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拳銃の早撃ちにおける極端な例として「2度発砲したのに銃声が1回しか聞こえない」という話を聞きます。さすがにフィクションの誇張だろうと思っていたのですが、先日これを実行する動画を見かけました(リンクの1分過ぎあたり) ttp://www.youtube.com/watch?v=r7HN7THecwg&NR=1 調べると早撃ちで有名な方でしたが、フルオートの銃でもパパパ……と聞こえるわけで、映像の編集なのか本当なのか、判断が付きません。これは果たして本当の話なのでしょうか? 早撃ち……? |
- 本当だと思います。
射手はホルスターから銃を抜きながら右手の親指でハンマーコックし、銃口が標的を指向した瞬間にトリガーを引いて一発目を放っています。この動作と並行して左手は「ファニング・ショット(右手の人差し指は引き金を引いたまま、左手でハンマーを叩いて射撃する)」のために動きつつあり、一発目の発砲直後に銃口は次の目標を指向し、それが完了した瞬間にファニングで二発目を放っています。御紹介のビデオによればその間 0.02 秒とあります。
通常の機関銃は 600〜1000 発/分で、1発ごとの発射間隔は 1000 発/分でも 0.06 秒です。高発射速度で知られたドイツ MG42 が 1200〜1500 発/分(0.05〜0.04 秒)で、この辺になると1発ごとの発射音が独立して聞こえにくくなり「布を引き裂く音」「チェーンソーのような音」と形容されます。M61A1 バルカン砲では 6000 発/分、1発あたり 0.01 秒で、発射音は「ヴー」とか「ブオー」とか形容される連続音になります。
ボブ・マンデン氏が本当に 0.02 秒でコック・ファイヤー・ファニングの動作を出来るのであれば、その発射音が1発にしか聞こえないことは充分にあり得ることだと思います。ただ、これは優れた天性と絶え間なき練習の賜物であり、それであっても必ず 100% この射撃術で2つの目標を確実に命中できるという訳ではないのではないか、とも思います。
無記名
- 注意して頂きたいのは、この射撃術は2発に限って「ワンウェイ・アクション」で全てが完結することです。右手は銃をホルスターから抜き、標的1・標的2を指向する。右手の親指は抜く動作に合わせてハンマーをコックする。右手の人差し指は標的1を指向した瞬間に引かれる。左手は標的2を指向した瞬間にハンマーを叩く。「引き金を引き、戻してもう一度引く」とか「同じ指を使ってもう一度ハンマーを起こす」という「ツーウェイ・アクション」は入りません。全身すべての筋肉が予定どおりの順序で動きさえすれば、物理学的に不可能な動作ではないと思います。問題は、そんな複雑かつ精密な動作を人間技で実現可能なのかということですが、鍛え抜かれた人間の体は「物理学的に可能」なことは一定の確度で実現してしまうようです。
無記名
- 回答ありがとうございます。
自分で計算したとき参考にしたのはベレッタM93Rでした。さすがにバルカンはないだろうというのと、1100発/分かつ3発でいったん途切れるため数えやすいという考えでしたが、どうも比較材料を誤ったようです。ご指摘のMG42の実射を確認するとやや速度が上がった1200〜1500 発/分時点で既に聞き取りづらく、さらに速いなら聞き取れないのも納得がいきます。
同氏の別動画ではファニングでも聞き取れるため編集を疑いましたが、この2発は通常のファニングではなく「ワンウェイ・アクション」であるという違いも丁寧な説明を頂き、よく理解できました。
早撃ち……?