39 現在問題になっている普天間移設についてその一案として出ている
普天間の部隊を嘉手納と統合する案の反対意見の一つに
「ヘリ部隊とジェット戦闘機の部隊を同一何時か所で運用するのは危険」という趣旨の反対があるのですが
1,具体的に何がどう危険なのでしょうか?
2,では百里や千歳、小松といった実際そういう運用をしている基地はどうやってその危険を回避しているのでしょうか?
霧番

  1.  ヘリの離着陸は風向き等が飛行機以上にシビアでして、ヘリにとって無難な進入離脱コースは必ずしも滑走路の向きと合うわけではありません。無理に飛行機と同じコースを進ませると離着陸時に事故を起こす可能性もあります。またヘリは遅いので問題なく離着陸コースを使えたとしても、離着陸コースに居座る時間も長くなり、他飛行機の離着陸の邪魔になります。
     少数のヘリを扱うならば、該ヘリが離着陸を済ますまで周辺空域に他飛行機を立ち入れさせなければ問題はありません。普通の基地や飛行場ではそのように扱ってます。しかし普天間のように多数のヘリを扱うヘリ部隊の場合、そんなことをしたら戦闘機等の運用が長時間ストップすることになります。
     嘉手納の大規模空軍基地としての機能を維持したままヘリ多数を受け入れるということは危険ですし、かといってヘリとの調和を考えれば空軍基地としての機能は低下してしまうということになります。
    SUDO

  2. 平時に置いては、ヘリと固定翼機の混在はそれほど大きな問題にはなりません。より正確に言えば、有事の際に、増援部隊を大量に受け入れ、かつ固定翼機の攻撃拠点として用いる場合に問題になります。
    もとまっく

  3. 上記のお二方が実情に沿った形で回答されているので、蛇足になるかも知れませんが、

    >百里、千歳、小松(小牧&芦屋もですが)
    これらの基地においてはヘリが使用する着陸帯”ヘリスポット”は大体が誘導路上に設定されており、滑走路を使用するわけではありません。また、救難ヘリでは必須となる低空での定点ホバリング訓練を実施する場合には、滑走路から最も距離のあるヘリスポットを使用します。

    >有事の際
    侵攻戦力として集中運用を要求される海兵隊の場合、一箇所に多数の機体が集中する可能性は極めて高いのですが、上記の基地で運用されている救難ヘリの場合、予測される防空戦闘空域近傍に前進待機するので、母基地には殆ど(要救助者を下ろす&機体故障等を除きますが)いなくなります。
    BSK

  4. SUDO氏の回答がまぁ妥当というか模範解答なんでしょう。
    スペース的には、なんせベトナム戦時はB52が100機から運用されてたところですから、十分なはずです。
    あとは運用の問題、と思いますが… 既に沖縄の海兵隊は実質戦力としては無きに等しく、それゆえにグアムに移転が決まってます。ヘリポートの拠点くらいなら、嘉手納の一部を区切っても十分とも思えるのですがね。
    そもそも普天間が市街地のど真ん中で、あのスペースで運用できてる事実と、シュワブの初期案(小規模なヘリポートのみ)と、現在の滑走路計画を考え併せると、純粋に戦術・戦略マターというより、政治・利権マターだということは、ちょっと調べればわかるはずです。
    無記名

  5. >3、4

    普天間基地が有事に果たすことを期待されている機能は、ヘリの運用だけではありません。空輸による兵站物資の受け入れも含まれます。よって、「ヘリと固定翼機の混用が危険」ということ(だけ)ではなく、沖縄本島に所在する固定翼機運用可能な滑走路の数が減ってしまうことが問題視されているのです。

    シュワブへの移設を日本側で検討した初期の案に、非常に小規模な海上ヘリポート案があったのは事実ですが、それは上記の理由で却下されています。それこそ、「ちょっと調べれば分かること」ですよ。
    もとまっく

