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日本海軍の発着艦装置について質問です 日本海軍は空母用カタパルトの開発に失敗したと聞きますが、巡洋艦など水上機用のカタパルトを流用することはできなかったのでしょうか? また、日本海軍が用いたロケット推進装置の性能について教えていただけますでしょうか。 みかん段ボール |
- 戦艦、巡洋艦用の射出機では性能が低すぎたからです。
大淀に搭載された空気式のものが、旧日本海軍が開発したものの中では最も優れた射出機であろうと思いますが、4.5tの機体を150km/hで射出できたにすぎません。これでも、従来の火薬式のものが4tの機体を100q/hでしか射出せなかったのに比べると、大きな進歩だったのですが、アメリカが護衛空母に搭載していたH4A型油圧式射出機は7.5tの機体を、エセックス級に搭載されていたH4Bは12.6tもの機体をほぼ同速度で射出できたのです。
したがって、99式艦爆あたりならともかく、全備重量が6t近い流星あたりになると射出不能ということになります。
hush
- 射出機の性能なのですが
>4.5tの機体を150km/hで射出できた・・・
は、4.5tまでの機体を150km/hで射出できたが、4.5t以上の機体は射出機の強度などの問題から射出できなかったと解釈してよいのでしょうか?
源五郎
- 発艦促進用ロケットについては、過去ログ
http://www.warbirds.jp/ansq/22/B2002076.html
に性能及び短縮可能な発艦距離についての記述があります。
また、水上機用カタパルトの転用に関しては、1.の回答者の方が書かれている射出能力の問題に加えて、射出間隔の問題もあります。
ほとんどの水上機用カタパルトの射出間隔は3〜5分前後のため、空母から纏まった規模の攻撃隊を送り出すには時間が掛かりすぎて使い物になりません。
航空戦艦化後の伊勢型では一式二号で当初カタパルト一基あたり一分間隔、後に30秒間隔としているのでこれならば使える可能性が無くはない程度ですが、射出間隔の実績は不明です。
零戦勉強中
- >2
強度よりも、浮揚可能な速度に達するかどうかが問題だろうと思いますが、艦速との合成速度がどれだけあれば、その機体が浮揚できるか存じませんので、ちょっと回答しかねます。
>3
フォロー多謝。
なお、発射間隔に加えて、火薬式の場合、急激に加速されるという問題もあるようです。このため、魚雷等を搭載した場合、射出時に危険が生じるわけです。
hush
- >4
なるほど・・・。ありがとうございます。加速の問題は考えていませんでした。確かに重く大きい魚雷では加速度の影響が深刻になりそうです。
(発艦時に外れたらシャレにならない・・・)
零戦勉強中
- >4
ありがとうございます。機体重量が6t程度なら射出速度が100km/h程度に落ちても射ち出せるかな? と考えてしまったのです。
源五郎
- >>4,>>5
魚雷の問題というより、搭乗員が加速に耐えられずに失神してしまうというもっと切実な問題が・・・
たしか日本海軍の水上機用カタパルトって搭乗員が何Gまで耐えられるか色々研究して「どうやら3G以上だと失神してしまう危険性があるから2.5G程度にしておこう」と結論を出して射出能力を調整した・・・というような話がなかったでしたっけ?
おうる
- 呉式2号5型は射出時に3〜4Gの加速度、米空母のH4Bカタパルトでは2.8Gだそうです。
1097番スレッドでも言及しましたが、艦載水偵などはカタパルトフック周り等この加速度に耐えるよう設計してあるわけです。
超音速
- ↑失礼、航空機の1097番です。
超音速
- >7
そのような話は存じませんが、三重県のナガシマスパーランドにあるシャトルループというジェットコースターの最大負荷は6G/sだそうです。
hush
- 日本空母の最後のカタパルト搭載計画は一式二号一一型の装備です。
RATOに完全に頼り切るのではなく、隼鷹、飛鷹以下にこれを装備する案が残されています。
母艦では合成風速が利用できるからなのか、射出能力は大きな問題にはなっていないようです。むしろ既存艦に追加工事した際の重量増加が艦政本部に嫌われている雰囲気があります。
BUN
- >7 おうるさま、10 hushさま
この場合は、加速度(Gまたはメートル毎秒毎秒: m/s^2)ではなく、加加速度(jまたはメートル毎秒毎秒毎秒: m/s^3)の問題でしょう。カタパルトという、速度ゼロ(※)から時速何百kmへ、わずかな時間で一気に加速する装置について考える場合には、加速度では無く加加速度で論ずるのが適切かと思います。
※厳密に言えば、船の進行方向と同じ方向に打ち出す場合は、プラットフォームである船の速度を加味して考えなければならないですが、ここではヤヤコシクなるので便宜的な表現をお許しください
生身の人体でも、瞬間的にならば6Gにも耐えられるでしょう。しかし、その6Gとはゆっくりと、徐々に6Gまで上げていったものです(一般人を乗せるジェットコースターですから、安全を考えて無理な急加減速はしないはずです)。そういうゆっくりとした変化でならば高Gに耐えられましょうが、急激に6Gにすれば、いかに高Gに慣れている戦闘機搭乗員でも、耐Gスーツ無しでは脳や視覚にダメージが出るでしょう。ジェットコースターの6Gの例はそういうことかと愚考いたします。
ところで、hush様のお書きになった「G/s」という単位が気になりました。これはどういう意味でしょうか?毎秒6Gの加速が加わる(加加速)という意味でしょうか?人間の耐えられる加加速の限界は分かりませんが、訓練もしていない一般人が、とてもそんなものに耐えられるとは思えないのですが。
Jack
- 航空本部の資料には伊勢型と同じもの(一式二号一一型)を隼鷹型と大鷹型に積むことが可能としているものがあります。伊勢型では爆装した流星の射出も考慮しているので、その辺りまでは運用可能なのでしょう。
個人的には日本のカタパルトの最大のネックは、台車に載せて打ち出す方式となっていることかなと思います。射出の度に機体を台車に載せなければなりません。ドイツのグラーフツェッペリのカタパルトも同じ台車方式ですね。
カタカム
- >>10
>三重県のナガシマスパーランドにあるシャトルループというジェットコースターの最大負荷は6G/sだそうです。
それは飛行機で言うところの旋回G(下向きの加速度)でしょう?
