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一等巡洋艦出雲についてお聞きします。 1)日露戦争から太平洋戦争まで生き延びた息の長い巡洋艦出雲ですが、出雲はずっと最後まで石炭を燃料としていたのでしょうか? 2)シナ事変時には日露戦争以来30年近くたっていますが、機関出力の低下や船体の劣化やゆがみによる性能低下ということはなかったのでしょうか? よろしくお願いいたします。 G4M2 |
- 1)
そのよーです
(八雲・磐手は昭和5〜6年金剛のヤーロー混焼缶6基と換装したが、出雲は昭和9年換装を願い出るも復原性改善など他工事輻輳のため却下、果然昭和10年上海在泊中に缶破裂を起こし乗員2名死亡)
2)
とーぜんあります
速力低下の要因はおしなべて主缶>主機>船体の順で比重大です
駄レス国務長官
- 駄レス国務長官様
回答ありがとうございます。出雲は最後まで石炭で動いていたのですね。
G4M2
- 正確には、大正期以後は「練炭」ですね。
日露戦争のころは英炭(石炭そのもの)。八八艦隊計画の前あたりから、重油と並行して混焼缶には練炭(徳山燃料工廠製)が使われてます。
阿川弘之著「軍艦長門の一生」に、このあたりの事情が詳しく出てます。
ちなみに、戦後の国鉄(今のJR)のSLは、この技術を生かした練炭を焚いてパワーアップしたそうです(同書より)。ご参考まで。
チャチャ入れ
- >3.
海軍で言う「石炭」とは煉炭と塊炭の総称です
使用区分は
煉炭
艦艇及混焼缶ヲ有スル特務艦艇ノ行動用
第一、第二艦隊所属艦艇ノ平常用
混焼缶ヲ有スル艦艇ノ平常用
任務ノ関係上又ハ缶ノ構造上特ニ要スルモノ
塊炭
第一種
遠航スル特務艦用トシテ特ニ要スルモノ
任務ノ関係上特ニ要スルモノ
第二種
円缶ヲ有スル艦艇ノ行動用
混焼装置ノ円缶ヲ有スル特務艦艇ノ行動用
石炭専焼缶ヲ有スル特務艦艇ノ行動用
石炭専焼缶ヲ有スル艦艇ノ平常用
特務艦艇ノ平常用
(後略)
第三種
特務艦艇及雑役船用
陸上部隊用
(以上「機関術教科書」S7年改編第6版に拠る)
本題の「出雲」は昭和に入って第二艦隊から外れても原型のベルヴィール缶を換装してませんので「石炭専焼缶ヲ有スル艦艇」に該当し、平常時は塊炭、行動時は煉炭使用というコトになります
駄レス国務長官
- >4.
貴重な一次資料からの詳しい解説をいただき、ありがとうございます。
「塊炭」(=ナマの石炭)も継続して使用されていたのですね。認識を新たにしました。
吉村昭「海の史劇」などを読むと、日露戦争の日本海海戦にあたって、日英同盟との関係で、日本連合艦隊は良質の英炭を使用していたのに対して、回航中のバルチック艦隊はドイツから給炭の補給・購入を行っていたが、その実態は、実は低廉(=良質でない)日本産の石炭だった、という皮肉が描かれていたりしました。そのためバルチック艦隊は黒煙が酷い上に機関全力も上手く出せなかった、とか…
チャチャ入れ
- >5.
バ艦隊随伴の給炭船はハンブルクアメリカラインの傭船で独から出港してずっと付いて来たワケですから、積んでたのは独炭(和炭に劣るとも優らない)じゃないでしょうか
和炭を相応に使用してたのはむしろ旅順艦隊だと思いますケド
駄レス国務長官
- >6.
>積んでたのは独炭(和炭に劣るとも優らない)じゃないでしょうか
そこをズルして、安価な和炭を実は使っていた、という記述があったように記憶してるのですが… 寄港地で給炭艦自体がデポされていた燃料を補給したときに和炭を積んだ、というようなニュアンスだったかと。当該書を読み直してみます。
また、記述されてること自体が俗説に近い、という可能性もありますしね。
どちらにしろ、ご指摘ありがとうございました。
チャチャ入れ