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戦時中のドイツ陸軍での航空機の運用について質問します。例えばFi156などは陸軍でも運用されたと聞いております。ロンメル将軍も当機を愛用したというような記述もよく見られます。 では、そのように陸軍で運用された航空機は陸軍機だったのでしょうか。つまり、当該機は陸軍に所属し、操縦も整備も陸軍兵士により行われたのでしょうか。それとも、空軍に所属し、操縦、整備ともに空軍兵士により行われたのでしょうか。 後者であるすると、その運用は陸軍側が一々空軍と調整して行うことになり、随分と不便な感じがするのですが。どうなのでしょうか。 二一斎 |
- このへんはよくわからない部分がありましてね。例えば「水路部」という日本海軍のセクションは海図を作るのが仕事ですが自前の軍艦はありません。いちいち鎮守府に頼んで小さな軍艦を出してもらいます。そこへ乗り込んだ水路部員はその軍艦を一般的に指揮する権限はありませんが、どのへんへ行ってくれという指示を出すことはできます。艦長が指示に従っても、指揮系統外の奴の言うことを聞いた廉で怒られたりはしません。こういう特定の事柄について指示を受けることを「区処を受ける」といいました。こうこうあいまいな部分は実際どうだったのか、厳密にはよくわかりません。
ドイツ語の本を読んでいるとtruppendienstlich untersetztという表現が出てきます。どうもこれは軍政上のこと、つまり人事・賞勲、会計処理・補給といった事柄での従属関係を指したようです。これに対して、einsatzmaessig untersetztまたはtaktisch unterstelltというのが「戦術的指揮下に入る」とよく訳されるもの、つまり作戦行動上の指揮関係を指しました。
やっと本題ですが、「陸軍で運用された」偵察機は空軍所属であり、空軍にtruppendienstlich untersetztです。装甲師団や軍団司令部にはFw189などの近距離偵察機、軍司令部以上にはJu88偵察機型などの長距離偵察機が(可能な限り)割り当てられ、陸軍の要求に従って偵察行動するよう命ぜられました。東部戦線など大規模な戦場ではこの細切れになった空軍部隊にまたピラミッドがあるのですが、アフリカに行った 2.(H)/14は第14偵察飛行隊から1個飛行中隊だけの派出でした。
http://www.deutsches-afrika-korps.de/viewtopic.php?f=36&t=3804&hilit=recon+for+rommel
このHはNah(近距離)のHです。例えば1.(H)/14は独ソ戦初期には第2装甲師団、3.(H)/14は第10装甲師団の戦術的指揮下に入っています。フランス戦でロンメルが第7装甲師団を指揮したときは、3.(H)/14が手伝ったのです。ただ、こうした細切れな配属は1942年以降は廃止され、もっと大雑把なものになりました。例えばここで挙げている第14偵察飛行隊は1942年前半に第3近距離偵察飛行隊と改称され、空軍東方司令部(Luftwaffen-Kommando Ost)に直属します。空軍東方司令部は陸軍の中央軍集団と管轄地域がほぼ重なるので、このレベルで陸軍と空軍が話し合って限られたリソースをどの部隊の戦術的指揮下に置くか決めるわけです。アフリカには2.(H)/14のほか、おそらくJu88を持つ1.(F)/121がおり、4.(H)/12も1942年以降にサルジニアの基地から作戦しました。
マイソフ
- マイソフ様、ご回答有難う御座います。空軍に所属したままだったのですね。「このへんはよくわからない部分がありましてね」ということですが、そういうものってまだ沢山あるのでしょうね。
二一斎