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127mmの艦砲について質問します。この砲は海上自衛隊を含めて多くの艦艇に搭載されているようです。そして127mmという口径は、現有主力戦車に多く用いられている120mm砲より若干大きめです。 では、この127mm砲で現有戦車の前面装甲を打ち破ることは可能なのでしょうか。勿論、そのためには127mm砲用の徹甲弾が必要であるとは思いますが。 二一斎 |
- 直接の回答ではないのですが・・・ 海自の艦船の砲であれば下記が参考になるかと。
OTOメララ社の、76mm自動艦砲を車載した、オトマティックという「自走高射砲」が存在していました。
自主開発だったので制式採用されなかったのですが、これには予めMBT以外用の徹甲弾が用意されており、当時の最新鋭MBT以外なら対抗可能(撃破可能という意味で、自分が幸甚可能ではない)だったようです。
そんな事実から演繹すれば、ソレ用の徹甲弾があれば十分可能。対水上鑑用の砲弾でも、相当以上の効果はあるでしょう。
ただし、現在の艦艇は、装甲についてはMBTどころか断片防御的なもの程度が多いので、相手のタマが届けば逆に榴弾レベルで相当の被害がありうると思います。
TOSHI!!
- 単なる計算に過ぎませんが。
120mm戦車砲のM829A2 APFSDS弾では、砲弾重量20.3kg、初速1680/mですので、初期運動エネルギーは28,7MJと計算されます。
他方、あたご型に搭載されているMk 45 5インチ砲の場合、砲弾重量32kg、初速808/mですので、初期運動エネルギーは10.4MJと計算されます。エネルギーとしては半分以下で、20.3kgのAPFSDS弾を使用した場合の初速は1014m/sとなり、これでは現在のMBTの正面装甲は抜けないでしょう。
初速を上げるには装薬量を増して砲腔圧を上げる必要がありますが、Mk 45の砲身ががその圧力に耐えられるか否かは不明です。
回答としては、APFSDS弾を用いても、現在の装薬量では無理ということになると思います。
くさの
- 申し訳ありません、20.3kgというのは発射体重量ではなく、装薬なども含めた重量でした。
APFSDSの発射体重量は分かりませんでしたが、120mmM830A1多目的対戦車榴弾が発射体重量が11.3kg、初速1400m/sですので、運動エネルギーは11.1MJ。したがって、Mk45とほぼおなじになりますので、専用の徹甲弾があればMk45でMBTを撃破可能となります。
くさの
- 「前面装甲を打ち破る」のが目的で、「装甲を割る」「戦闘不能にする」のでは駄目なのでしょうか?15cm級の榴弾砲の砲弾が大体30kg級だったと思うのですが。あと誘導砲弾を使えば最大射程で点目標も狙い得る筈
にも。
- TOSHI!!様、くさの様、にも。様、ご回答有難う御座います。127mm砲に徹甲弾があれば、現有戦車に撃破を含め、かなりの打撃を与えられることが分かりました。
また、一方、艦艇の装甲が強くないこと、誘導砲弾が最大射程で点目標も狙い得る等、質問以上の内容を教えていただき、あらためて御礼申し上げます。これからも、宜しくお願いします。、
二一斎
- 違います。榴弾でです。
砲弾重量32kg初速808/mはスターリン戦車より大きく、MBTの正面装甲を抜けなくとも衝撃でその戦車を壊したり乗員を駄目に出来ます。いや最近の増加装甲は衝撃を吸収してしまうのではと不安ですが広角なら上面に当て得ます。
にも。
- 前提として、第3世代MBTの前面装甲を運動エネルギー弾で貫通する、とします。
参考に、戦車砲弾として一般的な120mm DM33と運動エネルギー的に近い88mm Pz.Gr39/43を比較してみると。
重量 初速 運動E 貫徹力(RHA,2000m)
DM33(侵徹体) 4.3kg 1650m/sec 5.9MJ 460mm
Pz.Gr39/43 10.4kg 1000m/sec 5.2MJ 159mm
と、運動エネルギーが1割強の差に対して貫徹力は3倍の差が有ります。
これは主に、APFSDS弾の特徴である1500m/sec以上で発生する塑性流動化という現象によるものです。
APFSDS弾でも、この1500m/secを下回ると急速に貫徹力が下がると言われる以上、運動エネルギーを根拠に貫徹力を考えるのは危険です。
近距離用に高初速を求めた戦車砲と違い、艦砲では1600m/secを越える高初速は想定外ですしAPFSDS弾に不利なライフル砲です。
前提から外れるHEAT弾でも、弾丸の直径に威力が比例する為に127mmでは貫通は困難と考えられます。
以上の結論として、127mm級の艦砲でMBTの前面装甲を貫通するのは無理でしょう。
もちろん、多数の弾丸を撃ち込む、正面以外に当てる、専用に砲を開発するなどすれば撃破は可能でしょうが、質問の範囲を大きく外れるでしょう。
なお、数字や理論はネット上で集めたものの為正確さに欠けますが、結論に影響するような大きな間違いはないと思います。
Mag
- >7.
