サヴォイア・マルケッティ SM.89
三発雷爆撃機SM.84を基礎として、双発攻撃機とした機体である。
胴体部以外の構造はSM.84と共通のものであるが、新設計の胴体は鋼管骨組にジュラルミン外被を張っていた。尾部は木製であった。
武装は艦載高角機銃を改造したブレダ37ミリ機関砲を2門、前方固定装備とし、12.7ミリのブレダSAFATを背面旋回銃座に連装、後下方腹部に1挺の合計3挺を装備、爆弾は胴体内に最大1トンを収容する。
装備エンジンはピアッジオP.XII RC35(1350馬力)に強化されたが、一発減っているので総合出力ではわずかに低下している。
計画は1941年4月13日付けで開始された。作業は順調に進み、試作機シリアルナンバーMM533はグリエルモ・アルガロッティの操縦により1942年7月28日にローマ郊外ヴェルジアーテ飛行場で初飛行した。
10月にはギドニア実験場に送られたが、ただでさえ馬力不足気味のSM.84を双発にしたのはやはり無謀だったと言うべきか、飛行性能はかなり不満なものであった。
1650馬力を発揮するはずの新型エンジンのピアッジオP.XV の完成を待って装着するものとされたが、結局このエンジンはものにならなかった。
SM.79、SM.82の量産とSM.91、92、93の試作もあり、うまくいけばイタリア空軍のハボックにもなったであろうSM.89は試作1機を以って中止となった。
1943年4月にはローマ近郊チェルベテーリ飛行場にあった第173スクァドリッリアがMM533を装備に加え、数度の出撃をさせたが、戦果は伝えられていない。
機体は最終的に米軍機の爆撃によって失われた。
(文章:ダリオ・マナカジーニ)
鼻面の照星や機首部分などHs129にも似ていますが、サイズはずっと大きいです
37ミリの砲身が長く突出しています。その下にある3つ並んだ銃口状のものは換気孔。腹部銃座開口部の扉も見えています
諸元
全幅
21.60m
全長
18.20m
全高
4.60m
翼面積
62.40m
2
自重
8,900kg
離陸最大重量
14,000kg
武装
37mmブレダ機関砲*2 12.7mmブレダSAFAT機銃*3 爆弾1000kg
発動機
ピアッジオP.XII RC35 空冷星型18気筒 1350馬力
最大速度
465km/h
巡航速度
378km/h
実用上昇限度
8,200m
航続距離
1,650km
乗員
4名
[戻る]