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「戦艦・巡洋戦艦・巡洋艦を航空母艦に改造する」話は山ほどありますが、その逆はほとんど聞きません。 「航空母艦を戦艦・巡洋戦艦・巡洋艦に改造する」のは「戦艦・巡洋戦艦・巡洋艦を航空母艦に改造する」ことと比較してそれほど困難なのでしょうか? 装甲追加による重量・重心などの問題が出てくると思われる本格的な戦艦ではなく、比較的軽防御の巡洋戦艦系ならなんとかなるのではと思うのですが。 史実では政治的な理由が大きいことは承知しておりますので、技術・工数・費用対効果の点で教えて頂けますと幸いです。 宜しくお願い致します。 Ranchan |
- 砲塔を乗せるスペースが最初から確保されてるかどうか、じゃないでしょうか。
空母などは所詮甲板上に格納庫と飛行甲板を載せればよくって、本質的にはふつうの船ですが、
戦艦は最初から砲塔を載せる構造を埋め込んで設計された特殊な船体を基盤にするものである、ということなのでは。
片
- 質問の主旨とは少しズレるかもしれませんが、実質、大戦後に余剰になった空母で、巡洋艦や巡洋戦艦に改造可能なサイズや性能を備えたのは、アメリカのエセックス級だけでしょう。
工業力が十分にあった第二次大戦後のアメリカでは、費用対効果を考えると新造したほうがコスト的にも安かったんじゃないでしょうか?
また日本や英国の空母では、多層式の格納庫を備えてましたから、そのスペースを砲塔の基部に使えないことはなかったかもしれません(費用対効果としてはとても見合うものじゃないと思いますが)
しかし、エセックス級では装甲された上甲板の上に格納庫を儲け、その上に飛行甲板を設けた構造です。もし巡洋戦艦に改造するとしたら、飛行甲板と格納庫をすべてとっぱらい、上甲板(格納庫の床面)に砲塔を設置することになります。その場合、片様が指摘されたように、砲塔基部を埋め込むスペースの確保が難しいことが考えられます。
その後に登場したミッドウェイ級は、エセックス級の上甲板装甲から、飛行甲板装甲へと変わりました。その場合改造したとして、飛行甲板の上に砲塔を設置するのではトップヘビーになりすぎです。一方で飛行甲板と格納庫を取り払うと、上甲板の装甲は非常に薄く、巡洋戦艦に改造するのもかなり大変であった(=費用的に見合わない)と思われます。
いずれにしても、空母→巡洋戦艦の
PAN
- 途中でアップしてしまいました。
いずれにしても、空母→巡洋戦艦はコスト的には見合わないものだと思います。
PAN
- 古鷹、加古は連装3基に改装していますが、砲塔スペースの問題は有ったのでしょうか?
商船を改装空母、改装(仮装)巡洋艦とした例は豊富ですが、商船が不足して改装(仮装)巡洋艦を追加出来なくなった場合に、改装空母を改装改装巡洋艦とした例は聞いた事が有りません。
コストではなく、実需の問題ではないでしょうか。
しゃるほ
- 1 以下の理由で技術的に不可能です。
(1)砲塔は、8インチ砲でも連装で150トンはあり、公算射撃に必要な最低数の3基で450トンです。14インチであれば、各々1000トン、3000トンとなります。これらを、戦闘時には自由に回転させ、砲身を動揺に合せて俯仰させ、弾丸や装薬を次々に供給し得る船体の構造と強度のみならず、砲等動力も必要です(戦艦大和であれば1.5万馬力の水圧タービン)。船体も機関部も、少々の改装や補強では対応できません。
(2)発砲時に船体にかかる反動力も強大であり、最初から船体をその反動に耐える様に作っておく必要があります。少々の、補強では無理です。なお、商船に改装で装備する大砲の上限が6インチなのは、主にこれによります。
(3)良好な命中率を得るためには、静止時のみならず、発射台としての安定性、適度な動揺周期も必要ですが、これも少々のことでは対応できません。
2 なお、あの当時の戦艦から空母えの改装であれば、比較的簡単です。搭載する飛行機は1機あたり2、3トンであり、100機でも300トンです。離着陸のショックも知れています。船としての強度や安定性にも大きな影響を与えません。着艦拘束装置の設置が必要ですが、弾丸や装薬の供給や砲等の駆動機構に比べれば、これまた大したことではありません。航空機に爆弾や魚雷を積み込むといっても、それらは精々500から800kgであり、砲撃に比較してずっと長い時間をかけて搭載します。
