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砲弾の飛翔時の姿勢について ライフリングされた砲身から射出される砲弾は回転してジャイロ効果により砲弾の姿勢は安定して飛びます。直接照準の場合は良いとして、遠距離に照準を合わせた場合には砲身を最大45度上を向けることになります。この場合、その砲弾は45度上を向いて回転しながら飛翔することになり、目標に着弾するとき、この砲弾は尾部から着弾することになると思うのですが・・・先端から着弾するために何か工夫がしてあるのでしょうか? 黒猫 |
- 砲弾のような飛翔体が別に回転せずとも、例えばラグビーボールを45度の角度で投げたときボールがどのような軌道をたどり、途中で失速しない限り、地面に向かってどのような角度で突っ込んでいくのか、実験してみればわかると思います。高校レベルの物理学で学ぶことですけど(笑)
アリエフ
- 只今、物は試しということで、台所で魚型したスポンジを45度位の角度で投げてみました。何度かやってみましたが、投げたときの先頭方向から下向きに45度位の角度で突っ込んでいきますね。別に、このスポンジ、な〜んも細工してないですよw
アリエフ
- 回転によるジャイロ効果によって、砲弾は自身の方向を変えず直進するのです。ですから、この砲弾は着弾するまで最初の方向を向いていると思うのですが?・・・(砲弾自体は引力により放物線を描いて落下します)
黒猫
- アリエフ様ご回答をありがとうございます。
そのスポンジは回転していませんよね。回転していればまた別の結果になるのでは?と思うのですが・・・。
黒猫
- 過去ログ参照
http://www.warbirds.jp/ansq/2/B2000782.html
砲弾の形状、重心位置、それに旋転力といったものなどが関係してきますけど、砲弾自体が回転していても頭の方から着弾するように設計、調整されているとのこと。
アリエフ
- アリエフ様
過去ログが有るのは知りませんでした。
重ねがさねありがとうございます。
みんな同じ疑問を持っていたのですね。
黒猫
- >1
>途中で失速しない限り
失速とは、どのような状態を指すのでしょうか。
>高校レベルの物理学で学ぶことですけど(笑)
砲弾が尾部から着地するのかどうか、を問われているのですから、砲弾の長さを、あと、回転しているのですから、直径を持っているわけで、少なくとも2次元の物体でしょう。
質点として扱うことはできないと思います。
>魚型したスポンジを45度位の角度で投げてみました
スポンジと砲弾の運動が相似すると仮定したのですか。
運動が相似する前提として、どのようなパラメータを一致させたのでしょうか。
>砲弾自体が回転していても頭の方から着弾するように設計、調整されているとのこと
本当にそうでしょうか。
砲弾は回転しているのですから、角運動量を持っているはずです。
基本的に、これは保存されるはずですね。
砲弾が頭から着地するなら、それを打ち消す力がはたらいたはずです。
しかも、角運動量はベクトル量ですから、その力は砲弾の重心からある長さを持ったところに作用するモーメントとしてはたらき、しかも砲弾の進行軸に直交する向きをもっているはずです。
その力はどこに由来し、いつ働くのでしょうか。
瞬間的に働くのではない限り、砲弾の向きは少しずつ変わるのではないでしょうか。
着地点までの時間は関係ありませんか。
本当に、頭から着地するのですか。
それほど簡単な問題ではないと思います。
じゃま
- 何故、砲弾は頭から着地するのか?
それは、空気抵抗(空気効力)があるからです。
弾丸の安定方式にはジャイロ効果による旋動安定方式と翼安定方式があるのはご存知の通り。
どちらの弾も真空中で射撃すれば空気効力が働かないために、重力のみの影響で、射撃した姿勢のまま着弾します。
つまり、質問者の疑問のとおり、45度で射撃すれば上向きの姿勢のまま尻から着弾します。
しかし、空気の存在があると空気効力により頭から着弾するのです。
翼安定弾なら多分、疑問は持たないでしょう?
