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日本を空襲したドーリットル隊の内一機はウラジオストクに着陸しました。乗員はソ連当局に抑留されましたが、この措置は国際法に規定されていたのでしょうか? 個人的には、同じ米兵がヨーロッパでは歓迎、極東では抑留というのは政治的な使い分けのような気がします。中立を口実に不時着したB-29の返還に応じずTu-4の資料とした例もありますし。 U-TARO |
- http://www.geocities.jp/nakanolib/joyaku/js16-6.htm
締約国ノ一方カ一又ハ二以上ノ第三国ヨリノ軍事行動ノ対象ト為ル場合ニハ他方締約国ハ該紛争ノ全期間中中立ヲ守ルヘシ
SUDO
- SUDO様、御教授ありがとうございました。国際法の定めでなく、二国間条約だったのですね。すっきりしました。
U-TARO
- 遅レス失礼。
中立条約があるからというのが直接の理由であるというので正しいのですが、二国が交戦中、戦争に参加していない第三国は、特別の中立条約が無くとも中立義務を負います(中立義務に違反すれば中立による利益を失い、相手国から見れば宣戦理由となります。)
つまり対独戦争におけるソ連は交戦国だが、対日戦争におけるソ連は45年8月まで中立国であったという相違から生じた現象です。
ただし、中立国の具体的な権利義務については、陸戦については「陸戦ノ場合ニ於ケル中立国及中立人ノ権利義務ニ関スル条約」http://www.geocities.co.jp/SilkRoad-Forest/5637/ipan5.htm
海戦については「海戦ノ場合ニ於ケル中立国ノ権利義務ニ関スル条約」
http://www.geocities.co.jp/SilkRoad-Forest/5637/ipan6.htm
に規定があるのですが、空戦については具体的な規定がありません。
(不成立に終わったものの空戦に関する慣習上の戦時国際法と解されている「Rules of air warfare(ハーグ空戦規則)」は中立国の権利義務について規定していません。)
中立についての一般原則にしたがって考えるなら、中立国には交戦国が自国領土(領空)を戦闘に使用させない義務があるので、戦闘行動中のB-25は領空外に排除しなければならないと考えていいでしょう。勝手に着陸した交戦国機に燃料を補給(売却)し帰国を認めれば実質的に交戦国に航空基地を提供したことになってしまいますから、中立義務違反となるでしょう。この点については第二次大戦中のスイスなの対応などが参考になるでしょう。
また、中立国に入った交戦国の軍隊、つまり軍人と兵器については「陸戦ノ場合ニ於ケル中立国及中立人ノ権利義務ニ関スル条約」に従えば、「留置」しなければなりません。
「第十一条
交戦国ノ軍ニ属スル軍隊ガ中立国領土ニ入リシトキハ、該中立国ハ、成ルベク戦地ヨリ隔離シテ之ヲ留置スヘシ」
徒歩でも戦車でも航空機でも中立国に入ったことは同じですから、ソ連はこのルールに従って(45年8月までは)中立国の義務を実施していたと考えるべきでしょう。
カンタニャック
- おっと、肝心な陸戦中立条約のほうがリンクしてませんね。
もう一度あげますが、ダメならURLをコピペして下さい。
http://www.geocities.co.jp/SilkRoad-Forest/5637/ipan5.htm
カンタニャック
- カンタニャック先生、ありがとうございました。日ソ両国が中立条約の条文をどのように解釈して不可侵条約に織り込んだのか興味が湧きました。勉強してみます。
U-TARO