太助

  4. 西側の軍隊で砲兵が使うsuppressionは一般的に敵兵士の肉体を損傷することではなく、その砲撃で任務を中断させることを言います。必要な時間だけ、相手を任務から引き剥がすのがsuppressionする目的で、機関銃やその他の火器の操作を離れて伏せさせることもsuppression効果の一つです。
    炸裂する砲弾の殺傷能力がその根拠となりますけれども、殺傷そのものではなく、殺傷されるかもしれない危険がsuppression効果を拡大します。
    BUN

  5. >太助さん

    現在の米軍の公式定義は次のとおりです。

    suppression : Temporary or transient degradation by an opposing force of the performance of a weapons system below the level needed to fulfill its mission objectives.

    suppression mission : A mission to suppress an actual or suspected weapons system for the purpose of degrading its performance below the level needed to fulfill its mission objectives at a specific time for a specified duration.

    また、陸上自衛隊の野戦特科運用における定義は次のとおりです。

    制圧 : 敵部隊に損害を与え、一時的にその戦闘力の発揮を妨害するものであり、敵は、その損害を補充し装備を修理すれば再び活動する。

    制止 : 火力によって敵に脅威を与え、又は視界を制限し、あるいは心理的に混乱させて、その戦闘力の発揮を抑止するものであり、その効果は、射撃が継続している間である。

    撃破 : 敵部隊に損害を与え、長時間活動させないようにするものである。

    阻止 : 一時的に、又は継続的に敵の移動を停止若しくは妨害し、あるいは地点地域の使用を妨害するものである。

    ご参考までに。

    艦船ファン

  6. >艦船ファンさん

    参考情報ありがとうございます。
    米国の情報は公開されているものですね。
    http://www.dtic.mil/doctrine/new_pubs/jp1_02.pdf
    我が国の情報は非公開のものでしょうか。

    英語が不自由なもので難儀しておりますが、
    suppressionは制圧+制止といったところですか?
    撃破してしまったらsuppression missionは失敗?成功?
    →失敗な訳ないだろうから、suppressionは制圧+制止+撃破になるのかな???

    難しいです…

    太助

  7. >BUNさん

    日本語での解説いたみいります。
    ただ↑でも悩みましたが、"やりすぎた"場合もsuppressionな状況に含まれるのでしょうか。

    太助

  8. >6.
    >米国の情報は
    よくご存じですね。 そのとおりです。

    >我が国の情報は
    陸自教範「野戦特科運用」です。 これは秘密でもなんでもありませんが、一般公開にはなっていません。

    なお、軍における任務・達成目標というのはいわゆる“minimum”です。 したがって、先の定義での制圧の任務をもって火力を使用(陸自ではこれを「火制」と言っているようですが)して、結果的に撃破してしまっても全く無問題です。 minimum を達成しているからで、任務は成功です。

    艦船ファン

  9. >7

    suppressionは様々に定義されている上、定義している軍隊の部内でさえ違う意味に使うことがある用語です。要するに使いみちが広い言葉なのです。
    敵に与える損害の程度によってparalyzeとsuppressとdestructを区別するソ連式の解釈も西側で使われますし、たとえばSEAD射撃のように広く使う場合もあります。
    上に紹介いただいている自衛隊の定義は明らかにソ連式の影響が見られますが、本格的砲兵戦を経験していない日本が直接ソ連に学んだか、その影響を微妙に受けている米軍を通じてソ連砲兵文化が入って来ていると考えても良いと思います。
    BUN

  10. 皆さま回答ありがとうございます。

    ところで、最初にあげたリンク先の元ネタの更新版を見つけました。米本国のサイトです。
    http://armypubs.army.mil/doctrine/DR_pubs/dr_a/pdf/attp3_21x90.pdf
    120mm弾のデータがM57からM933/M934に更新されていますが、威力半径とおぼしきものがいずれも直径および面積で示されています。60mm弾の場合はM720で直径28m、関連表の情報から近接信管での最適条件下での値のようです。着発信管では半径約9mですね。

    よって、『89式重擲弾筒の"危害半径10m"』はちょっと頑張った値かsuppression半径を指すのだと解釈します。この頃は近接信管はないかと思いますし(←裏はとっていないので、近接信管があった/時限信管だった等の情報があれば訂正願います。)

    またWikipediaの"殺傷半径20m"の記述も、直径と半径を間違えた誤記か、または殺傷半径=suppression半径の対訳だったと解釈します。殺傷半径の定義も対訳も明記されていないのでこう解釈せざるを得ませんよね。

    試験方法なんかに分からないことも多いですが、もう少しで155mm榴弾と120mm迫撃砲弾の威力半径のなんとなくの比較ができそうです。

    太助

  11. >10.
    そこまでお調べになる力がおありでしたら、これ以上申し上げることは
    ありません。

    迫撃砲に限らず各種火砲についてもほとんどが公開されておりますし、
    米海兵隊のサイトにも詳細なデータが含まれたものがありますので、
    探してみるとよろしいかと。

    艦船ファン


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