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戦艦扶桑(新造時)のことについて質問いたします。 現在世に出回っている書籍では、機関出力40,000馬力とされていますが、平賀アーカイブの「軍艦扶桑公試運転成績」では10/10で約4万6千軸馬力を出しています。この差は何に起因するものでしょうか。 angelhalo |
- 旧海軍では「10分の10」とは過負荷全力を意味します。ボイラー爆発寸前まで圧力を上げることです。ふつう表記される常用全速の一割増しぐらいの馬力が出ますが、平時では公試時以外に「10分の10」の号令が下ることはまずありません。
超音速
- S6.5.1制定、S16.7.15改正の「機関計画内規0300」では
計画全力 10/10
過負荷全力 11/10(戦艦)もしくは10.5/10(戦艦以外)
となってます
扶桑(新造時)はこれよか昔ですが基本的には同様です
防研に行けば「戦艦扶桑 機関計画要領」を見られますが、
「計画出力 公表40,000shp 実際48,000shp」と書かれてます
>ボイラー爆発寸前まで圧力を上げることです。
缶には安全弁が必ず付いてますので使用圧力以上には上がりません
(超過すれば蒸気捨管より艦外に放気)
過負荷運転はふつう火勢を上げて蒸気の供給量を増やすなどします
駄レス国務長官
- 認識不足で申し訳ありません
超音速
- >駄レス国務長官
ご回答ありがとうございます。意図的に実際の値より低く公表されていた、という認識でよろしいでしょうか。
同様に伊勢型と金剛型も、実際の出力は公表されているものを上回っているようですが、こちらも同じということですね。
angelhalo
- >4.
>意図的に実際の値より低く公表されていた、という認識でよろしいでしょうか。
「長門」などの例もあるので、そう考えるのが妥当と思われます
伊勢型についてはやはり防研史料ですが「機関機構説明書(機械の部)軍艦日向」に
計画全力 23kt 45,000shp 300rpm
計画最大 24kt 56,000shp 330rpm
と書かれてます
「計画最大」が「過負荷全力」ではないかという危惧も有るには有りますけど
前記扶桑型との対比により「公称45,000shp 実際56,000shp」と判断します
金剛型については、「金剛」「榛名」公試運転の詳細が知られており、両艦とも
2/10 15,000shp前後
4/10 30,000shp前後
6/10 45,000shp前後
8/10 60,000shp前後
を発揮していることより、実際は「10/10 75,000shp」の計画であったと推定できます(実測値は4艦とも74,000〜80,000shpで27.5kt)
駄レス国務長官
- >駄レス国務長官
ご教授ありがとうございます。
昭和9年12月の軍艦伊勢操艦参考資料では、表の最大値が51,600馬力/306rpm/23ktとなっておりましたので、こちらも疑問に思っておりました。ありがとうございました。
angelhalo
- >6.
>昭和9年12月の軍艦伊勢操艦参考資料では、
それは大変興味が有ります
目下扶桑・伊勢両級の機関部をまとめておりますので
宜しければ ↓ の掲示板に書き込みをお願い致します
http://geocities.yahoo.co.jp/gb/sign_view?member=kigiken
駄レス国務長官
- >駄レス国務長官
質問の流れとログの保存という意味からも、こちらでご紹介することにいたします。
地方在住ということもあり、アジア歴史資料センターで公開されている防衛省防衛研究所をキーワードで一つずつ検索し、閲覧しています。http://www.jacar.go.jp/index.html
こちらのレファレンスコードが当該資料です。レファレンスコードを検索窓にコピー&ペーストで検索できます。
A03032147000 軍艦伊勢操艦参考資料
他に
C04015268200 大正15年度基本教練運転成績表 伊勢
C04015265500 応用教練運転成績表 伊勢
辺りが伊勢の機関関係の資料になりますでしょうか。
何分未熟者ですので、見落としも多いと思いますがご容赦のほどを。
angelhalo
- >8.
ご紹介有難うございます
大変参考になります
T15.7の応用教練運転でも単艦全力で23.4kt、54,160shp出してますので
実力56,000shpは確実と判断します
デハ
駄レス国務長官
- ご参考までに公表要目について。
旧海軍においては艦船要目について公表の必要がある場合には、昭和3年までは『建造中の艦船要目に関する件』として官房機密で、昭和3年からは『艦船要目公表範囲』として内令で定められているものに従うこととされていました。 これが旧海軍における、いわゆる公式データです。
ちょっと今すぐ古いものが出てきませんが、昭和6年のもので「扶桑」については40000馬力とされてます。 この種の公表データは余程のことがなければ変更されませんので、おそらく当初からの数値と考えられます。
これはアジ歴のレファレンスコード:C13071971700 でもご覧になれますのでどうぞ。
艦船ファン
- ボイラー、特に古い時代のボイラーは連続して運転しているとスケール付着や煤の付着で伝熱効率が比較的早く低下します。定期的なすす払いやスケール除去を行う必要があるのでオーバーホール直後の最高出力(と言うよりも蒸気発生量)をどれくらいの運転時間キープできるかはよくわかりませんが、そのへんの事情があるのかなとは思います。特に石炭焚きのボイラはひどいと思います。
my
- >11.
日本海軍の「艦艇機関取扱教範」を受け継いだ「舶用機関取扱法」(生産技術協会刊)より抜粋すると
外部掃除(煤払い)
石炭専焼缶・混焼缶は使用3〜5昼夜毎
重油専焼缶は使用5〜7昼夜毎
に蒸気噴射式の掃除装置にて行なう
内部掃除(スケール除去)
細管式重油専焼缶は炭酸ソーダ系洗浄剤使用で300時間毎、燐酸系洗浄剤使用で600時間毎
上記以外の水管缶は600時間毎
円缶は700時間毎
にて行なう等の指針が示されてますが、前記の力量差は缶の汚損とはまた別の話です
駄レス国務長官
- >12.の訂正
燐酸系
↓
燐酸ソーダ系
駄レス国務長官