旋動安定弾も、空気の壁をより少ない抵抗で進みたいがために翼安定弾と同様に徐々に姿勢が下方に向くようになるわけです。
なお、空気効力影響で真空中では45度の角度が最も遠距離に飛びますが、空気中だと30数度だったと記憶してます。
はいどーも
- http://www.warbirds.jp/sudo/artillery/syageki/syageki_1_0.htm
第二十
水平地に於て一定の初速を以って射撃するに方り
射角大なるに従い射距離増大す
然れども一定の限界(約四十五度)を超ゆれば之に反す
此限界より小なる射角を以って発射するを低射界射撃、
之より大なる射角を以って発射するを高射界射撃と謂う
(第七図)
高射界射撃に在りて射角一定の限界を超ゆるときは弾丸反転し弾尾を先にして弾着するものを生ずるに至る
此射角を限界射角と謂い、初速、風向、風速等に依り異なるも約七十度を標準とす
ちなみに、弾丸は重心や空力を調整することで、早めに前下がりになるような弾丸等も作られます。迫撃砲弾なんかがその良い例です。こうした弾丸は「砲兵射撃教範」でいうところの限界射角がより大きくなってます。代わりに低射界射撃でも下向きになろうとするので最大射程は短めになりやすいようです。
>8
一般的に大砲の最大射程は仰角40〜50度程度で、30度が最大になるような火砲は滅多にないと思われます。小火器なら弾丸が空気抵抗面積に比して軽いので、低仰角のほうが伸びるかもしれませんけど。
SUDO
- >8 >どちらの弾も真空中で射撃すれば空気効力が働かないために、重力のみの影響で、射撃した姿勢のまま着弾します。
回転しているわけではありませんが、大陸間弾道ミサイルの場合、最初の1〜5分間だけロケットモーターで加速、その後は砲弾と同様、無動力飛翔となり放物線状の軌道で、途中、気圧が非常に低い高高度を20分程度飛び、地上に向かって再突入部が先頭部から突っ込んできます。
御説の通りならば、非常に気圧が低く空気効力も非常に小さいはずの高高度を飛んでいる間において、再突入部が徐々に角度を変えていくことはない、あるいは大きくは変化しない、したがって再突入部の先頭部から突っ込んでくることはあまり無いように思えるのですけど・・?
アリエフ
- 補足 MaRVのように再突入部に軌道修正機能がついているものならともかく、そうでないものにしても、再突入時には先頭部、尖っている方向から突っ込んでくるわけですよね。
アリエフ
- >11
そりゃ再突入時は空気に当たりますからね。
SUDO
- 8<
空気抵抗は関係ないと思います。
空気抵抗は、物体の運動する向きと反対にはたらくからです。
砲弾が上昇しているときは、下向きの空気抵抗がはたらき、砲弾が落下するときは上向きに空気抵抗がはたらきます。
最初に上を向いていた砲弾の先端が下を向くように運動したなら、それを妨げるように空気抵抗がはたらくと思います。
じゃま
- >13
弾丸の風圧中心と重心は同じではありません。つまり砲弾に空気が当たると、一種の風見効果を発生させるのです。
弾丸の重心は放物線を描きます。そしてその弾道に沿って空気が来る訳ですから、弾丸の向きは弾道を追いかけて向きを変えるのです。
SUDO
- >7 砲弾が頭から着地するなら、それを打ち消す力がはたらく。しかも、角運動量は・・砲弾の進行軸に直交する向きをもっているはず。その力はどこに由来し、いつ働くのか。瞬間的に働くのではない限り、砲弾の向きは少しずつ変わるのではないか。
その形状及び発射速度からして、空気抵抗の影響を殆ど無視できるような条件で、発射後、無動力で重力の影響で放物線上の軌道を描き、かつ進行軸に直行する向きで回転している飛翔体について、回転の角運動量が重力による影響に比べ無視できないほど、飛翔体の角度変化に与える影響があるとされる理窟がよくわかりません。
コマを斜めに傾けて高速回転させた場合、角運動量の作用によって中々倒れないものの、コマ自体に重力がかかっているわけですから、だんだん回転のブレが大きくなりつつやがては倒れます。このコマを傾けた角度と同じ、例えば上向き45度の方向で高速で打ち上げたとして(砲弾同様、極々短時間の加速後は無動力で飛翔)、そのコマがなるべく姿勢の安定を保ちつつも、重力の影響でだんだん大きく傾いていくわけですが、そのコマの角度が放物線軌道とほぼ同一であれば、レス14にあるとおり、飛翔体は弾道を追いかけて向きを変えるということになるのでは?
