65 |
赤城や加賀は、一段飛行甲板に改装後も8インチ砲を8門とか10門積んでいましたが 「射撃すると爆風で飛行甲板が壊れてしまうので、沈むまで一度も撃つことはなかった」 と言います。 8インチ砲8門(10門)ともなれば相当な重量とスペースを食ったと思われますが、このような無用の長物を撤去する考えはなかったのでしょうか? ベアベア |
- 開戦前の大演習でも普通に実弾射撃やってますので「撃った事はなかった」ということはありません。
SUDO
- 米軍ですら、ミッドウェー級装甲空母の時期になっても、偵察巡洋艦からの砲撃を考慮して178ミリもの舷側装甲を備えています。
実戦においても、サマール沖海戦のような「突如遭遇」例や、航行不能になった後、日本軍の艦隊前衛に止めをさされたホーネットのような戦例もあります。損傷で速力が落ちれば、捕捉される率も高くなるわけですから、8インチ砲が「無用の長物」であるかは、何とも言えません(発砲すると甲板が壊れるなど、あり得ないと思います。そんな欠陥艦を作るなら、他も多数問題になるはずですから)。
ただ、赤城や加賀が沈まなかったのであれば、戦艦副砲の例から考えて、主砲撤去で対空火器増加ということもあり得るとは思いますが。
高村 駿明
- SUDOさん、高村 駿明さん、ご回答有難うございます!
>SUDOさん
「開戦前の大演習で8インチ砲の実弾射撃を普通にやっている」
のであれば「赤城や加賀の8インチ砲を撃つと飛行甲板が壊れてしまう」というのは完全なガセネタですね。下記の本に「赤城乗組若手士官の話」として書いてあるのですが、報道班員へのジョークを真に受けてそのまま本に書き残してしまったようです。一度活字になってしまうと、話が一人歩きしてしまいますから危険ですね。
「炎の海 続 激撮報道カメラマン戦記」 光人社NF文庫
牧島貞一/著
>高村 駿明さん
「発砲すると甲板が壊れるなど、あり得ないと思います。そんな欠陥艦を作るなら、他も多数問題になるはずですから」
「ネルソン級の三番主砲の使用に大きな制限が加えられた」
「ネルソン級は運動性が非常に悪かった」
など、設計時には気がつかなくても、実際に作ってみたら大問題になった、ということはありますので「あり得ない」とは思いませんでした。ですが「何でそんな欠陥兵器をそのまま載せていたんだ?」と言う疑問を持ったので質問した次第です。
ただ、先述のように「大演習で8インチ砲の実弾射撃をやっている」のであれば完全なガセネタですね。聞かぬは一時の恥、ということで諸賢のご教示に感謝いたします。
「米軍ですら、ミッドウェー級装甲空母の時期になっても、偵察巡洋艦からの砲撃を考慮して178ミリもの舷側装甲を備えています」
ミッドウェー級は垂直防御もかなりのものなんですね。7インチの舷側装甲となりますと、デ・モイン級巡洋艦の舷側装甲が6インチのようですのでそれより厚いことになります。巡洋艦と空母では防御要領が違うだろうとは思いますが。
日本の空母でも、翔鶴型は弾火薬庫と機関部は敵水上艦との戦闘を考慮してある程度の防御を施したようですが、ミッドウェー級よりはだいぶ落ちるようです。
「ただ、赤城や加賀が沈まなかったのであれば、戦艦副砲の例から考えて、主砲撤去で対空火器増加ということもあり得るとは思いますが」
これはご指摘の通りと思います。
ベアベア(質問者)
- 赤城と加賀の「主砲射撃をすると爆風により飛行甲板に影響が出る」と言う話は、大改装前に搭載していた連装砲塔で高仰角射撃を実施する時の話だったと記憶します…。
大塚好古
- >3
「射撃すると爆風で飛行甲板が壊れてしまうので、沈むまで一度も撃つことはなかった」が本当なら、公試の際にも発砲していないことになります。
搭載兵器を一度も試験しないなどということはあり得ないと思いますので、演習記録がなかったとしてもガセネタとしか思えないわけです。
で、公試のさいに「発砲することで、飛行甲板が損傷したことがあり、以降危険なので発砲しなかった」というケースもやはりないと思います。
少なくとも、完成時には8インチ主砲に期待する部分は大きく、近代化改装時に残したことを考えても(この時期の蒼龍型には6.1インチ主砲を搭載しようとしていたことに注意)、それなりに役割がある兵器であることは確実です。ですから、これが使いものにならないということは、大問題になり、様々な対策工事が行われると思います。しかし、そうした記述は例示された他の文献で見たことがありません。
で、重巡洋艦の8インチや、戦艦の14〜18インチで発砲時に甲板が壊れることがない以上、改修工事(飛行甲板の強度を増加?)自体は難しいものではないと思いますので、事実なら「改修が実施された」という記録も残るものと思います。