  6. >沖縄本島に所在する固定翼機運用可能な滑走路の数が減ってしまうこと

    なぜ沖縄本島でなければならないのか。本当に嘉手納のキャパが不足なのか。そのあたりの考察が、軍略側からしか行われていませんねぇ。
    ベトナム戦時の嘉手納の稼働状態を考えたとき、なぜ米軍側がゴネている(ように見える)のか、シュワブ沖でどんな実態になっているのか。
    「軍事は政治的活動の一環である」「沖縄の軍事利権(特に土建)は既に最大の"産業"である」「米軍は既に経済危機でカネがない」ってあたりを含めて「調べて」みられては? マニアがメカだの性能だの作戦だの、と吐かしてる以前のドロドロしたものが見えてきますよ。
    無記名

  7. 回答者のため、という趣旨を外れない範囲で。

    岡崎研究所「日米同盟プロジェクト」、船橋陽一『同盟漂流』、上杉勇司編『米軍再編の日米安全保障協力』といったあたりが、SACOや米軍再編に関する資料としては優れています。「ちょっと調べれば」というのは、これらの文献を熟読すれば、ということです。沖縄問題をめぐる政治・経済の流れを論じるならば、これらをきちんと読んで行くことが必要でしょう。その陰に隠されている襞に分け入っていくのは、そのあとのことです。

    特に船橋氏の著作で明らかにされていることですが、SACO当時、防衛庁では、実際にヘリと戦闘機とを動かしてみて、どれくらいの危険が生じるかを検討しています。その上で、嘉手納への統合は可能と考えて動いていたわけですが、海上案が出てきてしまったことと、有事の時の運用計画との関係から、同案は放棄されています。

    (どこかは言いませんが)とあるところで有事が起こった場合、周辺で大規模な航空攻撃を行える基地は嘉手納基地しかありませんし、その嘉手納基地はコソボ空爆時のアビアノ基地並みの攻撃作戦を実行しながら、空自那覇基地と連携しつつ防空を行わなければなりません。また、弾道ミサイルおよび巡航ミサイルによる攻撃により、一時使用停止になったり被害を受けることも想定しなければなりません(相手からの攻撃が想定されなかったベトナム戦争とは根本的に状況が異なる)。こうした状況で、沖縄本島で使用可能な滑走路が、嘉手納+那覇+普天間(ないし代替施設)=4本か、嘉手納+那覇=3本かは、死活的な違いをもたらすのです。(仮に那覇の滑走路を民間人避難のために使うとすれば、使用可能な滑走路はマイナス1になる)

    沖縄基地問題において、利権と軍事戦略と米軍の軍種間対立が交錯しているのは事実で、それが問題を複雑にしていることは確かですが、利権だけで全てを語ろうとするのは間違いです。はっきり言って、利権だけだったら、札束をばらまけば片づく話なのです。そうでないからこそ、15年近く問題がだらだらと続いているのです。
    もとまっく

  8. 皆さん回答ありがとうございます
    つまり
    1の回答
    「普天間に展開してりる海兵隊のヘリ部隊のような多数のヘリの発着発着には時間がかかる」
    2の回答
    「ヘリが使用する着陸帯”ヘリスポット”は大体が誘導路上に設定されており、滑走路を使用するわけではない、また、救難ヘリでは必須となる低空での定点ホバリング訓練を実施する場合には、滑走路から最も距離のあるヘリスポットを使用する」
    普天間(と代替施設)の有事の役割
    ヘリの運用+空輸による兵站物資の受け入れ+嘉手納や那覇が使えない場合の緊急着陸施設
    という事ですねありがとうございます
    霧番

  9. >「ヘリ部隊とジェット戦闘機の部隊を同一何時か所で運用するのは危険」

    ちょっとずれてしまいますが、現地(現場)の話の一つとしてこんな話もありました。
    海兵隊と空軍での管制・管理の違いが大きいので統合は面倒だとの意見もあるようです。
    SC


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