341 はじめまして。作戦機のデータリンクについて質問させていただきたく存じます。

従来、航空自衛隊ではBADGEシステムと連携させるために独自のデータリンクを使用していたとのことですが、このデータリンクとはどのようなものだったのでしょうか。
また、アメリカ空軍などNATO諸国空軍ではどのようなデータリンクを使っていたのでしょうか。E-3 AWACSにはTADIL-Cの装備があるようですが、一方でTADIL-Cは米空軍は使っていなかったという記述もあります。また、近年ではF-16やA-10にはIDMによるリンクが装備されているようですが、JTIDS装備以前のF-15については記述がほとんど見当たりません。

どうかご教示いただけますよう、よろしくお願いいたします。
Panda 51

  1. ・自衛隊のバッジシステム
    「伊藤忠 ヒューズ バッジシステム」でググってみてください。
    このブログ記事が示唆に満ちています。空将補の自殺まで招いた黒歴史です。
    http://blogs.yahoo.co.jp/koudookan/39005807.html
    ここから先は、具体的なシステム型番等は芋づる的に辿れます。

    米空軍はNATO諸国も、同じ手法で調べると、武器輸出に絡んだドえげつない実態が判るか、と。なにも軍事機密だから、という理由だけで情報が見つかりにくいわけではありません。
    TOSHI!!

  2. お返事いただきありがとうございます。
    * 空自のBADGEシステムの初代はHughes Electronics社のTAWCS(Tactical Air Weapon Control System)をベースとして日本アビオトロニクス(NECと米Hughes社の合弁)が開発
    * データリンクは米空軍SAGEシステムと同様にTDDL(Time Division Data Link)と呼称
    * NATOでは各国システムを連接してNADGE(NATO Air Defense Ground Environment)を構築、その多くにHughes社が関与
    というところまで分かりました。
    この上で、次のような疑問が生じました。
    1.空自のTDDLの詳細があまり出てきませんが、これは米空軍TDDLとほぼ同等のものと考えてよいのでしょうか。
    2.NADGEシステムで使われている地対空データリンクはどのようなものでしょうか。
    色々と難しい問題が絡んでいるようですが、もしよろしければご教示いただければ幸いです。
    Panda 51

  3. BADGEから航空機に送られる時分割データリンク(TDDL)情報は、TADIL-Cとユニバーサル・テスト・メッセージ(UTM)です。また、音声データの受信も可能で、パイロットに対して補足データを送ることができます。HUDやVSDに具体的に表示されるものは以下になります。
    1. コマンドデータ(ALT HEADING etc)
    2. ターゲットLOS
    3. 目標又はウェイポイントに対するTime to go
    4. データリンクモード及びターゲットタイプ
    5. ステアリング情報(ステアリングドット及びASEサークル)
    6. テスト結果(PASS/FAIL)
    7. ミス・メッセージコード(リンクが失われた場合)
    AP1@厄明け

  4. BADGEや新BADGEでのDC(Direction Center)等と要撃のために発進した戦闘機間の通信は、データリンクのTDDLと音声通信のGAGが代表的なものでしょうね。
    GAGは、名称のように地対空・空対地のUHF AMの双方向の音声通信です。

    TDDLについては、AP1さんが詳しく書かれていますが、基本的には地上→航空機への一方向データ通信だと思います。BADGE時代には、TDDLはGATとも呼ばれていたようです。
    TDDLは米軍のTADIL-C、NATOのLINK-4/LINK-4Aと類似のシステムですね。
    LINK-4と同様と言うことで、UHF帯のFSK変調(5kbps) の間欠送信となりますね。
    Time Division方式なので同一周波数でも複数の要撃戦闘機に時分割でほぼ同時に送信できます。

    NADGEのデータリンクですが、サイト間の地上通信系のLINK-1(600/1200bps)等がありますが、地対空のTDDLのような無線通信のデータリンクがどの程度使用されていたのかは知りません。国によって独自のものが使われていたのかもしれません。

    米軍やNATO、日本でもTADIL-J/LIMK-16のような高データレートで、耐妨害性や秘匿性を有する双方向通信方式のデータリンクが戦闘機にも搭載されれば、より本格的なデータリンクの運用が可能になるものと思います。
    MK@2004-

  5. 皆様ありがとうございます。
    その後、NADGEについては色々調べて、下記URLに投稿しました。
    http://ja.wikipedia.org/wiki/NATO%E3%81%AEC4I%E3%82%B7%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%A0#NADGE
    NATO欧州正面のNADGEのほか、イギリスのUKADGE、ドイツのGEADGE、フランスのSTRIDA、さらには旧東欧圏の新規加盟諸国など各国GCIシステムが並列に存在しており、NADGEはそれらの中核的システムでもあるようです。
    NADGEのデータリンクについては、VHF/UHF帯であるという記述しか見つけられませんでした。ただ、TADIL-CのフォーマットがADatP-4としてNATO標準化されていることから推すに、やはりTADIL-Cベースのプロトコルが使われているのではないかと思います。
    Panda 51


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