以下余談ですが、ミッドウェー級の真骨頂は、むしろ舷側装甲(垂直装備です)ではなく、甲板装甲にあります。同級の水平装甲合計厚は191ミリにも及び、一枚の装甲に換算しても140ミリ級の防御力があるそうです。舷側はともかく、甲板装甲は14インチ砲でも撃ち抜けないかもしれませんね。
あと、世代的に考えるなら蒼龍型=ヨークタウン級、翔鶴型=ホーネット、大鳳型/信濃=エセックス級なので、翔鶴型とミッドウェー級を直接比較するのは気の毒なようにも感じますね。
ちなみに同時期艦である、大鳳/信濃とエセックスを比較するのであれば、概ね日本空母の方が数値的には重防御と言えます。
◆舷側装甲
大鳳:70〜185ミリ傾斜(翔鶴型は30〜127ミリ傾斜。ただし100ミリ、165ミリ説もあり)
信濃:200ミリ傾斜
エセックス級:63〜102ミリ垂直
ミッドウェー級:76〜178ミリ垂直
◆水平防御
大鳳:20+75ミリ(飛行甲板)+75ミリ(弾火薬庫と爆弾庫。翔鶴型は下甲板に65+25ミリ)
信濃:20+75ミリ(飛行甲板)+100ミリ(下甲板。ただし190ミリ説もあり)
エセックス級:63ミリ(格納庫甲板)+13ミリ+6ミリ+38ミリ(下甲板)
ミッドウェー級:89ミリ(飛行甲板)+51ミリ(格納庫甲板)+6ミリ+51ミリ
高村 駿明
- >4
大塚先生、ありがとうございます。構造を見る限り、飛行甲板2段目の連装砲塔装備部は、そのまま羅針艦橋の壁面となっており、砲の爆風が飛行甲板を突き上げるようには見えませんので、不思議に思っておりました。
でも、同砲塔は最大仰角70度とのことなので、確かに仰角を一杯に揚げれば、爆風が一段目の甲板を叩くかもしれませんね。
思慮の浅いことを書き、恐縮です。
高村 駿明
- >高村 駿明様
>ただ、赤城や加賀が沈まなかったのであれば、戦艦副砲の例から考えて、主砲撤去で対空火器増加ということもあり得るとは思いますが。
お聞きしたいのですが対空火器の増加は確かにあり得ると思いますが
あの位置の砲を撤去したとして何を搭載するのでしょうか?
高射砲にせよ機銃にせよ位置が低すぎると思うのですが…
霧番
- >7
艦内構造図を持ち合わせているわけではないので、実現可能かはわかりません、と前置きした上で恥じを忍んで書きますね。
砲撤去で不要になった主砲弾薬庫は、例えば増設困難と見なされており、かつ当時必要と考えられている、航空燃料庫や爆弾・魚雷・高角砲・機銃弾薬庫に転用するとか、そういう使い方をするのではないでしょうか。
重心が怖いですけど、そこは対応不能というほどでもないでしょう。
対空火器は翔鶴型の例からしても、ミッドウェーで沈まなければ増加されたと思いますが、戦艦ですら、対空火器の重量増加への対応で副砲を降ろしてますけど、空母で降ろせるのは主砲くらいではないかと。
まあ、あの位置の主砲が撃てて、射撃指揮も可能なら、跡地に高角砲を取り付けても、使えないことはないとも思えますが、適当な装備砲がなさそうなのが難ですね。
高村 駿明
- 高村様
回答ありがとうございます
>航空燃料庫や爆弾・魚雷・高角砲・機銃弾薬庫に転用するとか、そういう使い方をするのではないでしょうか。
やっぱりその辺りが落とし所なんでしょうね
>あの位置の主砲が撃てて、射撃指揮も可能なら、跡地に高角砲を取り付けても、使えないことはないとも思えますが、適当な装備砲がなさそうなのが難ですね。
そもそもあんなところに取り付けたら波はかぶるは排煙はきついはでえらい事になりそうな気がしますね
霧番
- >9
あの位置なら巡洋艦の高射砲と海面からの高さは変わらんから無理ではないでしょう。排煙もシールド付きなら我慢できるでしょうし。問題は射界かと。仰角あんまとれません。真上はまったく撃てません(下手にとると上の庇?を撃つかも知れませんw)撃てるのは雷撃機ぐらいかと。そうすると砲をそのままにしてもそうかわらないんじゃないでしょうか?(8インチで対空用の砲弾ってありますよね?)
Alphabette
- >10
レイテ沖海戦では、長門・金剛・榛名はスポンソンの副砲を対空火器としても、それなりに積極的に使用しています。
弾種としては、零式通常弾を対空用としていた様で、相当射耗しています。
榛名が出している命令を見ると「副砲、雷撃機に備え」とありますから、雷撃機用としていたのかもしれません。
レイテ後の榛名の所見では「副砲の対空用弾薬が足りない」と書かれていますし、長門の所見では「副砲用に三式弾の様な大威力の対空用砲弾が欲しい」とも出されています。
赤城・加賀がMIで沈まなかった場合、戦時中にどれだけ改装に時間を掛けられるかにもよりますが、時間が掛けられないケースでは騎銃の増設と共に主砲はそのままにしておいて、弾頭信管付き通常弾での雷撃機用対空射撃を行う様にしていたかもしれません。
伸
- 誤字訂正
騎銃 → 機銃
失礼しました〜。
伸