171 |
日本海軍が用いた八八式や九一式などの徹甲弾は水中弾効果を重視していたそうですが、これは一定の確率で発生する水中弾の効果を最大限引き出そうとしたものだったのでしょうか。 それとも水中弾になる確率自体を上げようとしたものなのでしょうか? 「被帽を平頭にして水中での直進性を上げた」といった説明を読む限りでは前者が目的のように思えるのですが。 expery |
- 後者、つまり「水中弾になる確率を上げた」ものです。
SUDO
- 素朴単純な質問をお許しください。
水面に斜めにぶつかり外れる被帽が、より固い装甲に斜めにぶつかった時には、はずれないのでしょうか。
山
- >SUDO様
御回答ありがとうございます。
ということは、「実戦で水中弾になる確率は通常の砲弾と大差無かった」と一部でいわれるのは着水時に風帽が上手く外れず意図した通りにならなかったということですか。
開発中に実験もしたと思うのですが。
それとも実戦場では水中弾になったかどうかの確認が難しいため、大差無かっただろうという推測が一人歩きしている??
>山様
外れるのは被帽ではなくその上の風帽のはずです。
expery
- 弾は直進と同時に海中を落下します。海面に着弾すると、ある程度もぐってから、水平に近い浅い斜め下方向への直進をするんです。
よって、第二次大戦で多く交戦した巡洋艦以下の艦相手では、たとえ弾がきちんと動作してても、艦底の下を潜ってしまうことになりそうです。弾が潜りきる前に、つまり水平方向に走り出す前に、敵艦の水線下に当たるような場合は勿論あるでしょうけど、それは至近距離に着弾した場合でしょうし、これは従来型砲弾で起こる水中弾と基本的に変わりません。
よって、従来型砲弾と大差ないというのは、こと中小の艦相手ならば、至極当然極まりないことで、ことさら実験が甘かったとか、弾がきちんと作動しなかったとか勘繰る必要もないでしょう。そういう仕組みの武器なんです。
SUDO
- 度々の回答ありがとうございます。
水中弾効果が喫水の深い大型艦を念頭に置いたものだったとすると、巡洋艦の主砲に用意された15.5cmや20.3cmの91式徹甲弾も戦艦相手の砲戦を想定して開発されたのでしょうか?
expery
- >5
2号20糎砲用91式徹甲弾は、表面硬化処理された装甲に弱いという欠点を有してました。
そして、大抵の戦艦は、ほぼ確実に表面硬化処理された装甲を纏ってます。しかし巡洋艦は、かなり後の世代にならないと表面硬化した装甲を使ってません。例えば日本の巡洋艦は表面硬化をやってません。
傍証に過ぎませんが、最初から戦艦相手を想定していたならば、表面硬化に強い構造に作ったはずです。戦艦用の91式徹甲弾や、表面硬化装甲に対応した20糎91式徹甲弾2型を後から作ってるのですから、最初からやってなかった以上、戦艦相手は重要視されていなかったと個人的には考えます。
もちろん20糎級ではどういう弾であっても戦艦の主要部装甲を抜くのは大変ですので、戦艦相手になったら水中弾でも期待するしかないという開き直りがあった可能性は否定しません。
どちらかというと、従来型の砲弾に適した短遅働の13式2号3号信管が歩留まりの関係で殆ど作れず、比較的作りやすい大遅働で、しかも許容範囲が0.3〜0.6秒などという甘い仕様の13式4号信管に乗り換えざるを得なかった日本の都合が、合理的とは言いがたい側面を有する全面的な水中弾適応を後押ししたのではなかろうかと、個人的には想像します。
SUDO
- ご回答ありがとうございました。
なるほど信管の都合で付与されたおまけ機能という可能性もあるのですか。
追加質問になってしまいますが、20糎91式徹甲弾2型で採られた表面硬化装甲対策とはどのようなものだったのでしょうか?
expery
- ああ、ごめんなさい、2号20糎砲91式徹甲弾改1(昭和13年3/17制式)です。
これは94式40糎砲(つまり大和の46糎砲)の91式徹甲弾の縮尺版で、46糎砲用は36/40糎用から被帽を改善して装甲の表面硬化層破砕能力の改善を行ったものとされています。
よって、とがった頭部に平たい被帽頭の戦艦用91式徹甲弾形態で、強度や構造は、91式系で最新最強の46糎砲用に準じたもの、ということになるかと思われます。
しかし、残念ながら、実用生産は行われていないとされています。
SUDO
- 同じ九一式徹甲弾でも世代によってかなりの差があったのですね。
ありがとうございました。
expery