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日露戦時における日本軍の「野戦砲兵」と「徒歩砲兵」の違いとは何ですか。 おそらく語源となっているドイツ語の"Fussartillerie" と "Feldartillerie" の違いを考え、また「徒歩砲兵連隊」が攻城砲兵廠にのみ所属しているところをみると、「野戦砲兵」は主として小口径の野砲・山砲を装備し、軽快な機動力を有する部隊であり、それに対して「徒歩砲兵」は、比較的大口径の砲を装備し、あまり機動性を有さない部隊であろう、ということは想像ができます。 しかしここで問題なのが、攻城砲兵廠に所属する「野戦重砲連隊」です。 当時の日本陸軍には機動力を有する大口径砲はなかったのではないかと思います。 にもかかわらずあえて「野戦」をその名に冠する重砲兵部隊が存在するということは、上に書いた「野戦砲兵=軽快」「徒歩砲兵=鈍重」という違い以外に「野戦砲兵」と「徒歩砲兵」には違いがあるのでは、という気がします。 当時の「野戦砲兵」「徒歩砲兵」「野戦重砲兵」の分け方をどなたかわかりやすく示してはいただけないでしょうか。 大名死亡 |
- アジ歴レファレンスコード C05121552500 に臨時徒歩砲兵第一連隊編制表、同じくC02030449300に野戦砲兵の戦時編制案があります。両者を比較すると徒歩砲兵がどんな砲兵部隊だったかがわかると思います。
また野戦重砲連隊が装備した砲は克式十二珊榴弾砲等の分解せずに牽引できる野砲です。
BUN
- 要塞砲兵を改編して編成した部隊が徒歩砲兵、ということですか。
克式十二珊榴弾砲については手持ちの本ではくわしいことがわからなかったので、分解せずに牽引できると教えていただけたのは収穫でした。
大名死亡
- 乗馬の欄を比較すると「徒歩」の理由がわかります。
BUN
- 俗に云えば野戰砲兵とは砲車・彈藥車を對にして馬匹牽引で機動し、ついでに砲手も載っけて行くというもので、野戰重砲兵は基本は野砲兵と變りませんが、より大口径の砲を装備する砲兵です。野重砲は昭和時代には馬匹の代わりに自働牽引車で引っ張るようになりましたが、野砲は相變らず馬匹牽引部隊でした。
徒歩砲兵は野戰砲兵とは別の兵種で、攻城砲兵として使用するものです。装備の砲はやたら重い大口径で、いったん陣地進入すると余り動かないので、機動力は必要とされず、砲手は徒歩で移動しました。要塞砲兵は防御が任務ですが、攻城砲兵の必要ができて初めて要塞砲を引抜いてきたりして、巨大口径砲にて臨時に徒歩砲兵部隊を編成したのでしょう。
あるめ
- 第三軍の旅順要塞攻略時にはその野重砲聯隊は攻城砲兵司令部直轄で、攻城砲兵廠とは隷属關係が無いのではと思っておりましたが、違いますでしょうか。
1次大戰前の獨軍は要塞にある重砲兵を野戰に随伴し主に攻城に使用するべく徒歩砲兵として軍團直轄にしていたと聞きます。この邊の柔軟な運用を日本陸軍も真似たのでしょう。
あるめ
- お二方とも、解説ありがとうございました。
野戦重砲はそれなりに機動力のある装備編成なのですね。
>あるめ さん「攻城砲兵廠」はこちらの勘違いです。「攻城砲兵司令部」ですよね。
大名死亡