839 |
初めまして。主に第二次世界大戦時の番艦順に関する質問です。 アメリカ海軍では艦種記号とともにハルナンバーが軍艦名の前に付けられているため、それを元に◯番艦と数えていたり、 また日本海軍でも建造番号等が判明している為、それを元に◯番艦と数えていることがあります。 ですが、英伊の場合どのような基準で番艦順をカウントしているのか分かりません。 例えばイギリス海軍のカウンティ級サブクラスであるケント級は進水・竣工日が1番目ではありませんが、何を基準としてネームシップとなっているのでしょうか。 イタリア海軍のナヴィガトーリ・ソルダティ級駆逐艦は識別コード順で数えていけば良いのでしょうか。 そもそも上記の例は番艦順を考慮していないのかもしれませんが、 ご存知であれば教えて頂けると幸いです。よろしくお願いします。 WDP |
- 日本でも2番目の条約型重巡洋艦を「高雄級」または「愛宕級」と言ったり、アメリカでも40センチ砲装備の戦艦を「コロラド級」または「メリーランド級」と言ったりするので、ネームシップあるいは〇番艦に対する明確な基準が無いのは英伊に限ったことではなく、その事情は各国様々でしょうが、ごく一般的なことではないかと。
備後ピート
- ケントは進水、竣工日のみならず、起工も発注日も最初ではありません。にもかかわらず、ケント級と称されるのは、実はよく分かりません。おそらく、計画段階で1番艦と定められたのではないかと思うのですが、推測に過ぎません。ただ、ケントの艦番号が54、2番艦とされるサフォークが55、以下、56がコーンウォール、57がカンバーランドとなっていて、跳んで65がベリックとなっています。イギリス海軍の場合、艦番号はランダムについている場合が多いのですが、これだけ連続していると、何らかの意味はあったのではないかと思います。ただし、艦番号が付与された時期が不明なので、強弁は致しません。
ナヴィガトーリ、ソルダティの両シリーズについては、レター・コード順に並べてあるものが多いのですが、イタリア海軍の公式ページにはClasse Camicia Neraとありますので、便宜的なものだと思っております。
http://www.marina.difesa.it/storiacultura/storia/almanacco/Pagine/Cacciatorpediniere.aspx
>1
高雄が第9甲型巡洋艦で、愛宕が第10甲型巡洋艦ですので、本来は高雄クラスなのですが、愛宕のほうが2ヶ月先に竣工していますので、愛宕クラスとも呼ばれます。しかし、「艦艇類別等級表」には、高雄型:高雄、愛宕、鳥海、摩耶とあり、高雄が1番艦とされています。
同様に、コロラドがBB45、メリーランドはBB46なのでコロラド級と呼ばれますが、メリーランドのほうが2年も早く起工され、竣工も同様ですのでメリーランド級とも呼ばれています。しかし、Naval History and Heritage Commandでの呼称はColorado Class Battleshipとなっています。
つまり、日米ともに計画の順番でネーム・シップを定めているのであって、これをもって「明確な基準が無い」と言い切ることは難しいと愚考致しております。
hush
- 返信して頂きありがとうございます。
ケントがネームシップの理由は不明でしたか…。
追加質問で申し訳ありませんが、他のカウンティ級サブクラスは起工・進水順でネームシップになっているように見えますが、
タウン級やクラウンコロニー級、ダイドー級も同じようにネームシップの基準が不明確なのでしょうか。
ナヴィガトーリ、ソルダティはレター・コード順(のアルファベット順かと思っていましたが偶に前後していて謎です)かと思っていましたが、
イタリア海軍公式サイトを見ると進水日?でネームシップを名付けていたのですね。
どちらで艦順並べるかは各自の解釈ということでしょうか。
日本重巡は第◯甲型巡洋艦という記録がアジア歴史資料センターに残っているようですが、
昨年発売された世界の艦船増刊ですと摩耶と鳥海が逆になっていたりしているので、
例え明確な基準があっても解釈違いや勘違いで艦順が変わってしまうことがある、
ということは気をつけたいと思います。
WDP
- イギリス海軍においても、計画段階で1番艦と定められた艦が、ネーム・シップ(リード・シップ)となると考えております。そして、ケントの場合も、他のクラスと同様に最初に建造されるべき艦となっていたと思います。ただ、チャタム工廠のほうで何らかの問題があって、起工どころか、発注すらも他の艦より遅れてしまったということではないかと考えております。
その理由としては、建造間隔が開いたからではないかと考えております。というのは、同工廠の大型艦というと、ケントの前はホーキンズとなり、数年間、建造していないからです。もちろん、これはコーンウォールを建造したデヴォンポート、サフォークを建造したポーツマス両工廠においても条件は一緒なのですが、チャタムの場合、面しているメドウェイ川の堆積により水深が浅くなるという問題があります。さらに、同工廠は、潜水艦の建造に特化していた部分があり、大型艦の建造に必要な熟練工が少なかった可能性もあります。
もちろん、上記は憶測でしかないのですが、その後、同工廠では、ケントの半分の排水量しかないアリシューザしか大型艦を建造していません。第1次世界大戦まで戦艦をはじめとして多くの大型艦を建造していた同工廠の歴史を考えると、不思議な話なのです。
では、もし、そうならば、なぜチャタムが選ばれたかというと疑問が生じるのですが、それは、オーストラリア海軍分も含めてケント級を一挙に7隻も建造したからです。このため、チャタム工廠もとなるわけですが、問題点も分かっていたと考えれば、同工廠の建造準備には時間がかかるはずですので、発注は最後になっても、建造しますよという内示は早めにしないといけなかったとなるはずなのです。これが、チャタム発注艦が1番艦になった理由とみなすこともできます。そして、チャタムがケント州にあることから、ケントと命名されたのではないかと考えております(同工廠では巡洋艦チャタムも建造されています)。
なお、旧日本海軍においても、竣工が先になったために1番艦が変更になったケースがありました。それは古鷹クラスで、本来は加古が1番艦になるはずだったのですが、クレーン事故により竣工が伸びたために、公式には古鷹型となっています(なお、加古の予定艦名は衣笠)。したがいまして、(2)で「計画の順番でネーム・シップを定めている」というのは、原則としてという但し書きが必要なようです。
hush
- 返信して頂きありがとうございます。
hushさんの考察、参考になりました。
実際はどうだったのか分かりませんが、説得力を感じます。
色々と教えて頂きありがとうございました。
時間ができたらもっと踏み込んで頑張って調べてみます。
WDP
- >5
鄭重な御礼を賜り恐縮致しております。
そういうふうに書いて戴くと、まだ何か御答えすべきことがあるのかどうかが分かって嬉しいです。
hush