1687 アジ歴で見れる九九式軍偵察機審査成績ノ概要 によると当機は最高速度が高度1000mで417km/hとなっております。
一式戦闘機一型(隼)の最高速度は高度1000mだと435km/hという数字です。
ハ26-2だから全開高度が全然違うのですが、翼面積がずっと軍偵の方が大きい事を考慮すると、
ちょっと一式戦闘機一型の性能はエンジンの額面割れを疑いたくなる数字なのですが
脚も出とりますし。
なぜ一式戦闘機一型の性能がとりわけ不振なのか、本当の理由を教えて下さい。

  1. 一式戦闘機一型(キ43-I)「隼」の性能/は以下のブログからお借りしました。
    http://warbirdperformance.livedoor.blog/archives/2666950.html


  2. この数値はハ二五に航空八七揮発油を使用して計測されたものです。
    もう少し良いはず、と思っていらっしゃるとしたら理由の一つはそこにあります。
    また「額面割れ」と仰る場合の「額面」とはどんな数字なのでしょう。

    BUN

  3. TAIC Manualによれば、ハ25は海面高度の公称出力860HP/2600rpm/吸気圧35インチ/87オクタンとなっています。
    ハ26IIは同じく850HP/2500rpm/36インチ/87オクタンです。
    「額面」というのはこの数字であろうと思います。

    一式戦1型は翼面積22.0m^2、翼幅11.437m
    九九式軍偵は翼面積24.0m^2、翼幅12.1m
    馬力はほぼ同じで翼面積は一割程大きく、固定脚なのに速度があまり違わないという疑問ももっともです。
    そこで翼厚比を調べますと、一式戦は18%〜8%でかなり厚翼です。
    九九式軍偵はちょっとデータがないのですが、「精密図面を読む」の図面に定規を当ててみますと、だいたい14%〜9%ほどでした。
    機首まわりを見ますと、一式戦1型は機首下に気化器エアダクトがかなり出っ張っているのに対し、九九式軍偵の機首下の滑油冷却口は引き込み式です。

    原因のいくつかはこのあたりじゃないかと思います。
    超音速

  4. 操縦参考書記載の馬力です。宜しくお願いします。




  5. 各位様 非常に参考になります

    ・翼厚比
    厚い翼ほど抵抗係数は悪い(大きい)という認識で良いですね。
    抗力係数については以下の様に書いてありました。
    「翼型、翼厚比と最小抗力係数の系統的な相関を Figure.12 に示す。全ての翼型について、翼厚増加に伴う抗力係数の増加が認められる。」
    http://www.warbirds.jp/siryo/naca824.htm
    従来翼型だと、14%→18%で1割程度悪化する様ですね。

    翼断面がそこまで違う事は盲点でした。
    主翼面積が大きい機体ですので、この違いは大きいですね。

    ・機首周り
    確かに、カウルの設計が盲点でした。
    ここで気になるのが、九七式戦や97式3号艦攻ではスッキリしていて、
    十分平滑だったカウルが、一式戦ではここまで変なスタイルになってしまったのかという点です。

    どうも、オクタン価問題は継続として、やっぱり空力的な要因はとても大きい様に思います。




  6. オクタン価の問題が一番重要です。
    昭和16年1月に「九七戦と大して変わらない」とされた速度を向上させるため、
    海軍の零戦と同じ航空九二揮発油の使用が検討されます。
    この時のハ二十五とは零戦に使用された栄一二型そのもので、
    航空八七揮発油ではブーストがかけられず、回転も制限されるため、
    九九軍偵のハ二十六 二型(低高度用)よりも馬力が出ないのです。
    小山技師が性能改善策として二速過給機のハ一〇五への換装と共に
    キ四十三の最大速度を五〇〇km/h以上に持って行く方策として
    「ハ二十五の性能向上」を挙げているのはこうした理由で、
    性能向上とは使用燃料の変更を意味しています。
    ちなみに「大して変わらない」と評された九七戦量産機の
    最大速度は高度1,000mで437km/h(260号機で実測)です。
    BUN

  7. 両者のエンジン出力が同等、ではなく、ハ二十五の方が劣るので
    空力どころの騒ぎではない、ということです。
    推論の前提が間違っています。
    BUN

  8. ありがとうございます。
    各位様
    一式戦一型に92オクタンを適用したスペックというのは存在するのでしょうか。



  9. 「この時のハ二十五とは零戦に使用された栄一二型そのもので」ということは、3.で出したデータのハ25とは別物ということでしょうか?
    栄一二型は
    公称一速950HP/2500rpm/ブースト圧150mm/過給器増速比7.53/九二揮発油で、
    本来のハ25は
    公称一速955HP/2600rpm/吸気圧35インチ(ブースト圧130mm)/過給器増速比7.125/八七揮発油
    となってます。栄一二型に八七揮発油を入れブースト圧130mmに抑えようとすると過給器増速比が速すぎるので回転数を上げられず、したがって馬力が減少したということでしょうか。

    >8.
    零戦21型の等価抵抗面積は(Cd・S)は0.45m^2ぐらいです、一式戦1型は厚翼なのでちょっと増やして0.46として試算すると、高度1000mで860HPならば455km/hぐらいのはずとなります。
    このCd・Sで435km/hだったなら、760HPぐらいの出力だったことになります。
    超音速

