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太平洋戦争時の空戦記を読んでいて疑問に思ったことです。 飛行機の高度を上げるときの方法ですが 一旦降下して飛行機の速度を増し、その勢いで上昇する。 といった方法をとっていた。とありました。 この方法は、降下して、位置エネルギーを運動エネルギーに変えるわけですが降下した分のエネルギーは、再び上昇して、元の高さに戻ったときには0に なっています。 最も高度を下げたときには、速度が一番速くなっているわけですが、空気抵抗は、速度の2乗に比例して大きくなるので、速度を上げるほどロスが多くなります。 こう考えますと、ロスを増やすような降下をせず、普通に上昇したほうが効率よく上昇出来ると思うのです。 すみませんが、私の考え方の間違っているところを教えて下さい。 よろしくお願いします。 AK47 |
- 飛行機は主翼の仕組み上、極端に遅い速度では浮きません。また主翼の効率が良い速度というものがあります。一般的に空中戦を始める前は巡航や空中待機で比較的低い速度です。この状況では上昇に費やせる速度余裕が無く、エンジン出力だけでは、それほど機敏に上がっていけません。またエンジンも高度等で出力が変わります。
そこで降下+エンジン全開で一気に速度を乗せてから上昇に転じるほうが、場合によっては目標高度まで早く上がれるのです。
SUDO
- 私が座学で学んだ事でありますが、
『最良上昇角速度』と『最良上昇率速度』があります。
前者は、最も最良な上昇角を得られる速度で一刻も早く高度を稼ぎたい時に使います。後者は単位時間内で最良な高度を稼ぎたい場合に使います。
分かりやすく言えば、前者はできるだけ早く障害物(山脈、積乱雲)を避けたい場合、後者は、時間効率で最も高度を稼ぎたい場合でしょうか。
一般的に、
最良上昇格角速度<最良上昇率速度
となります。
当時の操縦マニュアルでそこまで教えられていたかは私は存じません。また、戦記にあげられた戦況にもよるでしょう。
単位時間内に最も高度を稼ぎたい場合には『最良上昇率速度』使います。ですから、質問のパイロットは(追尾されているなどの緊急の状況でなければ)最良常用率速度を利用したでしょう。
yama
- 最も上昇率の大きくなる速度は巡航速度よりもかなり低いところにあります。単に目標高度に早く到達するだけなら、この最適上昇速度で飛べばよいと思いますが、この状態では十分な運動性を発揮できません。
たとえば、スピットファイアMkVのフライトマニュアルでは、海面高度で最大上昇率となるのは、指示対気速度170マイル/時、経済巡航速度は180マイル/時となっています。これに対して、ループ、ロールなどの機動は300マイル/時付近で行うように指示されています。
お読みになった空戦記の場合、早く高度をあげることよりも、早く機敏な動作ができる状態に持っていくことを優先させているように思います。
私が読んだ、岩本徹三さんの本では、高度をとる場合は空戦域から一旦離れるという記述や、会敵が近いのに全力上昇を続ける指揮官を批判した記述がありました。
い
- 皆様、回答ありがとうございました。
なんとなく分かったような気も致しますが
いまいち納得できない気もします。
私の読んだ戦記は、追尾されていたのではなく、「迎撃のために早く高度をとる必要があったので、何度も降下と上昇を繰り返して高度をかせいだ。」という状況であったと記憶しています。
追尾されているような状況でなければ、降下したりはしない。というのであれば納得できるのですが、時間的には降下しない方法の方が目標高度に早く到達するが、スピードが無くなっている。
ということでしたら、降下して元の高度に戻ってくるまでの時間を、加速に費やしたほうが、よりロスなくスピードが上がるのではないかと思ってしまいます。
どうも、私の理解力が悪いようで申し訳ありません。
AK47
- うろ覚えで申し訳ありませんが、以前、「丸」に掲載されていた戦記で同様の手法で高高度飛行を行なった彩雲の話を読んだ記憶があります。
最大上昇限度高度から500メートル降下上昇中を繰り返し14000メートルまで上昇。迎撃の為上昇してきたF6Fが遥か下でアップアップしていた、と言う内容でした。
OMMG
- すみません、先程の書き込みで「500メートル降下、上昇中」を、「一回の降下、上昇で500メートルずつ高度が増していく」に訂正します。降下時に何メートル降下するかははっきりと覚えていませんが、確か2000メートル位だったように思います。本当にうろ覚えで申し訳ありません。
OMMG
- 少し単純化すると、ある飛行機が水平に加速しており、A点からB点に至るまで開始速度300kmでB点到達時までに400kmに増速できるとします。
同じ飛行機で同じふかし具合でA点からC点に降下増速し、またB点に上がってきたときにその飛行機が400km以上になるのかならないのかですね。
いろいろなパラメータがあると思いますが、正直正解はわかりません。感覚的にはこの例で下がって上った飛行機がB点で400km以上になり得ないとは思えないですが・・・
ご質問はA点からB点に上昇するということなので、さらに計算要素が増えそうですね。
とおり
- 純粋文系人間でこういう話は駄目なのですが(でも好きです)。
単純化しすぎなのは重々承知ですが、大砲を発射する場合、初速を二倍にすれば、到達高度は四倍になりますよね(空気抵抗を無視すれば)。緩降下時に、重力+エンジン出力最大で速度を稼げるなら、最適上昇率以上の上昇力を一時的に稼ぐことによって、低速のまま上昇するより短時間での上昇が可能になるのでは。
カンタニャック
- >8 緩降下時に速度を稼いでから機首を上げて上昇に転じるとき、機体及びエンジンの特性により最適上昇率の状態にあったとしても、そのときの垂直方向、上向きの初速は0のはず。浮力の影響を考えないとして。
「大砲を発射する場合、初速を二倍にすれば、到達高度は四倍になる」というのは正しいが、これとは全く無関係ですので、質問者の方はジョークと受け止めた方がよいと思います。
ま、レス1にある通り、主翼の効率等の要因から最適の上昇率を稼げる状態に持っていくため、一旦、緩降下してから上昇した方が、位置エネルギーによるロスを差し引いても、効率よく上昇できるということでは。
アリエフ
- ああ、遊びが過ぎましたね。
>浮力の影響を考えないとして。
次の話はそこですね。これも理論値ですが、速度が二倍になれば揚力は四倍になると。
カンタニャック
- 全開高度以上だとエンジンのパワーが無く、
登り道を人一杯のせて馬力の無い車で行くようにイライラします。
飛行機の場合、連続上昇だけではなく、
スピードを上げて高度に変換するズーム上昇が使え、
こちらの方が速くて気分が良いです。
スピードを上げるときに少し降下するとさらに加速が良くなります。
降下・水平飛行時の加速時間を考えた場合に、
本当に全体の時間を短縮できるかどうかは疑問ですが。
以上、フライトシミュで遊んだ時の感想です。
絶滅危惧種
- 『速度は高度に変えられる。またその逆も然り。』
運動エネルギーと位置エネルギーの互換性を繰り返し教えられたものです。
ズーム上昇を用いる事により、運動エネルギーを一気に位置エネルギーに変える=上昇率を高める・・・これは分かります。しかしながら、わざわざ増速するのに降下する理由が分かりません。
効率的に上昇するためには、旋回は行わずあくまで直線で飛行します。旋回することによって揚力が低下するのです。したがって、低速で単調な動きになりがちです。
想像ですが、戦闘中のパイロットは、そのような動きを本能的に嫌うでしょう。常にマヌーバブルな運動をすることにより、敵に捕捉されにくい機動を行うのではないでしょうか。
yama