596 潜水艦の潜望鏡について教えて下さい。

1)海上自衛隊の「そうりゅう」は貫通式潜望鏡x1と非貫通式潜望鏡(CMO10)x1を装備しているそうです。これら2種類の潜望鏡を仮に「攻撃型」「捜索型」と分類するとするならば、非貫通式潜望鏡は「攻撃型」「捜索型」のどちらになるのでしょうか。
http://www.thales7seas.com/html5_beta/product202.html
小生は何となく「捜索型」かなあと考えていますが。

2)近年のことでお願いしますが、潜望鏡の外径は時代と共に細くなっているのでしょうか。
隠密性のことを考えると細いほうが良いような感じがします。細いほうが波はたたないし、レーダにも映りにくいだろうし。
http://www.navy.mil/navydata/cno/n87/usw/issue_24/eyes2.htm
一方で「そうりゅう」は貫通式潜望鏡を装備しています。これは従来方式のレンズを用いた光学式だと考えられますが、そうだとすると視野を確保するためには内径は細くし難いのではと思われます。
http://taylortechassoc.com/?page_id=97
つまりは添付のHPにもあるように視野と径はトレードオフの関係にあり、「そうりゅう」の貫通式潜望鏡の外径が前級の「おやしお」に比べて細くなっているとは思えないのです。

まとめますと、潜望鏡の外径は細いほうが良いと考えるが、現実は細くなったように思えない。何故か?もう十分に細いのか。電子式の非貫通式を用いても細くできないのか。細くするのは(おそらく外径が太かった)捜索型を電子式にするだけで十分なのか。それとも小生の思い違いで潜望鏡は年々細くなっているのか…財政的理由や技術的保守性で「そうりゅう」に貫通式潜望鏡を装備したのか、必要性があった/もしくは十分な性能であったために貫通式を採用したのか。

ちょっとわかりません。潜望鏡は年々細くなっているのか/あまり変わらないのか/太くなっているのか、、、回答をお願いします。できれば比較するのは同一の国で。データや回答の根拠なんかもあると嬉しいです。

太助

  1. ニコンに仕事を切らせないため(技術維持)のためでしょうかね。なお、ニコンに対しても24年度に「非貫通式潜望鏡(試験用)その1」を578,550,000円で契約しています。近い将来、ニコン製とCMO10の2種類の非貫通潜望鏡を装備するかもしれません。
    AP1@50肩

  2. 一般的に視野は狭いが特定目標への魚雷攻撃時などの使用に適した攻撃潜望鏡と視野が広く水面上などを広範囲に捜索するのに適した捜索潜望鏡の両方を装備して使い分けられてきたと思います。
    これまでの各国の潜水艦の潜望鏡が写った写真の変遷などを見てもセイルから突き出す部分の外径は少しずつ太くなっているように感じます。最近の電子光学マストなんかだとガマの穂あるいはコブラの頭みたいに膨らんだ部分が目立ちますね。

    従来型の耐圧穀貫通式潜望鏡も近年では倍率切換式にしたり光学経路に可視光(Low Light Level TV等も含む)や赤外線撮像装置やレーザー測距装置などを組み込んだものもありますね。
    さらに潜望鏡接眼部に表示するだけでなく艦内(発令所等)設置のディスプレイにも表示できるものもあるようです。又、比較的小型の電波ドームで済むESMやGPS等の受信アンテナを潜望鏡の上部先端に設けることも広く行われてきたと思います。
    これらの電子光学潜望鏡を更に発展させ、昇降式の電子光学マストはセイル内格納のみとし、光学情報の船体内導入には光ケーブルなどの伝送ケーブルのみとしたものが非貫通式潜望鏡と言えるでしょうね。

    そうりゅう型が装備する2本の潜望鏡の内、1本は在来型(耐圧穀貫通型)のニコンの13メートル潜望鏡B型改5で、もう1本が耐圧穀を貫通しない耐圧穀非貫通式潜望鏡I型ですね。
    後者は三菱電機が主契約者となってTHALESグループのTHALES UK社製Optrnic Mast CM010をライセンス生産するものですが、従来の潜望鏡と同様に光学系はニコンが、機構関係は日本製鋼所が請け負っているのではないかと思いますがどうでしょう。

    ちなみに以前の潜水艦の潜望鏡は共にニコンの13m潜望鏡I型改シリーズと13m潜望鏡B型改シリーズで、前者がいわゆる攻撃潜望鏡、後者(調達価格もより高い)が捜索潜望鏡ではないかと思いますが、そうりゅう型装備の13メートル潜望鏡B型改5は逆に攻撃潜望鏡扱いなのでしょうかね?
    MK@2004-

