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駆逐艦では後甲板上に中錨が平置きされていますが、これはどのようにして投錨・抜錨していたのでしょうか? 北霜 |
- 艦艇の場合、必要に応じて取り外し式のダビットを甲板に取り付けます。
ただ、どこでもよいのではなく、ダビットを差し込むための治具(挿すための孔)は準備されているので、駆逐艦の場合は爆雷投下軌条をかわした艦尾の旗竿の付近に孔を準備していたり、掃海具の揚収設備との兼用で使用していたと記憶しています
通行人
- ありがとうございます。
なるほど、ダビットには取り外しの出来るものもあるのですね。
固定式と、舷側に折りたたむタイプのものだけだと思っていました。
ということは、爆雷の爆雷庫への出し入れや、爆雷装填台・投下軌条に爆雷を載せるために使うダビットなどは同じダビットを別々の治具へ差し替えて、使いまわしていたと言う事ですか?
現在、初霜のWLモデルを製作していて資料用に日本海軍艦艇写真集17を購入したのですが、写真の艦尾部分をみてもダビット類が見当たらなくて不思議に思っていたんです。
北霜
- >2
そういった固定式の重量物用のダビットを組み替えたりする事はあまりありませんし、メリットもありません。
甲板上のスペースに余裕があるのであれば、爆雷用デリックの作業半径内に兼用する資材(予備錨など)を配置します。
中錨(副錨)といったあまり使わない道具に対しては、それこそ支柱一本、ブーム1本で組む簡易式のもの(可能であれば甲板上にあるタガーウィンチなどを利用して)を必要な時に立てて使用する事もあるという事です。
通行人
- 度々有難うございます。
たしかに初霜の写真をよく確認したら、左舷スクリューガードの付近に折りたたんだ状態のダビットがありました。
当方駆逐艦の中錨について勘違いしていたようでして、中錨の利用用途として振れ止め錨として使うというのがあったのでそれなりに使用頻度があるものだと思っていたのですが、間違っていたようですね。
『わが青春の追憶』というサイトの磯風が艦首を損傷した際の話で、「主錨が使えないので艦尾の応急用錨を人力で入れたり揚げたりして大変だった」というようなことが書いてありました。
基本的に緊急用で常用はしていなかったようですね。
北霜
- 直接の回答ではありませんが…。
自衛艦の艦尾にある予備錨は、可搬式の雑用ダビットで投揚錨します。
日本海軍艦艇でも、錨の大きさによって固定式と可搬式を使い分けていたのではないかと思います。
ご参考までに。
YK
- 初春型の排水量からすると主錨が1.5t程度、中錨は1/4くらいとしてたぶん350〜400kg程度。
これなら簡易ダビットでも移動はできそうですね。あるいは人力でもいけそう?
軽巡クラスになると中錨でも1トン越えそうなのできっちりしたものを使っていたんでしょうね。
北霜
- ちょっと本題からは逸れますが…。
大和型戦艦の副錨は、それこそ巡洋艦の主錨クラスの大きさですが、後部甲板にそれらしいダビットは見当たりません。
まだ資料が見つかっていないだけなのか、もしくは艦載機用のクレーンで吊っていたんでしょうか…?
あまり注目されない艤装品だけに、言及している史料も見かけません。
YK