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日本空軍 E 14/8/13(水) 21:23

メーカー数ではなく、生産ラインの数 14/8/22(金) 18:37
┗ Re:メーカー数ではなく、生産ラインの数 おうる 14/8/23(土) 9:53
┗ 話が逆です 14/8/25(月) 14:25

メーカー数ではなく、生産ラインの数
   - 14/8/22(金) 18:37 -
  
>  仮に航空戦力の合理化を目的に統合空軍を健軍するとなれば、航空メーカーを統廃合して企業数を半減させる必要が出てくるでしょう。

昭和12年に戦争が始まって、長期化が確定的となってきた13年後半には、国家総動員法を根拠にした産業統制が航空機メーカーの上に行われています。
まず、航空機製造事業法により、航空機製造事業への新規参入は禁止されてメーカーの乱立が防がれ、既存のメーカーに対しても業種を制限する事業整理が行われています。
このとき、例えば三菱重工や中島飛行機の許可業種は「飛行機組立」「機体製造」「発動機組立製造」として指定され、「プロペラ製造事業」は不許可となっています。
愛知時計電機は化学部門を充実させて航空機用塗料の製造に乗り出そうとしていましたが、これも統制により辞めさせられています。

一方で、囲い込んで残した「飛行機組立」や「発動機組立製造」の指定会社に対しては、拡充示達よって工場の建設が命令されてゆきます。このため、官設で新工場がどんどん建設されて民間に与えられ、これを運転してゆく各企業には強制融資が行われています。

既存の企業の生産力、すなわち生産ラインの数だけでは、陸海軍が要求する飛行機の生産は決定的に実現不可能だったのです。
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Re:メーカー数ではなく、生産ラインの数
 おうる  - 14/8/23(土) 9:53 -
  
> 既存の企業の生産力、すなわち生産ラインの数だけでは、陸海軍が要求する飛行機の生産は決定的に実現不可能だったのです。

 生産ラインは確かに増設していくことになるでしょう。
 生産数の絶対量向上のみならず、生産工場の空襲被害による生産力低下のリスクを低減させるためにも、工場は分散し、複数の生産ラインで並行生産する必要は必ず出てきます。

 航空戦力の効率化を目的に空軍が健軍された場合、航空機メーカーの統廃合が進むだろうとは言いましたが、それは生産ラインの削減を意味しません。航空機メーカー統廃合によって「整理」されるのは、生産ライン以外のリソースです。

 たとえば話を単純化すると、メーカーの開発部門なんかは1.基礎研究を行うチーム2.次期新型機を開発するチーム3.現行機の改良や不具合対応をするチームの3つが必要になり、それら3チームが各メーカー毎に抱え込まれ、しかも複数の機種(戦闘機とか爆撃機とか)を扱うメーカーでは2.と3.を機種毎に抱える必要も出てきます。
 それらは(極端ですが)挙国一致体制・総動員体制で国家全体のリソースを高効率化する視点から見ると、同じ仕事をする人材・機材が重複しているに過ぎず、削減すべき「無駄」となります。

 空軍が戦闘機を継続的に配備し続けるために必要な開発部門は、極端にいうと国全体で3チームあれば良く、次期戦闘機を競作させるとしても4チーム分のリソース(1.基礎研究×1、2.次期機開発×2、3.現行機改良×1)があれば十分ということになります。

 開発部門以外にも生産には直接関係ない部門・・・たとえば経理とか人事とか資材調達とか広報とか・・・も、航空機メーカーの統廃合による「整理」の対象となるでしょう。

 こうした統廃合は、仮に戦争終結後に日本の航空機産業が存続したとしても、万万が一戦争に勝利したとしても、航空技術の向上にともなう開発コストの高騰によっていずれ必然的に起こることです。いわば宿命と言っても良いでしょう。

 ただ、空軍設立によって航空戦力の効率化が図られた場合、陸軍と海軍がそれぞれ個別に同種の航空機戦力を整えていた状況にくらべ、そうした業界再編成(業界全体の効率化)はより早い段階で行われることになるであろう・・・という話です。

 したがって、ここで私が言う航空機メーカーの統廃合によるメーカー数の減少は、生産ライン数(生産力)の増減とは必ずしもつながるものではありません。
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話が逆です
   - 14/8/25(月) 14:25 -
  
> 空軍が戦闘機を継続的に配備し続けるために必要な開発部門は、極端にいうと国全体で3チームあれば良く、次期戦闘機を競作させるとしても4チーム分のリソース(1.基礎研究×1、2.次期機開発×2、3.現行機改良×1)があれば十分ということになります。

もともと日本には戦闘機を設計できる廠社は「中島」「三菱」「川崎」の三社しかなく、しかも川崎は能力が不足気味だったため中島に対する予備としか見なされていません。この2.5社で陸海軍の戦闘機すべての試製を行っていたのです。

これらが戦時体制となって試製能力標準その他が整えられ、「中島陸軍向け単戦」「中島海軍向け複戦」「三菱海軍向け単戦」「三菱海軍向け複戦」「川崎陸軍向け単複」に分割されたにすぎません。
それでもなお、戦闘機の試製能力としては陸海軍合わせても5本しかなかったのです。単戦と複戦という2機種を合わせてです。
このうち「中島陸軍向け」の部門は高速爆撃機キ四十九をも手がけなければなりませんし、「三菱海軍向け複戦」の部門が達成できたのは零観だけで、それ以降には独自にカタチあるものを作り出せず「三菱海軍向け単戦」部門の一部になってしまいます。三菱は戦闘機の設計ラインを2本持ったつもりでいたのですが実質1本分でしかなかったのです。

さらに戦時状況が深まってはじめて「川西」「立川」その他にも戦闘機の試製能力を持たせる試行が行われるようになってゆきますが、これは上記実質4本しかない設計ラインだけでは数的に能力不足であることが露呈したからです。

一方で、後期の陸軍新規試作計画の代用名称(キ番号)をたどると「三菱」で陸軍向けの機体開発が想定されていたことになっていますが、これらは「三菱海軍向け」の設計を陸海軍協同試作機として取り上げていたのがもっぱらだったのではないかと思います。あるいはそれ以外の純然たる新規計画も含まれていたのかもしれないとしても、三菱の陸軍向け戦闘機の計画は(司偵の設計課を流用した)キ八十三を除いたほか全部が実行段階に至っていません。そもそも、三菱には陸軍向けの戦闘機設計を担える設計能力がなかったのですし、さらにそもそもをいうならば海軍向けの戦闘機設計だけでも担い得ていません。

このように、統廃合して減らせる試製能力などどこにも存在してはいません。
むしろ、本来ならば想定されていなかったはずの「川西」「立川」などの戦闘機設計が戦争末期に重要視されることになっていったように、複線化してゆくことの方が有効だったのです。
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