51  世界の艦船を見ていて気づいたのですが、第二次大戦時の戦艦の主砲の府仰機構は、

 日:蒸気水圧ポンプ駆動水圧シリンダー式。
 英:蒸気水圧ポンプ駆動水圧(油圧)シリンダー式。
 米:電動機駆動水圧(油圧)シリンダー式。
 独:電動機駆動歯車式。

 と、ドイツのみが砲身と駆動機構を歯車によって接続しています。これがドイツ戦艦が砲塔付近に砲撃を受けたとき、装甲を貫徹されなくても主砲が使用不能になる弱点となっているのではないかと思うのですが、実際のところ、歯車は水圧(油圧)シリンダーより衝撃に弱いものなのでしょうか?
因幡

  1. 着弾衝撃を受ける砲塔内の可動部分は液圧シリンダーや歯車だけじゃないと思いますケド
    ようは駆動方式どうこうよか衝撃荷重に対する各部材の安全率をどの位見込んでるかの問題ではないでしょうか
    また設計時の強度計算自体は妥当であっても材質不良・工作不良・経年劣化などで所期の強度を発揮できないことも有りますからねー
    具体的に「砲塔付近への着弾衝撃で主砲が使用不能となった独戦艦」の個別事例が判れば、他の方より因果関係について詳細にご回答があるかと存じます
    駄レス国務長官

  2.  駄レス国務長官様、レスありがとうございます。

     個別の事例としてはビスマルクのそれくらいしか承知していないのですが、ミュレンハイム=レッヒベルクの「巨大戦艦ビスマルク」P365によりますと、

     ノーフォークの見張員は、ちょうど砲の上下動機構が直撃でも食らったようにアントンの連装砲はともに最大俯角を向いてしまったと証言した。彼はまた、ブルーノの砲身は二門とも横を向き、逆に上方をにらんだままになったと説明した。

     とあります。また大塚好古氏のホームページによれば、

     0859時、「ロドネイ」の16in砲弾が「ビスマルク」の前部一・ニ番砲塔至近の中間位置に命中し、上甲板で炸裂した。この砲弾自体は艦内には突入しなかったものの、その爆発によって艦内に大量の破片を撒き散らし、前部一・ニ番砲塔区画に損傷を与えてこれを動作不能としたのであった。「ロドネイ」の僅か一発の砲弾が、「ビスマルク」の主砲火力を一挙に半減させたのである(*8)(*9)。
    (中略)
     「ビスマルク」の後部主砲塔群は「ロドネイ」に向けて砲火を開いていたが、0921時になると「キング・ジョージ五世」の14in砲弾が三番砲塔前楯に命中している。この砲弾は信管が過敏であったのか装甲を貫徹せずにその砲塔前楯で爆発したが、これにより三番砲塔の右砲が俯仰不能となった事から三番砲塔砲塔長の独断によって発砲を中止するところとなった(*16)。

     と、あります。
     以上からビスマルクの4砲塔中3つまでが、装甲を貫通されなかったにもかかわらず、府仰機構を破壊されて使用不能になったものと考えました。シャルンホルストもその最後の戦いにおいて似たような事例があったと記憶しておりますが、具体的なことはわかりません。
     このような事例がドイツ戦艦以外に起こったという話を聞かないため、ドイツ戦艦独特の部分に何か弱点があるのではと考え、ふと気づいたらドイツだけは府仰機構が独特だったので、これかな? と考えたわけです。
    因幡

  3. WWIでの事例ですケド、天蓋に浅落角で命中してタマは跳ね返されたものの天蓋裏面の電気配線が陥没により切断され、以後砲塔が動かなくなったってのが有ります
    お示しの状況からは飛散した破片による電気系統の損傷もしくは可動部への噛み込みの可能性が高いと思われますケド、確かなトコロはオーシカ先生にご説明いただきましょう
    駄レス国務長官

  4.  闖入失礼。
    >このような事例がドイツ戦艦以外に起こったという話を聞かないため
    (因幡様)
     重防御がウリのハズの米サウスダコタでも、戦艦霧島の非徹甲弾の三式弾の被弾で後部砲塔が旋回不能になっています。俯仰にしろ、旋回にしろ主砲塔が精密機械であることに変わりはなく、被弾で微妙なところに故障というレベルの不具合が生じても使用不能になるというのは、どこの国の艦でも起こり得るのではないでしょうか? 独艦のみ脆弱とのご見解には同意できません。

     毎度お邪魔虫の便乗質問
     終戦間際の呉大空襲でも、我が日向か伊勢のどちらかが、一番主砲塔に爆弾が直撃して使用不能になっています。「世界の艦船」では掲載写真のキャプションで
    >外観からは異常は見られないが、この被弾で一番主砲塔は使用不能になった
    とありました。我が戦艦の場合は、どこが壊れて使用不能になったのでしょうか?

                                 09.5.04未明記
    NG151/20

  5. >駄レス国務長官様
     ありがとございます。
     うーん、言われてみればそうなのかなあ、という気もしてきました。歯車を使うと噛みこむ部分が多くなるということはあるのかもしれませんが、関係ないのかもしれませんね。

    >NG151/20様
     サウスダコタに関しましてはここhttp://www.dcfp.navy.mil/mc/museum/War_Damage/57.pdf
     を、私のつたない英語力で要約の部分だけ読んだところによりますと、霧島の砲弾が原因ではないように思えます。ですがうかつに信用せずにリンク先でお確かめください。
     日本戦艦の事例に関してはまったく知りませんでした。

    因幡

  6.  因幡様
    >霧島の砲弾が原因ではないように思えます。
     サウスダコタの損害に対しては、「世界の艦船」でだいぶ前ですが
    >霧島の主砲弾が、第三砲塔に命中し、同砲塔は使用不能になった。
    >至近距離からも命中弾であり、主砲塔が使用不能になるのは当然であろう。
    との記述を読んだ記憶があり、「丸」でも
    >主砲弾2発、副砲弾多数が命中し
    とありました(いずれも記憶モード、号数失念)。

     今回ご教授いただいた英文を見る(読むというレベルではありません。お恥ずかしい)と
    Structural Damage の最後の-10-ページの上段に

      Hit No.26
    An estimated 14-inch projectile passed through boss side of
    (中 略)
    Detonated upon hitting the barbette of Turret III at flame 123

    という記述があるので、霧島の14インチ弾が第三砲塔、少なくともバーベットなど関連構造物に命中しているのは間違いなさそうです。

     英文読解に間違いあれば、先達諸兄の皆様、ご指導願います。
                                 09.5.05夕方記
    NG151/20@英語は赤点

  7. Before receiving the fist hit,SOUTH DAKOTA experienced electrical difficulties initiated by the shock of Turret III firing astern.
    Although not the direct result of enemy action,an analysis of this casualty has been included herein because the loss of power to Turret III seriously hampered SOUTH DAKOTA during the action.
     初弾を受ける前に、サウスダコタは三番砲塔の最初の発射時の衝撃により電気に関する障害を経験していた。
     敵の行動を向けられた結果ではないけれども、分析によるとこの事故に含められた、何故ならサウスダコタの行動を通じて三番砲塔が力を失ったことは重大な妨げだった。

     私の英語力ではこれが限界でした……。
     三番砲塔に命中した砲弾で受けた被害に砲塔が動かなくなったとかそういう記述はないようで、砲塔が旋回不能だったことが事実なら、どうもサウスダコタの三番砲塔は撃たれる前から電気系統の故障により動けなくなっていたように思えます。
    因幡


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