人間は方向によって耐えられるGの上限が大きく異なります(厳密にはGが連続して加わる時間も関係します)。
下向きの強いGが加わると血液が脳から身体へ下がっていくため、貧血を起こし失神してしまいますが、身体の方で下がってくる血流を支えることができる(自前の筋肉やら心臓やら耐Gスーツやら)ので短時間ならば7〜9Gぐらいでも対応できます。
逆に上向きのGだと身体中の血液が脳に集まってきて血圧が高まりすぎて失神・・・最悪の場合脳溢血を起します。脳には上がってくる血流を押し戻してくれるような筋肉も弁も存在しないので、脳の血管が血圧に耐えられるかどうかに依存します。だいたい4G強ぐらいが上限のようです(長時間の場合は1Gでもダメです)。
航空機の旋回Gの制限はだいたい人間が耐えられる限度が一つの基準になってます(それ以上のGに耐えられるように機体強度を高めても、どうせ乗ってる人間が耐えられないから意味がない)。有人ロケットの打ち上げ時の加速度も乗っている人間が耐えられるGの限度を基準に7G程度に抑えられています(飛行機の旋回よりもGが加わる時間が長いので上限が低くなる)。
カタパルトでの射出はこのどちらでもなく、後ろ向きのGです。
前後左右方向のGの場合は脳の血液が一方に偏るように作用します。例えば右向きのGであれば、脳全体に均等に生きわたっていた血液が右側に集中し、右脳では血圧が急激に高まり、逆に左脳では貧血状態に・・・という極端な状態になるので、上向きのGや下向きのGよりも耐えられる上限(人が失神してしまうGの値)が低くなります。
日本軍のカタパルト射出時のGについての話は本で読んだんですが、ソースが何だったのか忘れてしまいました。
かなりあやふやな記憶によると、人間が耐えられる射出Gは3G程度らしいので2.5G程度になるように調整していたが、打ち出す航空機が新型になったんだかどうだったか・・・とにかく何か新しい装備の採用でこれまでの2.5Gでは得られる速度が足らなくなったので2.7Gぐらいまで加速度を上げて使った・・・とかいう話だったと思います。
おうる
- F1マシンはコーナーリング時4.5Gの横G、フルブレーキで4〜4.5Gの減速Gがかかるそうです。
でも質問の本題とは外れてきてる気がしますね。
超音速
- >>15
どうやらまたしても私の知識が間違っていたようです。失礼しました。
おうる
- 嘘か真か過去ログに9Gで射出したらパイロットの首が折れたとか・・・
暇人
- >12
鄭重な解説、ありがとうございます。
6G/sは、1秒間で6Gに達するという記事に基づいて書いたものですが、仰られる通り、それでは毎秒になってしまいますし、その記事もずっと捜していたのですが、見つけられなかったので、夢でも見たのかと思っている次第です。大変失礼致しました。
また、そのシャトルループなるものを例に出しましたのは、それがカタパルト式だったからですが、その最大負荷が発生するのが射出時に発生するとは限りませんね(調べると、ループ時のようです)。ただ、私は乗ったことはありませんが、かなりの急加減速を行うようです。
なお、1977年のF1イギリスGPで、イギリスのパーリーDavid Charles Purleyは時速175km/hでフェンスに激突したが、奇跡的に一命を取りとめ、レーサーとしても復帰したそうですが、この時の重力加速度は179.8Gだそうで、これが人間が耐えられた(と言っていいかどうかは微妙なところですが)Gのギネス認定の世界記録だそうです。
もちろん、これは極端な例でありますが、体が小さいほど重力加速度に対する耐性が少なく、122cmの身長の場合、6Gが5秒間続くと失神寸前になるという研究があります。したがって、大人が瞬間的に6Gに達しても、特には問題はないようですが、どこまで急激に加減速した場合かは分かりませんでした。
hush
- 返信が遅れて申し訳ない。
みかん段ボール
- 途中送信失礼。
ということは、日本海軍の空母用カタパルト事情は主に射出間隔が問題となって、のちに一式二号11型が開発されたってことですか?
みかん段ボール
- >>BUNさん
>>日本空母の最後のカタパルト搭載計画は一式二号一一型の装備です。
という文章に興味を持ったので、よろしければ出典を教えていただけないでしょうか?
みかん段ボール