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二次大戦時の潜水艦の機関について教えてください。 日本海軍の4サイクル主機械が、1850〜2350馬力を発揮していたのに対して、ドイツの場合は、VII型こそ1400馬力有していますが、\型やXXI型では、1000馬力程度になっています。 これは、ドイツ側が日本と違って、大馬力ディーゼルを潜水艦に組み込む必要性を感じていなかったからなのでしょうか? もしそうであるのならば、その理由はどのような点にあるのでしょうか? 月読 |
- 潜水艦の実態は、第2次世界大戦初期頃までは水上航走を主とする可潜艦でありました。その後レーダー、航空機等の発達によりそれの回避のため潜水艦の最大特性である潜水を主な行動とする潜水艦への必要性が生じてきたのです。激しいUボート狩りにあったドイツは潜行能力増大のためバッテリーを増し、エンジンは従来水上航走で高速力を出すための目的からバッテリー充電のための発電エンジンへと変化していきました。したがって、高出力エンジンは必要ありません。かたや、日本は、日米決戦のため潜水艦は艦隊とともに水上行動し、夜間闇にまぎれて接敵する(又は先回りする)ことが求められていたため高速水上航走に必要な高馬力エンジンが必要だったのです。
つっち
- 長距離哨戒型のIX型は、哨戒水域に短時間で進出することを目的として、当初要求では水上速力20ノットを発揮可能なことが求められています。このためIX型は2100/2200馬力型の主機を搭載しましたが、計画より排水量が増大した影響もあってか速度性能が要求に達していません。
続いて計画された艦隊作戦充当を考慮した巡洋潜水艦であるXII型では水上速力22ノットを達成すべく3500馬力型の主機の搭載が予定され、同型の代替として建造されたIXD系列でも、20ノット以上の水上速力発揮が求められたIXD1型は1500馬力型ディーゼル六基を積むという荒技で要求を達成しています。また中距離哨戒型のVII型系列も、戦訓から哨戒水域への進出時間短縮が求められた結果、VIIC/42型で2000馬力型の搭載を予定しています。これらの点から見て、ドイツが潜水艦に大馬力ディーゼルを組み込む必要性を感じていないと言うことは無いと思われます。
XXI型についても、当初要求ではIX型と同様の理由で長距離進出に最低限必要と考えられた約16ノットの速力発揮が求められており、このためVIIC/42型に搭載予定であった二段過給機装備の2000馬力型主機が搭載されました。しかし計画途上でシュノーケル装備が決定し、その結果として主機の過給機を外す必要が生じます。この影響でXXI型の主機の最高出力はVIIA型の主機と同程度(1050〜1150馬力)に減少しましたが(この結果として、水上最高速力も12ノット程度に低下しました)、この例から「水上速力が要らないから高出力エンジンは必要なしとされた」と結論するのは不適当でしょう。
大塚好古
- つっち様。大塚様。ご回答ありがとうございました。
まとめといたしましては
・ IX型やXXI型の当初要求から見ても、ドイツが潜水艦に大馬力ディーゼルを組み込む必要性を感じていないとはいえない。
・ XXI型のエンジン馬力が落ちたのは、シュノーケル装備の必要性から、過給器が外された為。
でよろしいでしょうか?
所で、大塚様は「IX型は2100/2200馬力型の主機を搭載した」と紹介され、今自分が持っている広田厚司氏の「U−ボート入門」でも、「IA型の8気筒ディーゼル(1540馬力)を、9気筒(2400馬力)に変更した」とされているのですが、本型のカタログスペックを、同書や幾つかのサイトさんで見ると「ディーゼル2基 2200馬力」と出ています。
ディーゼル2基あるのに2200馬力とあるので、質問文で短絡的に「\型の機関は1100馬力×2基」と短絡的に考えてしまったのですが、この2基の出力の内訳はどのようなものなのでしょうか?
月読
- iX型の主機として主要された主機の一基宛の出力は、RS12V26/34型が2,100馬力、M9V40/46型が2,200馬力となっており、IX型はこれを二基搭載しています。故に主機の総出力は4,200〜4,400馬力ですね。
一方XXI型の場合は、M6V40BB型主機(2,000馬力)二基搭載で合計4,000馬力の予定であったものが、過給機廃止で2,100〜2,300馬力に落ちたことになります。
大塚好古
- ↑訂正。M6V40BB型主機→M6V40/46BB型主機です。
大塚好古
- 度重なるご回答ありがとうございました。
それにしてもVII型やXXI型は、二基合計の馬力数で記載されているのに、なんでIX型だけは、1基だけの出力表になっているのが多いんだか。
広田氏の著作でも、IXD2型を、M9V40/46型2基+RS34/5S型2基で、合計2780馬力を得たなんて記載していますし。
何か理由でもあるんでしょうかねぇ・・・
月読
- >6
コンウェイの「世界の軍艦1922-1946版」が全くその通りの表記となっているので、多分これの数値をそのまま引いたんでしょうね。
あと質問と関係ないですが、IXD2型搭載のRS34/5S型は「DE方式の巡航用発電機」でありまして、主機に直結していないんで両者の出力足しちゃ駄目だったり。
大塚好古
- 大塚様。どうもありがとうございました。
月読
- IXD2型は直結とDE運転を常時併用出来ますので、電動機出力の1,000馬力が加算出来、巡行用と言ってもデッドウェイトにはなりません。
よって総出力は、5,200〜5,400馬力です。
最初から5,400馬力機関を搭載する場合と比較して、少ない重量増で、巡行能力と充電能力が大きく向上するので、なかなか上手い方式です。
しゃるほ
- 訂正です。
巡行→巡航
しゃるほ