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金剛級戦艦は、二次改装の結果、直結式から減速機つきタービンとなりました。スクリューも大きくなり、回転数も増加しています。この時、スクリュー軸も新しいのになったのでしょうか、それとも古いままだったのでしょうか。 電気戦艦 |
- 強度計算上は軸径は伝達トルクの立方根に比例しますので新旧のトルク比を見てみましょう
・原型 19,600shp/290rpm=約67.6 (内軸)
・改装 34,000shp/316rpm=約107.6
・トルク比 107.6/67.6=約1.59
・立方根 約1.17
つまり17%増で充分安全率の範囲内ですから交換しなくとも大じょうVです
駄レス国務長官
- >1. 駄レス国務長官様 どうもありがとうございました。私も初等材料力学の本もう一度読み、「捻りを受ける円柱の最大せん断応力はトルクに比例する」ことを確かめました。今回の事例では、最大せん断応力の比がトルク比、すなわち1.59であると考えた方がよろしいかと思いました。そうすると安全率が当初の約0.6になるので、最初10なら6、最初5なら3になりますが、どうでしょうか。
電気戦艦
- 横から失礼します。トルクを伝える回転軸は、許容剪断応力を下回るように軸径を定めます。
駄レス国務長官様の言われる「立方根 約1.17」は、材料が同じ場合に同じ剪断応力となる軸径の比率になります。
従って剪断応力の比率は、電気戦艦様の言われた通り、1.59倍になります。当初の設計時点の剪断応力が許容応力の60%以下でないと「許容応力」に収まりません。
正確には設計時の剪断応力が分からないと判断が出来ませんが、通常の設計では軸のサイズアップが必要となる増加です。
付け加えると「安全率」とは、「破断応力」を「許容応力」で除した比率です。3を用いる場合が多いですが、設計対象により大きく変わります。私の知る範囲でも、1.1から12まであります。
タンジェント
- 済みません間違えました
改めて「軍艦機関計画一班」を見ると金剛の推進軸の恒数(安全率)は
原型
・内軸 4.63(16,700shpに対し)
・翼軸 4.78(15,300shpに対し)
ゆえに第二次改装後は
・内軸 2.27(34,000shpに対し)
・翼軸 2.15(34,000shpに対し)
と2以上となりますので交換しなくとも大じょうVと判断されたんじゃないでしょうか
ちなみに「海軍造船技術概要」では扶桑伊勢両級の軸系存置が明記されてます
駄レス国務長官
- >3.,4. タンジェント様、駄レス国務長官様 どうもありがとうございました。どうも、安全率が実質2以上あったので、よしとされたようです。確かに、タービンからは捩り振動はないし、スクリューは流体中の回転ですから、衝撃荷重もあまり考えなくていいということであったと思います。
関連した質問ですが、金剛型も扶桑型も当時開発後まもないミッチェル型推力軸受を採用していたと思います。改装後も存置されたのはどの部分まででしょうか。推力軸受までか、最前部中間軸までか、どうなのでしょう。
電気戦艦
- >5.
原型は直結タービンで推力軸承は推進器推力とタービン内推力(反動蒸気の軸方向分力)の差分を受ければ良かったのに対して改装後は歯車減速装置が介在しますから推力軸承は推進器推力全部を受けねばなりませんし機関の力量増大によって推進器推力自体も増大しますから新規設計(艦本式)となったんじゃないでしょうか
駄レス国務長官
- >6. 駄レス国務長官様 どうもありがとうございました。私は、推力軸受はタービンの後ろ(船尾側)にあるとばかり思っていましたが、どうもそうではないようで、改装前の金剛型の場合船首側についていました。またダミーピストンという釣り合いのためのものもありました。これを機会にもう少し詳しく勉強してみます。
電気戦艦
- 小生学生の卒業研究で疲労をやりましたのでちょっと気になることが有りましたので感想だけを述べさせてもらいます。
推進軸と言うのは、片持ち梁だと思います。
スクリューも大きくなったのでその重さが過重となるので曲げのクビフリによると同時に始動時や加速減速時にトルクと合成した振動過重になる筈です。
疲労による破壊と言う場合その安全率というのは通常よりかなり高い。
特に定速で運転し続けるより負荷の変動がある場合は更に大きくなります。
そして、結構長期に使われている場合は疲労による傷がある筈なのです。
疲労の場合この傷が成長せず破壊に至らないのですが、過重が増えているこの場合、軸の表面状態が気になる。
傷に力が集中するからですが。
そんなに長く使うことがないから無視されたのでしょうか?
青江
- >>8
それらを避ける為にスクリュープロペラの直前にシャフトブラケットがあるのでは?
元自
- >「海軍造船技術概要」では扶桑伊勢両級の軸系存置が明記されてます
当該箇所は「軸系は中間軸以下を旧来の儘とし、推力軸、推力軸承及び推進器は新製換装された」
とあるのですが、扶桑の軸系が新造→改装時で199トン→202トンと僅かな重量増に収まっているのに対し
金剛では241トン→295トンとなっているのは同一要領にしては重量増加が著しいのではないでしょうか
kimurada
- >10.
それもそうだと言うことで海防研「金剛型の船体と機関」を見直したら在来の主機・推力軸受・中間軸・推進器は「適宜処分」となってました(つまり全取替)
ちなみに典拠は『軍艦金剛霧島機関改装要領書』『軍艦比叡機関改装要領書』
完全に呆けてますね小職
駄レス国務長官
- >11.
ということは、スクリュー軸と船尾管軸受などは存置されたのでしょうか、それともこれらも入れ替えになったのでしょうか。
主機の換装はその後もよくあることで、石油ショックの後では、大型船の蒸気タービンをデイーゼル機関に替えることがよくありました。この場合も軸系がどうなったのか、細かいことですが興味あります。
電気戦艦
- 9.
金剛の場合は如何か解りませんが 、スクリューの全部の重量を支える構造になっていたとしても、大動力の伝達をしている以上、小さくはなっても必ず何らかのテンションが過重となることが不可避です。
非接触で動力が伝達出来ない限り無理でしょうね。
青江