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初めて質問をさせていただきます。 硫黄島に展開したP-51は胴体下面にVHFアンテナを増設して、後部のアンテナ柱も2本になってる機体が多くみられます。また、操縦席の防弾板に無線装置のような物が取り付けられていますが、これらは距離受信ホーミング装置や方向探知用のレーダーなどでしょうか?他の戦域ではこのような装備はみられませんので、長距離護衛作戦に向けて硫黄島に配備されてから新たに改造などをしていたのですか? BA11 |
- http://www.506thfightergroup.org/mustangsofiwo.asp
「Navigation」項を意訳しますと(誤訳指摘はしてください)
「P-51は磁気コンパスと時計しか無いので帰還用のサポートにB29を6機用意して最初の2機は合流ポイントに50%集まったら硫黄島に離脱、次の2機は10分後に離脱
残りの2機は(離脱時間は不明)モールス信号のUとDを発信しながら離脱。
この2種のモールス信号を同時に聞いた場合方向が一緒だとHUM音(Exciteだとブンブン音。ハウリング音か?)がするのでこの方向に機首を向けると
硫黄島にたどりつくと。
で、この2種のモールス信号を拾うために後部胴体に2本のVHFアンテナを付けた」
と書かれてますね。
防弾板の無線装置のような物は私より詳しい方が答えてくれるかと・・・
jas1
- 気になった点だけ
次の2機は10分後に離脱 => 二番目と三番目のペアは10分間隔で離脱
残りの2機は(離脱時間は不明)モールス信号のUとDを発信しながら離脱。=> 最後のB-29は"Uncle-Dog"と呼ばれる無線を発信しながら離脱。
"Uncle-Dog"無線はP-51の後部胴体に1/4波長ずらして設置された二つのアンテナで受信され、先に受信したアンテナの信号のみが受話器に送られ、もう一方のアンテナからの信号を打ち消すように働く。
受話器には右側のアンテナで受信した場合はモールス符号の"U"(短-短-長)が、左側のアンテナで受信した場合は"D"(長-短-短)が聞こえる。Uncle-Dogは"U"と"D"のフォネティックコードから。
ハム音は無音状態の安オーディオで、ブーンと唸っているような音、ハウリングとの区別に関してはWikipedia参照。
この方向に機首を向けると硫黄島にたどりつくと。=> この方向に機首を向けると無線を発信しているB-29にたどりつく。
けい
- すいません。いつもの素人が追加質問してしまいます。ご迷惑掛けます。
その仕組みだとまったく逆方向でも同じ信号が聞こえるような気がするんですが、勉強不足でしょうね。
航法の時間で「to from flag」でいつもわからんちん。になってました。
wittmann
- >2
ご指摘ありがとうございます。
>3
確かに理論上逆方向でも同じ信号が聞こえると思いますが磁気コンパスがあるので日本の沿岸付近だったら南北の区別はつくとは思います。
あと、帰還までに5か所のAir Sea Rescue stationってのがあって、これらと硫黄島から必要に応じてUncle-Dog信号が発信されるらしいので
迷うことはないのかなと(またもや意訳です)。
硫黄島が雲に覆われてて通り過ぎたら、さすがに硫黄島から無線で連絡が来るとはおもいますが。
同時に複数のstationから受信したらどうなるかは疑問に残るところではありますが、それも磁気コンパスが解決するのではないかと。
↓
http://www.506thfightergroup.org/vlrhistory.asp
ちなみにUncle-Dog信号を受信する装置は「AN/ARA-8 homing unit」と言うそうでADFの一種の位置づけみたいですね。82ページとその他HPより。
↓
http://books.google.co.jp/books?id=F0HjKQVT5ocC&pg=PA82&lpg=PA82&dq=AN/ARA-8+p-51&source=bl&ots=AVb6MWHPNn&sig=mB8GWPUIJXceBWV2wAjSuBoxbmc&hl=ja&ei=fiVITJ5KiPpw5KWAxAw&sa=X&oi=book_result&ct=result&resnum=4&ved=0CCwQ6AEwAw#v=onepage&q&f=false
jas1
- ご回答有り難うございます。 失礼ですがAN/ARA-8 homing unitとは、質問した防弾板にある無線装置のような機械の事でしょうか?
BA11
- 戦後のF-51D/F-51Hのマニュアル曰く、AN/ARA-8はVHFセットと統合して使用する装置となっていますので、装置本体は防弾鈑後方にある無線機の付近か、後部胴体内に置かれていると思われます。AN/ARA-8が標準装備となったAN/ARC-3型無線機(それなりに大型)搭載機は、後部の操縦席バッテリーを撤去して、機首側に移設しているようなので、ARA-8装備機は電池を移設の上で旧電池の設置位置にARA-8を置いたのかも知れません。
あとARA-8は基本的にARC-3型無線機に附属する物としてマニュアルでは扱われていますが、同マニュアル内に「前方のアンテナがSCR-522用、後ろはAN/ARA-8用」と思わせる記載もありますので、末期の太平洋戦線のみで使用されたARC-3型へと無線機を更新せず、それまでの標準型無線機のSCR-522型にこれを追加装備した機体もあると思われます。
蛇足ながら、SCR-522型搭載機の場合、P-51Dの操縦席の防弾鈑位置の左側にはIFFの自爆装置用スイッチが置かれています。防弾鈑よりやや手前の胴体部左側には無線航法用のデトローラの受信機が置かれていますが、ARC-3型装備機では無線航法装置はBC-453B型に代わり、装備位置も操縦席右側になります。キャノピーを通じて垂直尾翼に伸びるアンテナ線下の防弾鈑上部にある箱状のものは、デトローラ及びBC-453B型のアンテナ用リレーボックスです。
大塚好古