中央胴体の存在しないこれぞまさしく双発双胴機という形態の機体。 イタリア空軍では長距離援護戦闘機を得るべく、その試作をサボイア・マルケッティ 社に依頼しました。同社では高性能と機内スペースの余裕を狙って双発双胴形式の SM91を開発しました。この機体は1943年3月に初飛行し、双発双胴形式として はオーソドックスな、両翼前端にエンジンを装備しその中間にパイロットの搭乗する 短い胴体を持つという、P−38と同様の形態を持っていました。 しかし、完成した機体は性能的に満足のいくものではありませんでした。そこで、 性能向上を狙って改設計されたのがSM92で、この機体にはさらに大胆な発想が 盛り込まれていました。 まず、中央胴体をこの部分の主翼ごと撤去し左側の胴体にコクピットを移動、抵抗 の大幅な軽減を目指しました。当然、このとき左右の胴体の間隔と全幅がせばまり、 操縦性と運動性が向上しました。また、バランスをとるため燃料タンクをコクピットとは 反対側の右側胴体に移動しています。 この大手術により全般的な性能は向上したものの、それでもこの当時の機体としては 大したものではなく、イタリアが敗戦したこともあって開発は中止になりました。 なお、諸元表中の最大速度発生高度の記述はエンジンを考えるとウソくさいので信じ ないほうがいいと思います。 |
諸元 | |
全幅(m) | 18.6 |
全長(m) | 13.7 |
翼面積(u) | 38.5 |
空虚重量(s) | 6,250 |
全備重量(s) | 8,750 |
エンジン | DB605A−1 液冷倒立V型12気筒 1475馬力×2 |
最大速度 | 615q/h(9124m) |
巡航速度 | 392q/h(5800m) |
上昇時間 | 6000mまで7分10秒 |
実用上昇限度 | 12,000m |
航続距離 | 2,000q |
武装 | 20o×3,12.7o×5 |