  3. 回答ありがとうございます。
    光学式の場合に準拠して「攻撃型」「捜索型」という記述をしましたが、電子式ではその区別がないのかもしれませんね。(Virginia級攻撃型原潜では AN/BVS-1 が2本装備されているようです。全くの同型×2だとすれば、「攻撃捜索両用型」×冗長性ということになります。)

    とするならば、「そうりゅう」の事例その他から類推すると、「攻撃型光学式潜望鏡の外径」<「攻撃捜索両用型電子式潜望鏡の外径」ということも有り得ますかね?(緊急事態ではありますが)通常の攻撃時には外径の細い貫通式潜望鏡を用い、それの故障時にはバックアップとして非貫通式潜望鏡を使うとか。

    次世代の海上自衛隊潜水艦の潜望鏡が、
    1)ニコン製電子式×1、 CMO10×1の場合は
    →ニコン製電子式:攻撃特化型電子式、CMO10:攻撃捜索両用型もしくは捜索型

    2)ニコン製電子式×2の場合は
    →ニコン製電子式:攻撃捜索両用型

    3)ニコン製光学式×1、ニコン製電子式×1の場合は
    →a)光学式:攻撃型、電子式:攻撃捜索両用型もしくは捜索型
    となるのかな。もしくは
    →b)光学式:捜索型、電子式:攻撃捜索両用型

    個人的には1)は無いかなと思います。
    3)も下に書きましたが利点が少ない。


    単機能ならば潜望鏡が太くなっていく理由がわからないです。もう少し踏み込んでいうと、多機能の太い潜望鏡×1よりも単機能の細い潜望鏡複数本の方が性能がよい気がしてならないのです。しかし現実に太くなっているのならば、価格の問題か/冗長性の問題か/技術的な問題か。太さにはこだわらないのか。

    潜望鏡関連で貫通式/非貫通式の利点をあげると、
    1)貫通式
    ・外径が細いかもしれない。

    2)非貫通式
    ・潜望鏡に映すだけで、データベースと照合して船型特定が可能。
    ・皆さんでご覧になれる?
    ・安全性。
    ・攻撃捜索両用型。
    ・艦内レイアウトが比較的自由になる。

    ん〜、謎だらけです。
    乱文で申し訳ない。

    太助

  4. 水中航行中に伸ばした片持ちの潜望鏡は海水から力を受けますよね。光学式で曲がって困るのなら、曲がらないよに強度確保のために太さが必要なのでは。
    ちょん太

  5. (1)質問内容が少し変だと思います。現在の潜水艦は、捜索は主に聴音機(パッシブソナー)だと思います。また、聴音機でも自艦の進行方向や深度を変えることにより距離や方向はかなりの程度判ると思います。特に、米英の原子力潜水艦の場合には、仮想敵がソ連の原潜であり、このため潜望鏡は捜索、攻撃の何れでも副次的だと思います。なお、私見ですが、我国の潜水艦も、仮想敵は多分中国の潜水艦だと思っています。専守防衛の我国の潜水艦が、(我国の護衛艦の対潜訓練に際して潜望鏡を使用する他に)中国の船団攻撃をするのに使用するために潜望鏡を装備しているとは考え難いです。このため、我国潜水艦でも、捜索や攻撃に際して潜望鏡は副次的な役を担っていると思っています。
    (2)貫通式と非貫通式を採用したのは、米英の原子力潜水艦と我国の非原子力潜水艦とでは潜望鏡の使い方や要求される性能等が相違するため、いきなり非貫通式のみにするのは危険という判断もあったと思います。
    (3)ある程度の剛性は必要であるため、潜望鏡の断面の径をそう細くは出来ないと思います。なお、日昇丸とジョージ・ワシントンが衝突した直ぐ後に、我国の漁船が南米のどこかの国の浮上している潜水艦に衝突し、沈めた事故がありましたが、漁船のレーダーに潜水艦は映っていなかったそうです。航空機と異なり、重量や形状に制限が無い潜望鏡の場合には、ステルスや被探知技術は相当な程度施されていると思われます。勿論、軍艦の探知技術(S/N比の改善)も進歩しています。ただ、小生はこの方面は全く知りません。このため、我国の潜水艦の潜望鏡の太さの傾向は知りません。勿論、細いのがいいのに越したことはないでしょうが。
    (4)水平断面の形状は、非貫通式は電線さえ通れば良いので、潜水艦の進行方向に対して長軸の楕円やそれに近いと思っています。
    (5)非貫通式であれば、視野は無関係と思われます。敵艦の方向を向いた潜望鏡の頭部の側面や背面にもレンズ系とL/E変換部を設置してもステルス性に(敵艦のレーダーに対する反射面積)は関係がないと思います。
    何れにしろ、貴質問の内容は、潜望鏡のステルス、探知技術を考慮して考察する、あるいは考察していく必要があると思います。

