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火星エンジンの燃料消費率に関して質問があります。 一般的に火星10系と20系の違いは水メタノール噴射装置の有無と減速装置の構成及び減速比などと思っていたのですが、下記のデータを見ると20系の常用最大での燃料消費率が10系の第1速公称出力を超える数値を示していることが判ります。 これはどのような影響によるものなのでしょうか? ----------------------------------------------- 火星11型燃料消費率曲線より HP mmHg rpm g/HP・h 常用最大 1080 +70 2200 267 第1速公称出力 1330 +180 2350 295 離昇出力 1530 +270 2450 315 火星21・25型燃料消費率曲線より HP mmHg rpm g/HP・h 常用最大 1240 +150 2300 310 第1速公称出力 1570 +300 2500 285(+115) 離昇出力 1850 +450 2600 300(+130) (出典:軍用機メカシリーズ・一式陸攻) すぱいだ〜 |
- 21型の公称1速高度は11型の1速公称と大体同じです。
ブースト圧が大幅に上がってるのに全開高度が殆ど同じなのですから、過給器の変速比や径等(つまり過給器の食う馬力・負荷)が大きくなってることが予想されます。
つまり火星21は、より過給器に食われてる分が大きいので、同じぐらいの軸馬力だと過給器の負担分だけ消費率が悪化するわけです。
SUDO
- SUDO様
早速の回答ありがとうございます。
しかし、私の疑問は火星11型の第1速公称と火星21型の常用最大を比較した時に出力、過給圧、回転数が上回っているのに燃料消費率が低いと言う点なので、頂いたご回答では説明がつかないように思うのです如何でしょうか。
すぱいだ〜
- ですから21型は過給器負担が重たいのです。
大きな過給器は吸気温度を引き上げ、無駄な絞り損失を出し、結果的に燃料消費率を悪化させるのです。
過給器は吸気圧に関わらず回ってるんで負担なんです。過給器が作った吸気を捨てるか(でも吸気温度は上がります)、過給器空気取り入れ口を塞いで過給器を窒息させるか(エンジンブレーキしてるようなものですから絞り損失が生じます)どっちにしても、常用等運転からみたら過給器が大きすぎるので負担が無駄にかかるわけです。
大雑把に考えて過給器が食う馬力は1割ぐらいです。つまり火星だと150馬力ぐらい使うんです。11と21で公称で1.1〜1.2倍ぐらいの圧力比差ですから、10〜20馬力は多く消えます。更に温度上昇や絞り損失も加味すべきでしょうが。
仮に火星11が過給器で150馬力使ってるとしたら、指示馬力は1330+150で1480馬力。火星21常用は1240+170で1410馬力でエンジン本体は回ってるんです。
火星11は1330馬力で燃料消費率が295ですから、時間当たりの消費量は392kgです。そして火星21は384kgです。
両者の時間当たり吸気容積は排気量が同じなので回転数x吸気圧(絶対値)に大よそ比例しますから1.055倍ほど火星11型が多くなります。火星21の燃料消費量を1.055倍すると約405で、11の数値と大差ありません。火星21のほうが若干空燃比が濃いかなという程度の範囲ですし、吸気温度が高くなってることを考えれば納得できる程度です。
また吸気量が1.055倍で指示馬力が1480と1410なら、大体吸気量比例でエンジン本体は馬力を出してます。恐らく実際でも大体この程度じゃないかと想像します。そして、これは両者の燃料消費量との大よそ比例するのです。
SUDO
- 指示馬力を 昔作った計算シートで確認したところ。火星11公称1速は、空気過剰率や飛行速度(動圧補正)で若干変化しますが、過給器駆動分は90馬力ぐらい(圧力比が1.2ぐらいで済むので意外と軽い)
21型常用では1速で110馬力ぐらいです(絞り損失とは別で)また点火直前の気筒内混合気温度は空燃比が同じとした場合25〜30度ぐらい21のほうが高いです(配管や過給器の断熱効率が同じとして)
絞り損失や動圧補正、更には気化器抵抗、過給器の全断熱効率等の無視できない要素があるので、そっくりこのままとはいかないでしょうが、21型の負荷は絞り損失を入れなくても明白に違います。
そして点火直前温度(というか、点火しないで圧縮行程最後までやった場合の仮想温度)が21のほうが高いことから、11の公称運転は21の常用最大よりもある意味楽であることも判明しました。激烈な違いではありませんが、11の公称は21常用よりも燃料を大目に使う必要は無いと考えられます。
つまり21は過給器が色々な意味で負担となって馬力を落とし燃料消費率を悪化させていると考えられます。
SUDO
- SUDO様
丁寧な解説をありがとうございます。
燃料消費率は単純に出力や過給圧に比例するものと考えての質問でしたが、多くの条件が影響し合ったものであることが理解できました。
追加の質問となり恐縮ですが、火星13型では過給圧や回転数は10系のままで、過給器の翼車直径を20系と同じ320mmとして全開高度を上げています。
この場合の燃料消費率は10系、20系何れに準ずるものになるのでしょう。
すぱいだ〜
- 高度が同じなら大体10と20の中間ぐらいでしょうね。
常用も高度が違えば馬力も消費率も変化します。恐らく13は11よりは最良になる高度が高くなるでしょうし、その場合は11と13の消費率が逆転する高度が出てくるのではないかと考えます(これは11と21でも起きる可能性があります)
SUDO
- SUDO様
疑問点はかなり解消しました。(・・・と思います。)
ありがとうございます。
すぱいだ〜