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弾道ミサイルの最高高度などについて教えてください。 一般的には、 射程距離の1/5から1/3程度が最高高度とされています。 つまり、射程距離3000kmの弾道ミサイルだと、 最高高度は通常600から1000km程度となりますね。 ここからが質問になりますが、 射程距離3000kmの弾道ミサイルを、 距離1000kmの地点に撃ち込もうとした場合、 (燃料満タンで通常より山なりの弾道をとらせるとすると) 1)最高高度はどの程度まで到達できるのでしょうか。 2)通常より山なりの弾道をとらせることで、運用に何か不都合が生じるものでしょうか。 ※たぶん飛翔時間が長くなるのはデメリットだと思います。 ※燃料も射程1000kmに必要な量よりも余分にかかってしまいます。 以上、よろしくお願いします。 太助 |
- 射程距離の5分の1〜6分の1が標準的な最高高度じゃなかったかな。もっと高いポップフライのような弾道がロフテッド軌道で低いライナー性のようなのがディプレスト軌道というらしいっす。
ロフテッドのデメリットはCEPが広くなること。メリットはMDのミッドコース迎撃を回避できること(SM-3Block1Aの最大射高は500Kmぐらい)。
自分の知る限りではこれぐらいですが、とりあえず呼び水で。
超音速複葉機
- 回答ありがとうございます。
↓によると、射程距離1000kmクラスで最高高度300kmになっているんですよ。
以前、国会答弁の記録か何かで、3分の1という数値を読んだ記憶もあります。
http://www.clearing.mod.go.jp/hakusho_data/2003/2003/html/1563c100.html
意外と高いですが、これ(射程距離1000km級)だとSM-3で対処できるかもしれません。
でも、例えば3000km級を使われたらどうなのよ?というのが本設問の趣旨でして。
3000km級の本来の最高高度を600kmとした場合、
距離1000kmで高度600kmより上にいくのか下にいくのかさえ、恥ずかしながら調べ切れていません。
困ったものです。
太助
- 太助さん、こんばんは。
弾道ミサイルのTrajectoryに関する一般資料には、最小エネルギー(Minimum Energy)での話がほとんどで、LoftedやDepressedの弾道に関するものは少ないようですね。
ロケット燃焼終了時の速度(最大速度)と打ち上げ角度が決まれば、最大到達高度(apogee)と飛翔距離が出るはずですね。
最大速度と打上角度で最高高度や飛翔距離が判るグラフか表があれば便利なのにと思います。
最小エネルギー弾道で飛翔距離3000kmの弾道弾を射程半減でなく、1/3にもなる距離1000kmで使うのが現実的なのかどうかはさておき、
射程3000kmの弾道弾の最大速度が4.7km/sec位とすれば、勘入りどんぶり勘定で射角は36〜37°?、アポジ高度530km?位でしょうか...。
この弾道弾のロケット燃料をフルに使って射程を1000kmにするロフティッド弾道にするには、打ち上げ角度は、60°近くでアポジ高度は1000km位かな?と感じました。
(正確なところは判りません)
昔見た海外の軍事関係の雑誌に、射程約1万kmとした場合のICBMの各弾道に関する記述がありました。
標準のMinimum Energy弾道の場合に再突入角(打上角にも比例)約23°、飛翔時間約31分、アポジ高度約1200km。
Lofted弾道の場合は、それぞれ約35°、約42分、約2300kmで、Depressed弾道の場合は、それぞれ約15°、約28分、約900kmと言うものでした。
Depressedの弾道は、飛行高度があまり低いと再突入体に対する熱の問題や、元々弾着誤差の増大を招きやすい弾道でもあり、技術的には、より難易度が高いでしょうね。
MK@2004-
- MKさん、ごぶさたです。
なるほど、目標までの距離1000kmで、最高高度1000kmと見積もられましたか。ICBM並ですね。
それと射程10000km級の情報もありがとうございます。
通常弾道で再突入角が23°とは意外と浅い。
てっきり天頂付近から大落角で落ちてくるものかと思い込んでいましたよ。
それはそうとして、ちょっと疑問があったんです。
質問の2)に対する自問自答なんですが、
極度に山なりの弾道をとらせると、再突入体は頭を上に向けてお尻から落ちてくる可能性を考えています。逆にいえば、頭から通常の姿勢で再突入させるには、再突入角や最高高度に制限がかかるのではないかと。
以前に教えて貰ったことに関連して、弾道ミサイルについているTVCで再突入体の射出角度を強引にかえてしまうという荒技も考えましたが、、。
どんなもんでしょうか、ただの杞憂かな?
