歩兵操典

第三篇 機関銃及び自動砲教練
第三章 戦闘
第二節 小隊
第二款 防禦
  1. 第307
    小隊長は、任務を受くるや状況の許す限り綿密に地形を偵察し、第一線と密に連繋し陣地を定む。此の際、友軍との関係、特に死角の有無に関し、要すれば中隊長に報告し、火網の構成に欠陥なからしむ
    小隊長は、任務の達成を容易にし、且つ無益の損害を避けんが為、数箇の砲の位置を設け、為し得れば偽工事を配す
    陣地は射撃に妨げなき限り、最前線より適宜離隔せしめ、巧に地形地物を利用し、偽装を施し、且つ成るべく遮蔽して陣地変換を為し得る如く設備す
  2. 第308
    小隊長配備を決定せば、分隊長に状況、自己の企図、銃《砲》の位置、射撃区域、火力急襲地点、工事等を示す
  3. 第309
    小隊長は射撃指揮を容易ならしむる為、状況の許す限り主要なる地点に至る距離を測定し、前地に標識を設け符号を附し、且つ射撃図を調製し、陣地に主要なる射向を標示し、又、連絡の処置を講ず
    敵の瓦斯攻撃又は煙の使用を顧慮し、予め対瓦斯準備、射撃の標定設備等を行い、緊要の時機、射撃を中絶せしめざるを要す
  4. 第310
    防禦に在りては予め所要の弾薬を陣地附近に準備し、且つ掩護の処置を講ず。側防等に任ずる機関銃に於いて特に然り
  5. 第311
    小隊は中隊長の命令に依り射撃を開始し、敵兵漸次近迫せば益々沈着して有利なる目標を猛射し、且つ所命の如く火力急襲を実施す
    自動砲は、敵戦車に対しては機を失せず之を撲滅すべし
  6. 第312
    敵兵我が陣地に進入し来るも、小隊は毅然として射撃を継続し、逆襲を容易ならしむべし。此の際、要すれば射撃に便なる位置に進出し、損害を顧みず、最も有効に我が逆襲部隊に協同す