337 揚力は「反作用」の力と「ベルヌーイの定理」による翼上面・下面の圧力差という2つの力によって生み出されるわけですが、どちらの力がより強く作用するのでしょうか?
また、離着陸時と巡航時では異なるものなのでしょうか?
よろしくお願いいたします。

長崎

  1. Wikiで、「揚力」「マグヌス効果」を調べられましたか?
    あとは、「マッハ数」も調べると良いかもしれませんね。『巡航時』といっても、レシプロ機、ジェット旅客機、スーパークルーズ機では、速度域が全く異なりますから、一様には言えないです。
    TOSHI!!

  2. 返信をありがとうございます。

    wikipediaでは揚力に関してベルヌーイの定理での説明がされておりませんでした。
    わたくし流体理論のことはよく分からないものでして以下のように解釈しました。
    1・翼上面の流れが翼下面よりも速い→よって翼下面圧が翼上面圧より高い→よって翼下面に反作用の力が発生する。
    2・また、風の中で板を傾けながら持つと板の下面圧が高くなり反作用の力(揚力・抗力)が発生する。航空機の翼も迎え角をとることで同様の解釈ができる。
    3・一般に翼断面はかまぼこ状に膨らんでおり、コアンダ効果も手伝って気流は斜め下後方に流れる。これが反作用の力(揚力・推進力)生み出す。
    という解釈でよいのでしょうか?
    長崎

  3. >3.
    まず原理的な理解としては、少なくとも間違ってはいません。よくまとめられていると思います。

    ただし。元質問にもある、「離着陸時」と、「巡航時」は分けて考える必要があるかと。
    3.のコアンダ効果などは、多重ファウラーフラッップを備えたボーイング747等で顕著な効果がありますが、「巡航時」の定義として、Wikipediaの「マッハ数」の項でも、“亜音速流”、“遷音速流”、“超音速流”で異なる記述がされていることに注目してください。
    また、低速域にあっては、「マグヌス効果」による、翼断面形外周部分の循環流(Wikiでは、“循環 Γ を有する翼に生ずる揚力の式と一致する。”と表記されています)が、実はベルヌーイの定理の圧力差の発生を説明しています。
    当該記事の解説図で実線で示されている「流線」のうち、一本だけが円弧状の固体に接し、また離れていることに注目してください。飛行機の翼断面の場合、迎角が大きくなると翼上面の気流が粘性に負けて剥離し、マグヌス効果が維持できなくなるので、揚力が失われて失速するわけです。

    ちなみに、野球で投手が変化球を投げるときは、この回転を止めたり与えたりして、フォークボールやカーブを投げることになります。

    また、非常に直観的に判り易い体系的な説明は、佐貫亦先生による「ひこうきのはなし」に連載されていした。
    私は、旧丸メカニック12〜15までで読みましたが、今でもアマゾン古書か、縮小・合本版で読めます。
    「零式水上偵察機」「一〇〇式司令部偵察機」「艦上偵察機彩雲」は、今でも新刊で入手可能と思います。(14は、零戦のグラフ特集号なので、縮小版が出ていなかった気がします)

    TOSHI!!

  4. 2.でおっしゃられるように、翼の上面と下面での圧力差がすなわち反作用の力(=揚力)を生み出すと解釈すれば単純明快で分かりやすいかと思います。

    >また、離着陸時と巡航時では異なるものなのでしょうか?

    地表近くですと『地面効果』が現れます。

    翼上面は下面に比較して圧が低くなりますので、翼端渦(チップ・ボルテックス)が発生します。雨の日にドライブしていると先行車の下面から上面に向けて左右で雨水が巻き上げられ、渦が巻いているのをご覧になった事がありませんでしょうか。それは、揚力が発生しているからなのですが、地面があるがために気流の移動が制限されて、翼上面と下面との圧力差が大きくなります。
    したがって、巡航時(同速度、同迎角)と比較すると揚力が大きくなるのです。
    yama

  5. ファウラーフラップによるコアンダー効果の増大、マグヌス効果がベルヌーイの定理の圧力差を説明していること、離着陸時における地面効果などこれらは皆、揚力を考える上で重要な要素となるわけですね。
    詳細で親切丁寧な回答をいただきTOSHI!!さん、yamaさんありがとうごさいいました。
    長崎

  6. >揚力は「反作用」の力と「ベルヌーイの定理」による翼上面・下面の圧力差という2つの力によって生み出されるわけですが、どちらの力がより強く作用するのでしょうか?

