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大戦間〜大戦中に防空巡洋艦に改装された、英国海軍C〜D級巡洋艦について質問させて下さい。 @ 大戦間〜第二次世界大戦では英国海軍は巡洋艦不足に悩まされ、仮装巡洋艦を用いたとの記載を目にします。 そう考えるとC〜D級巡洋艦を防空巡洋艦に改装したのがどうにも腑に落ちないのですが、どういった経緯があったのでしょうか? 1987年、世界の艦船375号では鈴木昌氏が「防空艦の構想が先にあったのではなく、旧式化したシリアーズ級を有効に在役させるための方途を考えた結果、防空艦になったのではないか」といった趣旨の記事を書かれています。 シリアーズ級が改装された1935年当時の構想では、リアンダー級以降多数の中型巡洋艦の建造が予定されていた筈ですので、C級巡洋艦は不要と考えられていたのでしょうか? 英国の国情を考えれば、敵の通商破壊に対する備えもしなければならず、性能が陳腐化したとはいえ巡洋艦はいくらでも必要と考えていた筈だと思えるのですが… A キュラソー以降は10.2センチ連装高角砲を4基装備するように改装されていますが、D級のデリーは米軍の12.7センチ単装両用砲を5基装備しています。 なぜデリーは米軍の12.7センチ両用砲を採用したのでしょうか? 改装後のデリーやキュラソーの図面を見る限り、デリーであれば10.2センチ連装砲であれば5基程度は載るのではないかと想像しました。 12.7センチ砲5門では米駆逐艦と同じ門数でしかありませんが、12.7センチ両用砲は英海軍の中でそれほど高い評価を得ていたという事でしょうか? (10.2センチ高角砲が性能的に不足していたといった記事を目にしたことがなく、10.2センチ砲8〜10門の方が高威力に見えてしまいます。) どうぞよろしくお願いいたします。 108フィート |
- (1)旧式軽巡の防空艦改装の構想が出た1934年の時点で、英の旧式軽巡は既に能力が陳腐化しており、遠隔水域での通商路保護任務にのみ充当可能、と艦隊側からは評価されていました。
旧式軽巡の防空巡洋艦への改装計画は、これらの艦を艦隊の第一線艦としても有用に使える艦として再生する、という目論見により実施されたのは事実です。ただしC/D級代替となる防空巡洋艦としても使える多目的巡洋艦の検討も同年から実施していますので、旧式軽巡の改装時に「防空艦の構想が先にあった訳でなく」というのは疑念があり、むしろ多目的軽巡整備の繋ぎとして、これらの艦の改装を実施したと見た方が良いように思えます。
(2)第二次大戦開戦後、米から5in38口径砲とMk37GFCSの供給が提案された際に、D級一隻にこの両装備を搭載する改装実施も米側から打診されました。デリーの改装はこの計画に基づいて実施されたものです。
大塚好古
- ↑資料を読み間違えたので訂正。
(2)D級一隻にこの両装備を搭載する改装実施も米側から打診されました。
の部分を
(2)D級一隻の改装は、米側からこの両装備が供給された場合の試験目的を兼ねて検討が行われるようになり、以後米英で計画の詳細を詰めた後に実施されました。
に訂正します。早とちりの間違いを謝罪すると共に、お詫び申し上げる次第です。
大塚好古
- お答え頂きありがとうございます。
つまりは
「通商保護任務くらいにしか使い道がない旧式軽巡を如何に再活用するかを検討した結果が防空艦であった」という側面よりも、
「多目的軽巡整備の繋ぎとして該当する船をさがしていたところ、それがC級であった」、
という側面の方が強いという事でしょうか?
ダイドー級が多目的巡洋艦として検討されていたとは知りませんでした。
デリーについてはよくわかりました。1艦だけおかしいとは思っていましたが試験目的があったわけですね。
関連した質問になってしましますが、
「世界の重巡洋艦パーフェクトガイド」ではホーキンズ級も5.25インチ両用砲の装備が検討されていたとお書きになられていました。
ホーキンズ級やE級巡洋艦も防空艦にする計画はあったのでしょうか?
108フィート
- 遅くなりました。
>「多目的軽巡整備の繋ぎとして該当する船をさがしていたところ、それがC級であった」
基本的にこの考えで良いと思われます。
>改装対象艦
英の防空巡洋艦は艦隊作戦のみならず、船団護衛時に来襲する敵航空機への対処にも必要とされたため、多数の整備が予定されていました。実際1934年に旧式軽巡の改装が検討された時点では、C給とD級の全艦が改装対象とされており、E級とホーキンズ級も改装対象艦として検討が行われています。
このうちE級は未だ通常の巡洋艦として有益に使用出来ると判断されたようで、1936年に出された改装計画では砲の一部を下ろして対空砲を増載することとされています(この改装は未実施)。
一方第二次ロンドン条約の絡みで全兵装を撤去したホーキンス級は、現役復帰に当たり「以前搭載していた7.5in砲は有用性に欠けるので、他の砲への換装を前提」とした改装が検討されます。この際に「敵巡洋艦に抗する火力付与と、必要とされる長距離対空戦闘能力の付与が両立できる」5.25in両用砲の搭載が検討されており、実際にホーキンス・フロビシャー両艦の改装については、同砲搭載の設計案が纏められつつもありました。しかし開戦後この両艦の現役復帰が早期に望まれたため、大掛かりな改装を必要とする5.25in砲の搭載は見送られました。
大塚好古
- >4追記
ホーキンスとフロビシャーの5.25in砲採用断念は、同砲の供給不足により、改装工期の延伸・要求された兵装が積めない等の問題が発生することが懸念されたことも大きく影響しています。
大塚好古
- ご回答ありがとうございました。返事が遅くなり申し訳ありません。
日本語でイギリスの旧式軽巡洋艦について書かれた本が少なく、お教え頂いたことはほとんどすべて初耳でした。
どうもありがとうございました。
108フィート