  10. 確かに、87オクタンで同じ馬力が出せたら苦労はないですね。
    高度1000mで20km/h相当の速度が上がるとみて良いですね。
    ありがとうございます。


  11. >9 「3.で出したデータのハ25とは別物ということでしょうか?」

    そうではなく、TAICのデータが当てにならない、ということです。
    そこが今回の勘違いの始まりですね。
    発動機の正体としては、ここで上がった速度を計測した際の発動機は「栄」一二型初期生産機そのものです。

    BUN

  12. 3.と9.で出したデータはTAIC Manualだけでなく複数の資料を参照したものです。

    したがって、本来のハ25とは八七揮発油仕様としてきちんとセッティングすることで(ブースト圧低め・回転数高め)、栄12型と同等の公称出力を出していると判断し、「ハ二十五の方が劣る」とは九二揮発油仕様の栄12型に八七揮発油を入れただけなのでセッティングが合っておらず馬力が出ていない状況だと考えた次第です。

    もちろん、データ上の馬力とは地上試験の測定結果に補正値を掛けた推定値にすぎないことは了解しています。
    超音速

  13. ブーストを下げて回転数を落とせば出力は大きく低下します。
    セッティングで何とかならるものでもありません。
    お話はむしろ逆で、栄という発動機そのものが当初は航空八七揮発油を使用する前提で設計されいたところ、寿四〇型と同じく全力運転ができず、航空九二揮発油に換えているのです。
    十試空冷六〇〇馬力発動機が航空九二揮発油前提で設計される訳が無いですよね。
    陸軍の九九式九五〇馬力発動機の取扱説明書が使用燃料を航空八七揮発油としているのはその名残なのです。
    しかしそれでは計画した性能が得られないので海軍に倣って燃料を変えています。
    ですから、航空八七揮発油に適したセッティングが行われれば栄一二型並みの運転ができる訳ではないのです。
    BUN

  14. おかげさまでようやくわかりました。
    取扱説明書は八七揮発油としているが実際は九二揮発油に変更されたと。
    9.で計算したように八七揮発油では760HPぐらいしか出てなかったんでしょうね。

    100rpm上げて同等の出力というデータはちょっと違和感ありましたが低高度なら成立するんだろうと思っておりました。
    もしかしてハ26のほうも同じく九二揮発油なんでしょうか。
    超音速

  15. ブーストを下げて回転数を落とせば出力は大きく低下します。
    セッティングで何とかならるものでもありません。
    お話はむしろ逆で、栄という発動機そのものが当初は航空八七揮発油を使用する前提で設計されいたところ、寿四〇型と同じく全力運転ができず、航空九二揮発油に換えているのです。
    十試空冷六〇〇馬力発動機が航空九二揮発油前提で設計される訳が無いですよね。
    陸軍の九九式九五〇馬力発動機の取扱説明書が使用燃料を航空八七揮発油としているのはその名残なのです。
    しかしそれでは計画した性能が得られないので海軍に倣って燃料を変えています。
    ですから、航空八七揮発油に適したセッティングが行われれば栄一二型並みの運転ができる訳ではないのです。
    BUN

  16. 各位
    回転数を上げてブーストの低さを補った、或いは過給器の増速比を変更したというのが本当なら、一応ハ25は栄12型そのものとは違う感じに聞こえます。
    あるいはTAICのスペックが日本側の記載と間違っているかのどちらかだと思います。


  17. 追記
    ただ、ブースト制限で速度が出せないのに、最高速度は495km/hという実測値に対し、エンジンの離昇馬力を950hpと書いちゃってしまうのは既に陸軍がおかしい気がします。
    (一般的に突っ込まれないけど、これって自分の感覚が変なのかな?)
    宜しくお願いします。


  18. >16 そんなことはしていません。

    >17 他の機体の数値も良く調べると適当に他の型式から流用したものなどが目につきます。そういうものなのです。

    ですから鹵獲兵器レポートでも陸軍の資料でも、そこの数値はよく調べないとあれこれ言えません。
    正体不明の数値を真に受けて、計算を始めて何かを主張する戦後のファンのほうがおかしいと思いますよ。
    BUN

  19. TAIC Manual以外の参照元
    世傑スペシャルエディション6零戦、栄発動機諸元表(胃袋豊彦氏作成)
    図解軍用機シリーズ2、九九式双軽1型主要目
    精密図面を読む1、一式戦1型
    同3、九九式襲撃機/軍偵察機
    Warbirds参考資料・航空機エンジン一覧

    公称出力などのデータはほぼ一致しており記載間違いではないと確信してました。過給器増速比は胃袋豊彦氏の資料からです。

    これらすべて正体不明の数値とは手厳しい限りです。
    超音速

  20. 出所が判らない数値は「正体不明」です。
    引用、孫引きを繰り返した数値の元を辿ると実は同じものだったりするのです。
    多くの出版物やネットのサイトで扱われているからといってそれが正しい理由にはまったくならない、ということです。
    BUN

  21. 各位
    War-Thunderのディスカッションで、一式戦一型の最高速度505km/hの数字を見ました。
    92オクタンの数字とはこれの事でしょうか?


  22. 505km/hという数値は、いい所をついていると思いますが、
    たぶん、想像が入った数値ではないかと思います。
    BUN


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