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皆様、明けましておめでとうございます。 今年も板汚しの愚問、珍問で皆様の顰蹙、嗤笑を買ってしまうかもしれませんが 事前の検索などで極力迷惑をかけないように務めますのでよろしくお願いします。 さて、2010年の最初の質問ですが、 水冷式機関銃の水冷ジャケットの中は、どのような構造になっているのでしょうか? 私は、自動車の水冷エンジンからの連想で、ジャケットの中は水が満たされていて、 銃身は冷却水と直接接している、謂わば注射器の中にストローを差し込んだような 構造だとずっと思っていました(水冷式ではガス圧作動方式が使えないのもそのためだ とも)。 ところが消失前のこちらの記事で、そうではなくジャケットの中では複雑な配管が 張り巡らされているという記述を見かけた記憶があります。しかし、再読しようとした 直前に消失してしまい、確認できません。 気になって「水冷式機関銃、冷却構造」「水冷式機関銃、水冷ジャケット」 「水冷式機関銃、水冷ジャケット内部構造」などで検索しましたが、有意な結果は 得られませんでした。 その後WikipediaのM1917重機の解説の中で >水冷機構部分は外見上マキシム機関銃の物と似ているが >内部の冷却構造は全く違ったものを採用しており、 >マキシム機関銃に比べはるかに軽量であったとされる。 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%96%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%8B%E3%83%B3%E3%82%B0M1917%E9%87%8D%E6%A9%9F%E9%96%A2%E9%8A%83 という記述を見つけ、やはりジャケットは単なる水タンクではないらしいという推論に 到りました。 どなたか水冷機構の解説や画像のご紹介をお願いします。 また検索方法に不備があればご指摘ください。 10.1.01.元旦14:20記 NG151/20@謹賀新年 |
- 謹賀新年・・・・・年始よりぶっそうな質問ですこと。
↓ M1917MG の WATER JACKET の断面図。 中はたいして臓物は入っていませんよ。
http://browningmgs.com/Colt1928/1917.htm
軌跡の発動機?誉
- http://commons.wikimedia.org/wiki/File:Machinegun_Maxim_drawingB86_483-1.jpg
マキシムも臓物は変わらないような感じですな。
SUDO
- 軌跡の発動機?誉様
即答いただきありがとうございます。
画像拝見しました。大山鳴動水筒一本、ブローニング式は当初のイメージ通り「注射器にストロー」でよかったのですね。
関連して幾つか伺いたいのですが、
Q1.ブローニングの水冷重機は、12.7mm銃も同様の冷却方式でしょうか?
Q2.水冷方式では、貴兄が以前ご指摘なされたガス圧作動方式が使えないことがよくわかります(ガスポート部から銃腔内に浸水してしまう)が、反動利用方式でも、銃身が前後動することで水漏れは起きないのでしょうか?
鋼材に毎秒10回前後の高速で前後動されては、どんなパッキング材でもたちまち磨耗してしまうのではないか? 永年抱いていた疑問です。
Q3.Wikipediaの記述の通りとすると、マキシム‐ヴィッカース系の水冷機構は、ブローニングとは違うということになりますが、差異がわかる画像等はありますでしょうか?
Q4.この方式だと、銃身は常時水浸しという状態ですが、腐食=錆びなどの問題は生じないのでしょうか? これも以前から感じていた疑問です。
勝手ながら以上よろしくお願い致します。
急ぎの追記
投稿しようとしてSUDO様からも回答をいただいていることに気がつきました。
ご掲示いただいた画像でQ3は解決しましたが、残2問は皆様よろしくお願いします。
急ぎの所用で外出するので、返答は明朝以降になるかもしれませんが、悪しからずご了承ください。
10.1.02.1845記
NG151/20@謹賀新年
- Q1. 12.7mm水冷タイプ M1921も同様でしょう。
但し熱量が多くなったのでウォーターポンプを別途必要とし、冷却水を循環させてますね。
Q2. パッキン部よりの水漏れ・リークの話は聞きませんね。 滲む程度は覚悟の上でしよう。
又、適度な水分が役立っているのでしょう、パッキングの磨耗に関しても聞きません。
マニュアル(取り説)のFIELD STRIPPINGにても 前後の両パッキングとも野戦分解に該当してません。
スペアパーツ表にても当然 バレル、機関部子部品、エキストラクター 等は存在するも、
バレルジャケットASSYも 両パッキングとも載っていません。
という事は この辺がいかれたら修理ではなく銃廃棄扱いなのが理解されます。
ところで、加熱して水蒸気としてのリークは頻繁ですよ。
むしろ、激寒時の凍結の方が心配ですね。←当然専用不凍液の使用。
※バレル交換は大変です。 事前に機関部臓物をそっくり取り除いておき、レシーバー最後尾より引き抜きます。
Q4. 昔(30年位前まで)の車のエンジンは、鋳鉄製エンジンブロックの中に水路が設けて有る構造で
熱・振動加わっても実用に問題を起すほどの事もなかったですね。 ←まともな工業力が有るとして。
それと同様でしよう。
以上 私見的な回答となりました。
〜?誉
- 軌跡の発動機?誉様
詳細なご回答ありがとうございます。
マニュアル(当然英文?)を読み込んでの詳細なご解説、感謝に堪えません。
Q1-A
>但し熱量が多くなったのでウォーターポンプを別途必要とし、
ポンプの動力源は何でしょうか?