質問は
>勿論、そのためには127mm砲用の徹甲弾が必要であるとは思いますが。
となっているので、それが前提でしょう。
>艦砲では1600m/secを越える高初速は想定外ですし
発射体の重量が軽くなれば、当然初速は上がります。Mk 45の標準装薬量は9kg程度で、120mmのAPFSDS弾と同程度か若干少ない程度と思われますが、強装では20kgまで使えますので、砲身の物理的な強度には問題ないと思われます。ただ、砲腔内部の表面加工が高速発射体に対応できないという可能性はありますけど。
>APFSDS弾に不利なライフル砲です。
英軍のチャレンジャーは120mmライフル砲を搭載しており、別にライフルだからAPFSDS弾が問題ということはありません。
もちろん、艦砲でAPFSDS弾を使用するようなシチュエーションは考えられませんので、専用弾が開発される訳もないです。が、砲の能力としては、「可能」と思いますけど。
くさの
- 艦砲でもAPFSDSみたいな形状と言われる砲弾はあります。
用途は「ノンリーサルウェポン」となっていますが。
http://www.military.com/NewContent/0,13190,NL_Nonlethal_072704,00.html
これは76mm対応のARTですが、
弾芯はタングステンだと書いてあります。
終速も速そうです。
太助
- 文章が足りなかった為に誤解を招いた様で申し訳ない。
まとめると、
APFSDS弾:常用弾の初速、構造から見て2倍の高初速は不可能ではないか?
HEAT弾 :"徹甲弾"ではないし、砲口径から十分な貫徹力を持たせることは困難。
となります。
>>勿論、そのためには127mm砲用の徹甲弾が必要であるとは思いますが。
>となっているので、それが前提でしょう。
この前提の下にAPFSDS弾を想定しましたし、HEAT弾は"前提から外れる"としています。
>>艦砲では1600m/secを越える高初速は想定外ですし
>発射体の重量が軽くなれば、当然初速は上がります。Mk 45の標準装薬量は9kg程度で、120mmのAPFSDS弾と同程度か若干少ない程度と思われますが、
>強装では20kgまで使えますので、砲身の物理的な強度には問題ないと思われます。ただ、砲腔内部の表面加工が高速発射体に対応できないという可能性はありますけど。
砲身長や装薬量、砲弾の運動エネルギーを見れば十分に思えますが、それだけで判断していいのでしょうか?
同じ運動エネルギーでも、大重量低速弾と軽量高速弾では装薬の燃焼速度、腔圧が異なるでしょう。
腔圧や砲身素材、強度の情報がないので断言はできないんですが、ご指摘の砲腔内部の点など、通常弾の2倍の高速弾を"常用"できるかは疑問です。
傍証として、初速、弾種など艦砲に近い性質の自走榴弾砲では対戦車戦闘用のHEAT弾がありますが、APFSDS弾は寡聞にして聞いたことがありません。
15cm級HEAT弾ではMBTの前面装甲には威力不足なのに、より貫徹力に勝るであろうAPFSDS弾は無いのです。
>>APFSDS弾に不利なライフル砲です。
>英軍のチャレンジャーは120mmライフル砲を搭載しており、別にライフルだからAPFSDS弾が問題ということはありません。
>もちろん、艦砲でAPFSDS弾を使用するようなシチュエーションは考えられませんので、専用弾が開発される訳もないです。
>が、砲の能力としては、「可能」と思いますけど。
ライフル砲でのAPFSDS弾は実用化されていますが、ライフリングからのガス抜けやスリップリングが必要、接触抵抗が大きい等、"不利"なのは間違いないでしょう。
チャレンジャーの件もHESHが理由と言われていますし、他にライフル砲を積んだMBTはありません。
追記:
過去ログ C2000393によると、15cm榴弾の直撃でも、深刻な被害となるものの"前面装甲を打ち破る"ことは困難のようです。
15cm榴弾(参考M107:44kg)より軽量な127mm砲弾(32kg)では、初速に大差がなく(着弾速度は条件による為特定不可能)重量で劣る以上、不可能でしょう。
Mag
- >>10
自走砲にAPFSDSを積んでいないのには、次のような理由があるのではないでしょうか。
1) マズルブレーキの存在
ご存じのようにAPFSDSは砲口をでたところで、空力によりサボが分離します。マズルブレーキとぶつかってしまうかもしれません。
2) APFSDSを撃って当たるのか?