なお、以上はあくまでもあの当時での話です。今日では、大型船であっても、油槽船や客船から多少とも本格的なの空母への改装は、事実上不可能です。最初から作った方が安くなります。
UK
- 大口径砲の搭載については既に皆様が述べられた通りですが、15.2cm砲搭載の軽巡程度であれば技術的には特設巡洋艦の延長であり、可能ではないでしょうか。
特に魚雷兵装については、強大な反動も大掛かりなシステムも不要ですので、15000t級の船体に発射艦を多数搭載した大型重雷装艦などが考えられると思います。(戦力的には疑問ですが)
工数は…、新造した方が早いでしょうね(^^;
>>その逆はほとんど聞きません。
空母から水上戦闘艦への改造例がないのは、戦力的に貴重な空母を潰してまで水上艦を整備する価値がないという、用兵上の都合ではないでしょうか。
排水量あたりの単価で見ると、空母は大変高価です。
YK
- ロードクライブ級モニターという例があるので、別に無理でもないし貨物船みたいなのを使うなら普通に戦艦砲塔だって載せることは可能だと思います。空母船体を切った張ったしてまで割に合うとは思いませんがw
SUDO
- 7> 5の回答の前提は、新造でなく改装で実用上充分な対艦艇用射撃能力を有することです。
UK
- 皆様ご回答ありがとうございます。
特殊な船を普通の船にするのはまだ難しくないが、普通の船を特殊な船にするのは難しいしコストも掛かる・・・という、当たり前といえば当たり前のお話なのですね。
「航空母艦は本質的に普通の船」という視点がありませんでした。
Ranchan
- 普通の船でも砲重量は全く問題無いでしょう。
スペースは、少なくとも8インチ連装2段背負いなら問題無いことは、古鷹、レキシントンの例から分かります。
衝撃については、平射では違ってくるかも知れません。最大仰角では問題無し。
船体動揺はむしろ空母の方が問題になります。安定しなければ発着艦自体不能となります。
モニターとの違いだと砲塔動力、給弾能力も必要ですが、新造より特段不利な事情とはならないと思います。
そもそも改装空母を戦艦等に戻そうと思えば出来るはずなのに、その例が無いのですから、特殊な船は理由にはならないですね。
しゃるほ
- >商船に改装で装備する大砲の上限が6インチ
これについては、人力装填での発射速度の問題ではないでしょうか。
防御の弱い船体に、高価な機力装填砲は相応しくないでしょう。
しゃるほ
- 12.10> レキシントンは、もともと16インチ50口径砲を8門搭載するはずでした。赤城や加賀は16インチ45口径砲を10門搭載する予定でした。もともと船体強度は充分であり、砲塔動力を搭載するスペースもあります。
なお、日米の1万トン重巡でさえ船体の捻りに対する強度が不十分であり、このため散布界が広くなった(他にも理由がありますが)のは広く知られています。
船体の動揺は、射撃に際して人が水平線を基準にして大砲の水平線に対する角度を制御するため、非常に重要です。(例えば、ビスマルクとフッド、POWとの砲戦で、前者の命中率が後者より良かったのは、キール運河を通行可能とする要請で喫水を抑えて幅を広くした、ひいては動揺が小さかったからといわれています。)
あと、戦艦の建造においては、砲関係がかなりの割合を占めます。このため、退役した戦艦の主砲を代用したり、余剰の砲が使用できれば別ですが、そうでなければ中途半端な巡洋戦艦等に改装するのは非効率となります。それ以前に、技術的に不可能ですが。
11> 弾丸を人力で装填することが可能な大砲の上限が6インチ(100ポンド)であるのは、英国の小型あるいは1910年頃の巡洋艦が主砲として6インチ砲を採用した理由です。それ以前に、小生は、8インチ砲を多少の改装や補強で当時の商船(あるいはさらに小型の空母)に搭載することは技術的に不可能と言っています。
その他,英国において軽巡のCavendishを建造途中から設計変更して空母Vindictieとして完成させ、その後軽巡に改装した例がありますが、もともとの設計が6インチ砲搭載の軽巡であり、あの当時だから可能でした。
UK
- UK様。
11.の後、戦艦等との交換はゼロコストでもお断りのはずとの考えに至り、完全に興味を失ったところで12.を頂いてしまいました。
筆を煩わせてしまい、申し訳ございません。
しゃるほ