太助
- ICBMの標準的な弾道での弾頭の再突入角(打上角も概ね同等)が23°などと浅いのは地球が丸いからですね。
短距離なら砲撃などと同様に45°近くの発射角や突入角になるかもしれませんが、射程が数百km以上とかになってくると地球が丸いことの影響が大きくなってきますね。
物理的にかなり無理なことをしない限り、弾道弾が天頂付近から垂直に近い角度で落ちてくるなんて考えられません。
極端なロフティッド弾道でも70°以下の突入角度にしかならないと思います。
ロフティッド弾道は、元々は再突入角度を大きくして着弾精度を改善することにあったと思いますが、到達高度も高く飛翔時間も長くなるために探知され易くなり、迎撃側に与える時間的余裕も長くなりますが、迎撃側の
探知や誘導レーダー等には高仰角の走査を強いることになりますね。
どんな弾道をとらせるにせよ、ロケットの燃焼終了直後と弾頭の大気層への突入直前が最高速度となり、最高到達高度となる頂点付近が最小速度になりますね。
頂点では垂直方向の速度は、ほぼゼロで水平方向の速度も最小となりますので、頂点付近で迎撃する理由にもなっていると思います。
ということは、頂点に達する前に囮弾頭や特にMIRVの場合は各弾頭の切り離しを終わっておく必要がありますね。
普通はロケット燃焼終了後に早期にこれらが行われると思います。
所定の速度に達するロケット燃焼(搭載用バスの調整用ロケットも含めて)が終わったら、RV搭載バス又は弾頭部は姿勢制御用スラスターを噴射して弾頭を再突入に適した姿勢になるようにしてから切り離すでしょう。
再突入体のスラスターは、大気圏再突入前には噴射して弾体にスピンをかけると共に再突入時は姿勢制御も行うものと思います。
再突入体(RV)のケースはカーボン・カーボン複合材等で作られていますが、RVの先端は特に激しいエロージョンを受けるようで、この部分は耐熱性と強度に優れた特殊合金のチップになっているようです。
先端がエロージョンにより偏った形状に変化するだけでも弾着精度(CEP)に影響するようで、大気圏突入後のRVの制御も重要なようです。
ロケット燃焼終了後の弾頭の切り離しも特別な姿勢制御もしない原始的な弾道弾では、ロケット本体が付いたままの元の姿勢のままで弾道飛行し、大気圏には斜めの姿勢まま先端を上にして再突入することになりますね。
空力作用で姿勢をまともにすることを期待しているのでしょうが、射程延長のために胴体を無理に長くしたような弾道ミサイルでは、空力の作用に耐えられずに空中分解することもあったようです。
MK@2004-
- 5の続きです。
近年のICBM等の再突入体(RV)は多くが円錐形ですが、外套のケースだけでなくノーズチップもカーボン/カーボン複合材になっているものが多いようですね。
大気圏突入後の飛翔するRVは赤熱して光輝いていますが、相当な高熱になっているのでしょうね。
カーボン/カーボン複合材自体は千数百度まで耐えられるようですが、RVは熱だけでなく空力的な衝撃にも耐えなければなりませんね。
成層圏の下になると雨などが降っている場合もあるでしょうし。
大気圏突入前までの弾道を如何に正確に制御出来ても最後の段階の大気圏突入後のRVの飛翔をちゃんと制御しないとマッハ25とかの高速で突入するICBMのRV等では、CEP100mとかの高い弾着精度は、とても望めないのではないかと思います。
MK@2004-