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戦間期、爆撃機の方が戦闘機より高速になったために戦闘機無用論が発生しましたが、爆撃機の方が先に単葉全金属化したために起こった現象のように思っています。 何故、爆撃機の方が戦闘機よりも先に単葉全金属化することが出来たのでしょうか? きっど |
- 戦術思想や政策的な面もあるにはありますが、大型機メーカーには全金属製機の製造技術で優位に立ち、小型機メーカーはその変化に一歩遅れる傾向があったことが大きく影響しています。大型機を扱うメーカーは経営の規模と技術力で小型機メーカーを凌ぎ、その上で小型機より収益の上がる大型機の製造にその技術が優先的に使われていたということです。
BUN
- >1.
そうした実態は、当時の関係者間でどの程度、共通の認識となっていたのでしょうか?
共通認識となっていたなら、「戦闘機より速い爆撃機なんざ一時の夢だ」ということも理解され、「戦闘機よりも速い爆撃機よりも速い戦闘機」の実機出現を待たずに済んだ気がいたします。
ロク
- 1.のような認識は後世の眼から言えることですから、当時の各国空軍関係者達がそのように感じることは無いでしょう。
戦闘機無用論については実機の性能云々よりもドーエの著作などの影響も見なければいけませんから尚更です。ドーエの言うように航空戦は侵入する側が時間、方向、高度ともに自由に選べるので優位にあり、空襲は防げないという考え方そのものは金属製機の普及後もずっと生き残りますから、飛行機の開発状況だけが原因ではないんです。
BUN
- ご教示ありがとうございます。
会社の規模や技術力の差は当時のほうが肌身に感じられたかと思いますが、それだけではなかったということですね。
ロク
- 遅くなりましたが、回答ありがとうございます。
まとめると、ドゥーエの理論とそれを可能にする爆撃機の2つが揃ったことにより、ドゥーエの理論通りの戦争が実現できるようになったと思われていたわけですね。
また、仮に爆撃機より高速の戦闘機が有ったとしても、早期警戒管制システムが無ければ戦闘機が会敵するのは困難なので、航空機の開発状況だけが原因ではないと。
きっど
- BUNさんが書かれた後なので、これは蛇足ですけれども、戦間期に爆撃機の方が先に単翼全金属化できた一因には「軍用機よりも先に民間機(旅客・輸送機)が単翼全金属化した」影響があると思っています。
事実、この時期に開発された爆撃機の中には、旅客・輸送機からの改造機あるいは旅客・輸送機を原型に開発された機体が少なくないのです。
戦間期は世界恐慌があった為に、軍事費が抑制された結果軍用機(特に戦闘機)の開発が停滞した時代です。
その反面、旅客・輸送機の分野では航空運輸事業の合理化・収益力の強化と言う観点から新技術に関するニーズが軍事よりも強かったのです。
この時期にハインケルHe70、ユンカースJu52、ボーイング247、ダグラスDC-2/3と言う単葉全金属旅客機が生まれたのは偶然ではありません。
つまり、戦闘機よりも爆撃機の方が民間の旅客機・輸送機からの技術的フィードバックを受けやすく、しかも安上がりに実用化できるから軍事費の抑制にもなるという状況が存在した訳です。
瀬戸の住人
- 戦間期頃の中型以上の機体ということでいうならば、爆撃機と輸送機旅客機の両方に使うつもりで開発されたものがひじょうに多い、両方に使える、ということは開発に投入したものが比較的回収しやすい、ということでもあります。
たいていのこうした機種は、はじめから両用に考えられていたのであり、どちらが先か後か、と考えないほうがよいのかもしれません。
片