水冷12.7mmは、多くが艦載用だと聞きます(映画「トラトラトラ」でも登場している)が、艦側から電力を供給されての電気モーターでしょうか(ディーゼル発電機は重く嵩張るし、露店などで使われるガソリン発電機は、軍艦にとっては防火上好ましくないだろうし、そのためにわざわざ蓄電池を用意・充電し、置いておくのも面倒だろうし)?
Q2-A
>ところで、加熱して水蒸気としてのリークは頻繁ですよ。
バレル・ジャケット上部の給水口から白煙を上げている写真は、各誌でたくさん見ました。
こちらの過去ログでは、後水缶=復水器? からも蒸気が立ち上って、火点を暴露したとあります。
http://www.warbirds.jp/ansq/4/D2000798.html
>むしろ、激寒時の凍結の方が心配ですね。←当然専用不凍液の使用。
旧日本軍は、満州での冷却水凍結を恐れて、水冷式重機(九八式)は要塞向けのごく一部しか配備しなかった、と上記過去ログで読みました。
不凍液を安定供給できない当時の日本の化学工業水準、石油の供給状況が察せられます(泣)が、ではさらに酷寒のロシア→ソ連軍のマキシム重機PM1905〜10では、同様の問題は起きなかったのでしょうか?
以前講読した「GUN」誌の別冊でも、改良型PM1910は入れやすいよう給水口が大型化されたとあるだけで、冷却水の凍結問題やその対策は記されていませんでした。
>※バレル交換は大変です。 事前に機関部臓物をそっくり取り除いておき、
>レシーバー最後尾より引き抜きます。
先回りしてのご回答ありがとうございます。
実はこの点も聞きたかったのですが、追加質問を5つ(←4つでも多杉だろ-汗-)もするのは厚かましすぎるとためらっていました。ご拝察いただき感激です。
当初、この種の重機で銃身を交換するのは、過熱ではなく磨耗で銃身の命数そのものが尽きた時に限られ、滅多にないことと思っていました。
しかしソンムの会戦で機銃掃射100万発、銃身1200本を消耗(ということは、銃本体はそのままで、銃身だけを交換したはず)という記述を平凡社の百科事典で読んだ記憶があります。
さらにこちら↓の過去ログで、銃身命数は1万発、1時間で1万発の連続発射可能とあり、
http://www.warbirds.jp/ansq/41/D2001387.html
ということは、点射で間隔を延ばしても1日で1万発発射は充分有り得、それに伴って銃身の交換も一会戦中にそれなりの頻度で発生していたはずで、後のクイックチェンジではない重機の交換方法には興味津々でした。
銃身は、薬室側が太いので当然水冷ジャケットは取り外し、受筒=レシーバーの前蓋を開けて…とイメージしていましたが、まさかケツから抜くとは・・・。1万発も撃てば他の部品も相応に消耗=疲労破壊orその寸前になっているはずで、部品交換を兼ねてとすれば内部構造の分解除去はそれほど不合理ではないとは思いますが、まったく予想していないことでした。
Q4-A
>昔(30年位前まで)の車のエンジンは、鋳鉄製エンジンブロックの中に水路が設けて有る構造で
>熱・振動加わっても実用に問題を起すほどの事もなかったですね。 ←まともな工業力が有るとして。
諒解しました。そういえば以前艦船コーナーで、
>兵器用の特殊鋼、特にクロームが添加されている鋼材は、一般の鋼材より耐食性が良い。
という指摘(確かSUDO様)を受けたことがあります。それにも通じますね。
今回、微に入り細に入りご教示いただきありがとうございます。今後もよろしくお願いします。
SUDO様
読み直していて、最初のご回答に謝辞を添えていないことに気が付きました。
外出直前の慌てての追記とはいえ、推敲の不備で申し訳ありません
改めて記して感謝申し上げると共に、非礼をお詫びします。
10.1.04.17:45記
NG151/20@謹賀新年
- >5.ポンプの動力源は何でしょうか?
ウォーターポンプの制式名は、"Chest,Water,Caliber .50, M3"と言います。 俗称 M3 WATER PUMP
ここの解説と挿絵で手動ポンプだというのが理解されます。
http://www.antiaircraft.org/50mg.htm
"During firing, a hand pump produced a flow between the water jacket and the water chest, providing an effective means of liquid-cooling the machine gun's barrel."
陸用水冷タイプ M2 MACHINE GUNをまともに射撃操作するのには 3〜4人必要であるわけです。
〜?誉
- 軌跡の発動機?誉様
再三の詳細なご回答と図説の掲示、本当にありがとうございます。
射手が撃っている間、水冷オペレーターがポンプをシコシコ動かしている、という間抜けな構図には笑えましたが、ベルト給弾と水冷銃身であるぶん、我が九二式13.2ミリ機銃よりも有効な弾幕は貼れたものと拝察します。
改めて、軌跡の発動機?誉様には、深く感謝します。
今年も1年、良いお年でありますように。
10.1.08.1:50記入
NG151/20@感謝感激