アリエフ
- >7 しかし、よくわかんないなあ。角運動量って慣性運動であるわけでしょ。進行方向に向かって直行する角運動量が保存され物体が回転し安定し続けるとしても、それは放物線軌道の進行方向に向かってなのであって、放物線軌道上の物体進行方向と、物体の向きがだんだん大きくずれてくるということが、重力以外の何らかの外力が加わらない条件でありえるのかなあ?w
アリエフ
- 物体が空気中を飛ぶと空気力を受ける。
前から空気が当たるのであるから、空気力の作用点は物体の前のほうにある。
砲弾は出来るだけ遠くへ飛ばしたい。その為に先をコーン型にした。
先をコーン型にすると必然的に重心が後に下がる。空気力の作用点から、より後方に重心が離れる。
重心が空気力の作用点より後ろにある物体は、鉛直方向で全く乱れが無い条件で飛ばさない限り、そのままの姿勢で飛んでくれない。
空気力の方向が砲弾中心軸から少しでもズレると空気力のモーメントが発生して砲弾の姿勢を変える。姿勢が変わった分、空気力に下した垂線の腕の長さ大きくなるのでモーメントが増大して、更に姿勢が変化する。
この砲弾を安定させるためにはスピン角速度を大きくしないといけない。
(または、後部にフィンを着けて空気力の作用点を重心より後方にする。)
という流れではないでしょうか。
コーン部分にメチャメチャ密度の大きい物質を詰めて重心を空気力の作用点より前方にすれば安定して飛ぶんじゃないでしょうか。
金属ウランでも、追っつかないかもしれませんが。
科野
- >17
実弾でもない限り、砲弾は尻尾のほうが軽いんです。
もっとも、射程を伸ばそうと風帽を備えだすと風圧中心が前進してきますが。
SUDO
- >18
便乗で失礼します。
>砲弾は尻尾のほうが軽いんです。
実際の砲弾の例で、その重心位置を具体的な数値を教えていただけますでしょうか?
艦船ファン
- >9
>最大射程は仰角40〜50度程度で、30度が最大になるような火砲は滅多にないと思われます
失礼しました。過去に聞いたとき、38〜39度ぐらいに記憶していた物で
実際には長射程砲等、弾道が真空に近い場所を通るものは45度以上で射撃しても射程が延びるようですね。
>18
>空気抵抗は関係ないと思います。
弾丸が弾道に沿った姿勢をとるのは「追従性(tractability, trailing)」
と呼ばれるジャイロ効果のメカニズムの一種です。
これは、右旋動弾の弾道が右にずれるという「偏流」と同じメカニズムで起こります。
偏流は、旋転する弾丸が重力により放物線方向から弾頭の角度がずれることと、その際に変化する空気抵抗により起こる事象です。
二つの外力によりぶれた弾頭が安定した姿勢に戻ろうとして、姿勢変化が起こります。
ただし、旋転をかけ過ぎると、この外力でもぶれづらくなるので姿勢は射撃状態から変化しなくなります。
反対に旋転が遅いと空気抵抗に負け回転してしまいます。
>18
旋動安定弾は圧力中心より後部に、翼安定弾は前部に重心があるのが一般的であるようですが?
そもそも、>17が述べてるように空力の観点から重心が後ろになってしまったので旋転をかける必要があるとされてるようですが。
はいどーも
- 失礼しました。訂正します。
>18
>空気抵抗は関係ないと思います
↓
>13
>空気抵抗は関係ないと思います
はいどーも
- >19
手元に数値で出ているものがあまり多くないのですが。第一次大戦時の英独12インチ砲弾の場合ですと
英APC 全長39.7インチ、弾体長36.7インチ、重心まで弾尾から16.3インチ
英CPC 全長48.43インチ、弾体長44.2インチ、重心まで弾尾から21.5インチ
独APC 全長37.4インチ、弾体長35.2インチ、重心まで弾尾から17.4インチ
英HE 全長48.29インチ、重心まで弾尾から17.0インチ
独HE 全長45.38インチ、重心まで弾尾から19.5インチ
全長比では重心はやや後ろ側ですね(特に先っぽの肉厚が薄いHEでは顕著に)ただ風圧中心と比較する場合、徹甲では重心の方が前(弾頭より)であろうと考えます(HEだとどうなのかなとは思いますが)
SUDO
- >22
ありがとうございます。
ただ、一般的な旋条砲弾の形状中心(形心)は重心より前であることを考えると、風圧中心は砲弾を斜め前から見た場合のものですので、ご教示いただいたデータからしても徹甲弾の場合は重心の方が前というのは少々疑問ではないでしょうか?
艦船ファン
- こういう過去ログもありますね。
http://www.warbirds.jp/ansq/41/D2001337.html
カンタニャック
- わたしも過去に質問しました。丁寧なご解答をいただきました。
直径に対して圧倒的に長い「征矢」ですと分かりやすいのですが、
回転しながらも角度を変えつつ先っぽから命中するのと似ているな、
ご教示どおりやはり重心位置によるのだなと思いました。
竹松