    この質問がそもそも間違っているのでは。

    1)従来は、揚力はベルヌーイ定理による翼上面・下面の圧力差で説明されてた。
    2)しかし、2001年にデービッド・アンダーソンという物理学者が、その考えは誤りで、「翼が空気を押し下げ、その反作用で空気が翼を押し上げる」という説を出した。

    http://hitomix.com/taruta/paperplane/Bernoulli.html

    ということではないですか。即ち、「圧力差と反作用」の複合作用ではなく「圧力差」か「反作用」のどちらか、ということになります。

    但し、このDavid Andersonという物理学者は英語版のWikiにも乗っていないので、この説がどの程度受け入れられているのか知りません。また、英語版のWikiの「揚力」のページには幾つかの説が掲載されています。
    くさの

  7. >「圧力差」か「反作用」のどちらか
    というより、翼を持ち上げる力即ち、揚力を「圧力差」で説明するのか
    「反作用」で説明するのかじゃないでしょうか。

    「ベルヌーイ定理」がどこから導かれているかをご自身で追っかけて
    理解した上で定理をベースに揚力を考えないと、逆に定理にふりまわされて、揚力の理解をミスリードされてしまうのではないでしょうか。
    私も、偉そうなことはいえない数学物理のレベルなんですが。

    「ベルヌーイ定理」は同一流線に沿ったエネルギー保存の式ですから、
    翼の上面と下面で流線が、まあ、異なってるとみるのが、まあ、素直な
    見方ともおもいますが。

    上面と下面とも遠方の静圧は同一だから、空気の流速から動圧を導くのも
    もっともだとも思いますが。

    空気より重い翼が浮いているのは、空気が翼を押し上げているのであって、
    それは、翼が空気を押し下げている反作用にほかなりません。

    なので、翼の前縁から後縁に渡る圧力分布を知りたいときは別にして、
    それで宜しいのではないでしょうか。

    そのままでは、沈んでしまう人が立ち泳ぎをして浮いていられるのは、
    その人が水を上から下へ押し下げているからです。
    水を上から下へ押し下げる反作用の力が人に上向きに働いているからです。
    海底やプールの底が足の近くなら、押し下げた水が底に当たるので、
    人に作用する力もプラスアルファになります。
    飛行機で言えば、地面効果です。


    ぴょん太

  8. 実は私がこの質問をしたきっかけはナツメ社の流体力学という本を立ち読みしたのがきっかけで、その本には揚力をベルヌーイの定理で説明するなどとんでも無いことだと書かれてありました。
    また、2枚の紙を壁が並ぶように吊るしてその間に息を通すと紙は引き寄せられいしまうという現象、これもベルヌーイの定理で説明するのは間違いだと書かれておりました。
    しかし一般の航空本にはベルヌーイの定理で揚力の説明があるわけで、そこで私はベルヌーイの定理と反作用を分けて質問するというおかしなことになってしまったのであります。
    どうもお騒がせしました^^。

    長崎

  9. >揚力をベルヌーイの定理で説明するなどとんでも無い
    というのは如何なもんでしょうか?
    (とんでも無いとおっしゃる方がとんでも無いと思うのですが。)

    (水平に置かれた)翼が前方から流れる空気を受けて重力と釣り合っているとします。
    翼は上にふくらんでいます。(カマボコ型です。キャンバーがあります。)
    空気は、翼面に沿って流れています。
    翼は上にふくらんでいますので、翼に沿って流れた空気は、後縁を離れるときに下方に導かれます。
    つまり、翼が空気の流れる方向を変えて、空気を下方に押し下げたことになります。
    翼が空気を下に押した。この反作用で翼は上向きに力(=揚力)を受けます。この力が重力と釣り合って、翼は浮いています。

    翼の上面に沿って流れている空気の流線に対してベルヌーイの定理が成り立ちます。流速の大きい所は静圧が小さいということです。
    下面も同様です。
    翼に沿った流速から、ベルヌーイの定理より、翼に沿った圧力(静圧)の分布が得られます。

    圧力分布を翼の前縁から後縁まで、(鉛直方向成分を)
    上面に沿って足し合せると上面に働く空気力が得られますし、
    下面に沿って足し合せると下面に働く空気力が得られます。
    この二つの空気力の大きさは異なります。
    重力の分だけ差が出ます。

    翼面の圧力分布には、必然的に、ベルヌーイの定理が絡んでくると思うのですが・・・・。

    ぴょん太


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