自走砲のFCSで命中が期待できるか疑問です。現在でこそ74式戦車でもAPFSDSを撃ちますが、本来はかなり命中し難い弾種です(正確には回転しない弾種一般ですね)。
太助
- それから>>9で紹介したARTですが、76mm砲からは初速1200m/sで撃ち出されるそうです。
このARTは127mm砲にも対応可能らしいので、もしかしたら1600m/sも出るかもしれませんね。
弾体は数kgでAPFSDSと同じぐらいです。
もっとも、これはノンリーサルウェポンですから、戦車に撃ち込むなんて論外だとおもいますが
、、、一度ためしてみたいですね(笑)
太助
- >>11
装弾筒にとってマズルブレーキは当然よろしくないのですが、チェンタウロ他、装輪車両の例がいくつかあります。
チェンタウロの話ですが、英語版wikipedia(wikiの信頼度はともかく)では"APFSDSを含むNATO標準弾薬を射撃可能"となっていますね。
また、中国の73式/86式100mm対戦車砲やロシアの2S45スプルートというマズルブレーキ付滑腔砲からAPFSDSを撃つ牽引式対戦車砲があります。
勿論、マズルブレーキといってもいろんな形があるので、上記で撃てるから自走榴弾砲でも撃てるとするのは乱暴ですが、
もしも問題ない、あるいは多少の設計変更でAPFSDSに対応できるのかもしれません(できても、ORで不要と判定されそうですが)。
精度についても、APFSDS自体まともな砲からまともな弾を撃つ限り精度はいいはずです。
精度そのものが悪い場合、FCSで補正してもまともな命中は期待できませんが、3GMBTの話を聞く限り相当の精度があるようですし。
それに、上記の牽引式対戦車砲には写真や解説を読む限り高度なFCSなんて付いていません。
86式は照準器と俯仰・旋回ハンドルや駐鋤が付いている他、緊急時には車輪をロックして射撃できるということですから、
その程度の安定性の砲でもそれなりの射撃ができると考えられます。
とはいえ、APFSDSを積む自走榴弾砲は主に東側の車両ですし、この牽引式対戦車砲も東側のですから、その辺に理由があるのかもしれません。
ちょっと調べただけでも"常識"に疑問符をつけてくれる東側の装備は、いろんな可能性を考えさせてくれるいい教材です(笑
>>12
ARTは途中まで読んでみましたが、細いタングステン弾芯、装弾筒、フィン、通常弾の1.5倍の速度など完全にAPFSDSです。
船舶の舵などを破壊することで沈めることなく停船させるあたりが"ノンリーサル"のようですね。
装弾筒の材質が柔だから砲身への負担は比較的少ないのでしょうけれど、1600m/secは通常弾の2倍になるので安全に撃てるのか疑問なんです。
Mag
- CENTAUROのAPFSDSの件は本当ですかね?
どこもかしこも“APFSDSを含む”という同じような文面なのが引っかかります。
信頼できるソースを当たってみましたが、
OtoMelaraが「現存する全てのNATO標準の運動エネルギー弾、化学エネルギー弾」を撃てると表現しているのに行き着いただけです。
まぁこれで十分なのかもしれませんが、特にAPFSDSには言及していません。
OtoBredaは弾種についての言及はなし。
Jane'sの2000年版も弾種についての言及はなし。
どうでも良いことなんですが、どこで“APFSDSを含む”という表現が追加されたのか、情報元が気になりますね。
太助
- ちょっと脇道にそれましたね。
>>13
戦後の第2世代戦車まで、ライフリングで砲弾に回転を与えていたのは、そうしないと砲弾が直進しないからでしょう。自衛隊の74式戦車もAPFSDSに対応するためにFCSの換装を行っていたはずですよ。
それにしても東側の兵器はおもしろいですね!どういう運用思想なのか不思議です。
> 1600m/s
通常弾の2倍の弾速と考えるとムリっぽいですが、76mm砲ARTの1.3倍の弾速と考えると、なんとかなりそうな気になりませんか?127mm砲の装薬で76mm対応のARTを撃ち出すんです。スリップリングと発射薬に工夫はいるでしょうが、エネルギー的にはクリアできるのではないかと思います。
砲自体も、砲弾が高速で抜けていく訳ですから、まぁ空砲をうつような感覚で大丈夫なのかなと。
こうなると技術論ではなくて、精神論の世界ですね・・・
そういえば、CENTAUROのベースはライフル砲なんですよね。
APFSDSを撃ちたいのなら何故に?と疑問に感じました。チャレンジャーと同思想なんでしょうか。
ちょっと書きすぎましたね。
駄文失礼しました。
太助
- >>15
決定的な資料が無い為傍証を重ねるしかないのが残念です。
>ライフリングで砲弾に回転を与えていたのは(以下略
2GMBTのころは回転で安定するAPDSだったのでライフル砲です。
13で書いたように、73式/86式や2S45はマズルブレーキ付滑腔砲ですし、電子化されたFCS自体が無いみたいなんです。
また、チェンタウロの105mmがライフル砲なのはL7との砲弾互換性が理由でしょう。
既存の弾薬が使えますし、わざわざ105mm滑腔砲を開発する必要性は無いでしょうから。
>76mm砲ARTの1.3倍の弾速
ARTの"通常弾の50%増し"という時点でかなり無茶をしているような気がしませんか?
工業製品ならマージンは取るものですが、軍用とはいえ通常弾の2倍の高速弾までは想定していないんじゃないかな、と。
この辺、詳しい情報が一般には出回らず推測しかできないので、残念ですけどこの辺で終わらせましょう。
Mag
- 了解です。
小生もちょっと空想してみただけで、それほど真面目に考えてはおりません(笑)。
お付き合い頂き感謝しております。
太助