1673 質問1662の関連質問です。

偶然ですが雑誌「歴史群像2021年10月号:蒼空の記憶」にB25ミッチェル襲撃機(質問1662によればBナンバーで襲撃機というのは表記矛盾になるので、正確にはB25のうち襲撃機型J、G、H型)の記事がありました(文:白石光)。

これによれば「都市をはじめ人工的に整備された地形が多いヨーロッパとは異なり、ジャングルの狭間に木造の小屋が点在するような、自然地形と人工地形が錯綜した太平洋戦域の島嶼部では、爆弾散布界が広い水平爆撃はあまり効果的ではなく、目標に向けて超低空で突進し、ピンポイントで爆撃を加える方が有効であることが判明した。」とあり、爆撃機的用途と襲撃機的用途の差を戦域の地形にあると記しています。さらにB25ミッチェル襲撃機(型)の主要な用法として日本軍の輸送船団攻撃任務について触れています(これを戦略的用法とするか戦術的用法とするかは別にして)。

あくまでもB25ミッチェルという1機種についての記事であり、また私個人の意見ですが、質問1662のBUN様、にも様のご説明より明確かつ明瞭であり、第二次大戦中において既にAナンバー(襲撃機)、Bナンバー(爆撃機)の区別が有名無実化していたことを表すものではないでしょうか?

ひるがえってくどいとは思いますが、識者の皆様のご意見を広くお伺いするしだいです。
備後ピート

  1. B-25は平時ならば発注されなかったかもしれない機体で、
    マーチンでのB-26生産能力不足を補う目的で
    B-26より小型で軽量な補助的双発爆撃機として採用されています。
    そうした機体が攻撃機任務に回されるのは当然ともいえる結果です。
    A-20の操縦席とB-25、B-26の操縦席の写真を見比べてみてください。
    近距離用の地上攻撃機と遠距離用の双発爆撃機の違いがよくわかります。

    そして質問にある記事の記述は余り適切とは言えません。
    BUN

  2. 難しく考えすぎでは?
    ペイロードを大きく取ったのがB。
    ペイロードは小さめで離陸距離を短くしたのがA。
    1940年以降の世代については上記に加え
    高高度爆撃をするのがB。
    低空攻撃を行なうのがA。

    BがAの仕事をする時があるが、それは単に大が小を兼ねてるだけでよくある話。
    これでいいんじゃないでしょうか。
    超音速

  3. 欧州・地中海戦線では低空攻撃は対空砲火の被害が大きく、艦船攻撃を除き中高度爆撃が主体となりましたが、太平洋戦線では対空砲の密度が低いため低空攻撃が積極的に行なわれました。
    低空攻撃は直前まで発見されにくいという利点があります。
    欧州戦線でも末期には低空攻撃が再開されています。
    これはAにもBにも共通することです。

    ちなみにB-25はB-26より離陸距離が短く、航続距離が長かったので太平洋戦線に重点配備されました。
    超音速

  4. その1662に追記したのでそちらを踏まえて書きます。
    http://stanza-citta.com/bun/?p=84
    http://stanza-citta.com/bun/?p=85
    http://military.sakura.ne.jp/world/w_a18.htm
    米空軍(陸軍航空隊→同航空軍)におけるschnellbomberの集大成であるダグラスA-26は、機種を水平爆撃照準手が乗り込むグラスノーズと、銃砲を装備するソリッドノーズとに、換装可能ですが、朝鮮戦争の際にダグラスB-26の機種で需要が多いのに供給が少なく不足していたのはグラスノーズの方だったと以前読んで、WW2に於ける爆撃機のソリッドノーズ版の存在理由についても得心がいきました。
    ウィキペディアの記事ですが、陸軍はノルデン照準器を海軍を通じてしか調達できず増産に身を入れないため需要に対し調達数が下回っていた、とあります。陸軍は同様の、機体を操縦出来る爆撃照準器をスペリーに並行して開発させていましたがノルデンに比べ評判が悪く、空軍のが主力と考える爆撃機に先ずノルデンを、補助と考える爆撃機にスペリーを、そしてそれらも廻らず機体を操れる爆撃照準器が積めない機体では独立しての水平爆撃能力自体を諦める。水平爆撃は編隊を組み先頭機の嚮導を承けて一斉投下しますから、理屈の上では先頭の嚮導機にだけ水平爆撃照準能力が在れば良いのです。
    シュネルボマーのソリッドノーズ版は爆撃照準器が足りなかった時期の苦肉の策であり、それが広漠な戦域に点目標が散在するその時期のアジア太平洋戦域の戦場での戦技に適合していた為「案外役に立った」、が真相でしょう、ロッキードの旅客機改哨戒爆撃機がグラスノーズからソリッドノーズに移行したのも同様(目標は海上・海中)の理由と思われます。空軍が考える主力のシュネルボマーであるマーチンB-26は全てグラスノーズでソリッドノーズは在りません、全て英等同盟国に貸与されたマーチン・メリーランド/バルチモアもそうです。ソリッドノーズ版が在るのは補助と考えられたB-25とA-20です。
    にも@返信。