    UK

  6. レーダーに関するステルス性は実際の太さはそこまで影響無いですから、細くしてもあまり良いことは無いのですよ。
    morth

  7. E>差支えがなければ、その理由を教えて下さい。なお、「トム・クランシーの原潜解剖」(新調文庫)の102PにはRAMを用いていると記されていますが、可能であればこれについても、あるいはこれに絡めてもそうなのでしょうか。
     なお、潜望鏡については、「攻撃型」は昼間の光学系のみ、「捜索型」は光学+低光度+ESM及びGPSの受信用アンテナと記されておりますが、小生は本当かなと思っています。特に、昼用の光学系のみが疑問です。20年以上前のことですが、水上艦の攻撃を念頭においていたのか。たとえ事実だとしても、今もそうなのか。
    UK

  8. 質問者が適切なコンテンツを引用されておられますので、これらの中にご質問の回答の殆どが明記されていると思うのですが、もう一度読み返されては如何でしょうか?

    1)「そうりゅう型」の潜望鏡は従来の貫通式が「攻撃型」で、非貫通式潜望鏡CMO10が「捜索型」です。

    2)米海軍の潜水艦の攻撃用潜望鏡は“needle nose”と呼ばれたType 1を改良したType 2が、シーウルフ級まで使われています。詳しいマニュアルもとっくに公開されています:
    http://maritime.org/doc/fleetsub/pscope/index.htm
    つまり、70年以上も同じものを使い続けていて、細くも太くもなっていません。ステルスの面でも問題はないのでしょう。

    それに対して捜索用潜望鏡は、大戦中のType 3から、シーウルフ級のType 18まで、どんどん改良されております。その理由は光学的以外の要因も多いようです:
    http://www.navy.mil/navydata/cno/n87/usw/autumn98/sbcomm.gif

    Submarine Mast Antenna Progression
    http://www.navy.mil/navydata/cno/n87/usw/autumn98/fig2.gif
    From right to left: OE-538 Multi-functional Mast, HDR Antenna, SHF Phased Array Antenna ATD, and Future Antenna Conceptual Designs

    ケーブル類は、潜望鏡先端では流線型のフェアリング内を通っていますが、その下部の貫通する長い部分では、どう処理しているのか、存じません。

    >3 ヴァージニア級の非貫通式潜望鏡AN/BVS-1は、少なくとも会計上は、1隻に1システム(2本のマストを含む)です。決して全く同じマストやセンサーを2本装備しているわけではありません。

    また、かなり不思議がっておられるようですが、非貫通式潜望鏡の最大の利点は、発令所を艦内のどこにでも自由に配置できることと、同じくセイルを流体力学上最適な位置に装備できることです。残念ながら「そうりゅう型」では、いくつかの新機軸を採用したために、おおきな設計変更が不可能だったので、攻撃用潜望鏡は貫通型の光学式を採用したのでしょう。

    きっと27SSでは、リチウム電池とともに、発令所も第2甲板から第3甲板に移動して、“dancing with the gray lady”も消滅することでしょう。

    もしも不思議と思うのなら、このような過渡期の「そうりゅう型」をあんなに大量に建造したり、輸入しようと望んでいる海軍がいることでしょうか?たぶんその答えは、米海軍のSSNの急激な減少とともに、某国海軍の脅威に対抗するために、ともかく早急に潜水艦の隻数を増さなくてはならないのでしょうか?
    通行人

  9. >>8
    回答ありがとうございます。
    ところで、1)「そうりゅう型」の潜望鏡は従来の貫通式が「攻撃型」で、 非貫通式潜望鏡CMO10が「捜索型」とのことですが、これには何かソースがあるんでしょうか。小生も何となく同じように考えていたんですが、>>2のように「そうりゅう型」にも装備される 13m潜望鏡B型改シリーズが捜索潜望鏡ではないかと書き込まれる方もおられまして、正直なところ、どちらが正しいのか判断がつきません。(従来の「捜索型」を「攻撃型」として装備するということはないと考えています。)
    あとは3)のAN/BVS-1の件ですが、1隻1システムのこと了解しました。ただ2本のマストが同じものなのか、違うものなのかについては確認できませんでした。イギリス海軍のAstute級はCMO10を2本装備しているようですが、このようにVirginia級のマストも同じものが2本ある可能性もあるのでは?AN/BVS-1の具体的な仕様を示したHPか何かを紹介頂ければうれしいんですが。2本のマストで光学系が同じ仕様のものか、違う仕様のものかが特に気になります。

    太助


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