987  大和級戦艦の装甲システムには重大な欠陥が有りました。上部舷側装甲を支持する構造物と下部舷側装甲を支持する構造物が、本来連続であるべきところをわざわざ上下に分割されています。その分割された隙間に棚板という部材が入り込み、結局全体としての上下方向の連続性が不完全になっています。
 1943年12月に米潜の魚雷により大破孔が生じました。調査の結果上記の弱さが立証されましたが、もはや対策は不可能でした。この棚板という物は、バルジを船体本体に取り付けるため、船体内部から上下舷側装甲の間を貫き外部に突き出しています。これらを考えると、
 「この棚板は本当に必要だったのか。他の既存戦艦を改装するとき、バルジはリベット(一部溶接も)により、外部から船体に張り付けられている。大和の場合もそうすれば棚板なしですんだのではないか。」という感想や疑問が浮かんできます。皆様のお考えを教えていただければ幸いです。
電気戦艦

  1. 確かに不連続ではありますが問題とするのが浸水量であれば構造云々よか水防区画の大小の方がより重要ではないでしょうか
    駄レス国務長官

  2. 1.重巡洋艦でなく戦艦では、重量があり、敵弾命中時の衝撃も大きな舷側装甲は船体に貼りつけるのではなく、棚板でしっかりと支持するのが原則です。(初期の世界の艦船の旧海軍技術官。確か堀氏、または福井氏)
    2.舷側装甲は、1枚では製造不可。大和では、上部と下部の傾斜が異なる為なおさらです。また、下部もさらに上下に分割されて製造されています。1枚では、製造不可だったと思います。
    3.構造的には一体の心算だったが、支持をキーや支持材の横断面への押圧でなくリベットの歪断によったこと、魚雷の威力が想定(TNT350kg)以上であったことが原因です。
    UK

  3. 当該部が十字断面の一体部材で魚雷の威力が想定内であったとしても船体構造で爆圧をはね返せるとは考えられませんしあまり頑丈に作ると爆圧が船体深奥部に及んで却って被害が拡大する恐れが有りますから敢えて外側を弱く造るってのもアリなんじゃないでしょうか
    駄レス国務長官

  4. 魚雷爆発に対する防御は、火薬量300kg程度の場合に装甲で対処しようとすると、30cm程度の厚さが必要なので重量的に成立しません。そこで、外板の破壊には目を瞑り、内側に液層や空気層を設けて爆発力を和らげ、外板から3〜5メートル程度内部に設置した強固な隔壁で爆発力を防ぐのが基本です。この際、この隔壁の多少の水漏れ等には目を瞑り、最後の防水隔壁・・・大和では9mm・・・で艦内への浸水を防ぐようにします。(初期の世界の艦船。旧海軍の造船官。堀氏または福井氏。)なお、大和では、バイタルパートでは水中弾対策の装甲が爆圧を吸収する計画でした。その他、1988年ごろの世界の艦船の日米戦艦比較論が参考になります。著者は、牧野茂氏。
    UK

  5. そもそも装甲は対弾防御が目的で水中帯甲も水雷に対してはスプリンター防禦にはなりますが爆圧は自ら吸収せず内部構造に伝えますから構造材の永久変形ないし破断によって浸水を惹起するんじゃないでしょうか

    >大和では、バイタルパートでは水中弾対策の装甲が爆圧を吸収する計画でした。

    当該文献を確認しましたが上記の意味と解釈されます

    あと大和型では下部帯甲と水雷隔壁の間隔は上端約2.7m下端約1.5mですから仰せの3〜5mには全然足りてませんね
    駄レス国務長官

  6. 下部装甲の上端は、外板から1,3m程度しか離れていませんが厚さは200mmあります。また、下端の厚さは0.05m程度ですが、外板から3.5m程度離れています。このため、支持さえ充分であれば、爆圧に耐える筈でした。実際には、リベットが切断されて支持部材ごと内側に押し込まれました。リベットの切断がなければ、上下の船体が一体になって爆圧を受け持つので、TNT換算で400kg強の航空魚雷であれば、充分耐えたでしょう。
    なお、戦艦を狙う際の魚雷の深度は、4m程度です。但し、出典は思いだせませn。
    UK

  7. > 支持さえ充分であれば、
    > リベットの切断がなければ、

    繰り返しますが当該部が十字断面の一体部材であっても船体構造の永久変形は起こり浸水は不可避であったと言うのが小職の見解です
    駄レス国務長官

  8.  爆圧で一旦引っ込んだ装甲が弾性で元に戻る際にコーキングが壊れるので、どのみち装甲では浸水は防げないんじゃなかったでしたっけ?
    おうる

  9. 魚雷が命中すれば、多少の浸水が生じるのは不可避です。設計時の見積もりでは、大和はTNT350kgの爆薬で1000トン、ノースカロライナは同じく700ポンドで500トンです。また、命中箇所から多少離れていても、爆発時の振動で、特に複数本が命中すれば、方位盤が狂ったり(大和)、レーダーの支持が破損したり(ノースカロライナ)、リベットが緩んだりします。要は、浸水であれば、厳しい重量制限の下で、どの程度に抑えるかです。
    あと、本来の質問から離れるので、これまでとします。
    UK

  10. >9.
    > 要は、浸水であれば、厳しい重量制限の下で、どの程度に抑えるかです。

    >1.に書いたコトと同じではありませんか
    駄レス国務長官

  11.  皆さま、いろいろ議論していただきありがとうございます。水防区画の大きさと配置は大変重要なことでありますので、今後自分として考えていきたいと思っています。
     私の最初の質問では、棚板というものはいらないのではということでした。調べてみますとこの部材は、縦フレーム(縦肋骨)の一つであり、バルジ上方側面まで伸びた幅の広い大きいものです。簡単には省略できないようで、これが上下舷側装甲の間を通るのはやむをえません。この場合、装甲を支える上下の(背板+フレーム)ユニットを強固に結合するには、牧野さんが最初に考えたような十字形のアーマー(装甲)受け材が最適と考えます。牧野さんの論文(日米戦艦比較論)では、呉工廠の製鋼部から製作できないと言われて案を引っ込めたとありますが、本当に不可能だったのでしょうか。実際の受け材は底面が平面だから製作可能であるということですが、この平面も最初からあるわけではなく、鋼塊から削り出したものです。とにかくト形の受け材が加工できたということは、大型のプレーナ(平削り盤)が動いていたということですので、なんとか工夫して十字形の受け材できなかったかと感じます。
     構造物の強度には「絶対的に強い」ということもなく「絶対的に弱い」ということもありません。全て相対的なものです。しかし、ある要素の設計を考える時は、許される範囲でできるだけ強くしておくことが必要でしょう。今問題にしている大和のこの部分は見ただけで頼りなさそうです。実際に設計に当たった人たちもこの部分にはかなり心配していたようです。松本喜太郎「戦艦大和 設計と建造」の付図見ると青焼き図面に、この部分について手書きでいろいろな案が書き込まれています(1937年5月段階)。


     
    電気戦艦

  12. 上下別々の丁字断面の受材を十字断面とすれば「棚板」と書かれてる28ミリDSの縦通部材を貫通し連続性を損ないますから造船官も諦めたのではないでしょうか
    図面上の手書き案も生産性含め原案以上のものではなさそうです
    仮に当該部分を強化しても次に弱いトコロが壊れますからね

    駄レス国務長官


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