  5. 繰り返して言いますが、A-26は仰るところの「シュネルボマー」じゃないですよ。夜戦、A-20後継の双発軽爆、偵察機を兼務する小型双発攻撃機として開発された機体です。敵戦闘機を振り切る高速などは求められていません。
    BUN

  6. 1662,ansq01.に再び追記しました。
    私がダグラスA-26を米陸軍航空軍に於けるシュネルボマーの集大成と呼んだのは、大戦前半に米陸軍航空隊が「schnellbomber」として開発・採用した機体群の集大成、という意味です。
    同機に最早敵戦闘機を振り切る高速が求められてはいなかった、というのはその通りですが、真意は上記の通りです。不分明な書き方をして煩わしました。
    亦マーチン・バルチモアには英軍規格の機銃を多銃装備したソリッドノーズ版が在るようですね。
    処で
    バルティー・ベンジャンス、米軍事調達局に「金と労力の無駄」と書かれ大変なこき下ろされようですが、
    アジア・太平洋の様な第二線の戦場ではそれなりに使いでのある機体だと思いません?
    或は逆に
    ロッキードP-38には機首を爆撃照準手が乗る「垂れっ鼻(droop snoot)」というグラスノーズに換装した爆撃嚮導型が有りますが、
    水平爆撃をやるなら搭載力そして防御力が十分な、基からグラスノーズを備えた双発以上の爆撃機に委ねた方がやはり良い筈です。

    単発、或は戦闘機から転用した爆撃機には持ち得ない、双発以上の爆撃機だけが持ち得る機首の透明な爆撃照準席を、態々潰すなどという事を最初から望んでやる訳が無い、
    海軍の組織エゴで爆撃照準器の数が全然足りてないという外因がなければ双発爆撃機を攻撃機に堕とすなどという事はやらなかった、
    そして案外使えるからとソリッドノーズの割合を増やしすぎて大戦後段に「爆撃機のグラスノーズ(自立した水平爆撃能力)が足りない」となるのです。

    大戦末期に操縦系統と同期されるレーダー爆撃照準器が登場し戦後の米空軍は急激に爆撃照準窓を潰していきますが、
    マーチンB-57はホーチミントレイルへの爆撃任務で、豪空軍のキャンベラが備えるグラスノーズからの目視による水平爆撃の嚮導を受けてます。
    ロッキード旅客機から派生した哨戒爆撃機PVは最初グラスノーズのちソリッドノーズですが、その後継機P2Vはグラスノーズで
    種別を対潜哨戒機と改めてからの更なる後継機P3Vは機首をグラスファイバー製のレドームに「止揚」しましたがそれは旅客機派生故で
    同時期のブレゲー・アトランティックはP2V同様新規設計であり、グラスノーズの見張窓を機首に備えています。

    にも@追伸。

  7. 備後ピート様は、「攻撃機」「爆撃機」或は「戦闘機」なるものが客観的に存在すると考えておられるようですが、
    事実は関係する各部署の掲げたり密かに奉じたりするドクトリンとそれに基づく組織利害に基づいて決められる。
    再三上げたBUN氏の記事以前に日本海軍で「攻撃機」「爆撃機」がどの様に定義されてるか、思えば判ると思うのですが。
    戦後の話ですが、大量報復戦略以降米空軍は戦闘機を総schnellbomber化するドクトリンを定めマクナマラによる三軍統合を経た21世紀現在でもそれは基本変わってない、
    そしてその戦闘機が戦闘機こそがschnellbomberであるという米空軍のドクトリンはBUN氏の記事に在るように陸軍の下部組織であった時代の非公式のドクトリンに遡る。
    米空軍の「戦闘機」は「空中の敵と(だけ)戦う機種」という意味では決して無い。
    地上の敵と戦う「攻撃機」と、空中の敵と戦う「追撃機」とを統合した機種区分が米空軍の「戦闘機」であり
    地上の敵であっても、損害多く戦果少ない前線の敵よりも、戦果多く損害少ない後方の敵を志向する事が、より望ましい。
    つまりschnellbomberで、米空軍はschnellbomberを目指すよう「(追撃機では無く)戦闘機」という機種区分を改めて定め定義したのです。

    にも@参伸。


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