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潜水艦の駆動方式について質問です。 昨今の蓄電池の目覚しい能力向上でAIPが過去のものになりつつある現在、 発電専用の小型ガスタービンと大容量バッテリーを搭載したシリーズハイブリット式潜水艦というものは今後の展望としてありうるのでしょうか。 船体の小型化、潜行時間増大、騒音低減に効果的だと思うのですが、燃費や吸気量、赤外線ステルスの観点からはいかがでしょうか。 ほかに利点、欠点があるようでしたら教えていただければ幸いです。 はる |
- ガスタービンを潜水艦に使用すること自体が無理です。
また、AIPが過去のものになりつつあるというのは、本当でしょうか。
UK
- 確かに排ガス規制の指標を見ると、ガスタービンエンジンの排気中酸素濃度は16%、ディーゼルエンジンは13%とディーゼルの2倍の吸気量が必要みたいですね。(熱効率が一定として)
一般に吸気量が多いから不向きということでしょうか。
試算してみました。
リチウムイオン電池のエネルギー密度が200Wh/s、500Wh/Lです。
スターリングエンジンが軽油or重油を燃料に使うとして大雑把に燃料が40MJ/L、
燃料のC:Hをざっくり1:2とすると酸素3sあたり40MJの熱量が出る計算です。
そうりゅう型では第四区画の下半分に液体酸素タンク、上半部にスターリングエンジンと発電機があるそうなので
第四区画の体積の1/4が酸素と過程します(適当)
高圧液体酸素の密度を1s/L(概算)とします。
スターリング・エレクトリックの最終的な効率を燃焼・発電の損失を考慮して30%(独断)とします。
第四区画(体積X L)にスターリングAIPを積んだ場合とリチウムイオン電池をいっぱいに詰め込んだ場合の総エネルギーを比較すると、
Li ion :500*3600*X J =1.8X *10^6J
スターリングAIP:40*10^6 * (1/3 * 1/1) * (1/4 * X) * 0.3(30%)=4X*10^6 J
大体1:2となります。スターリングエンジンの使い勝手の悪さとでかさは現場でも不満の声が上がっている(伝聞)そうなので
そうりゅう型では充電すれば繰り返し使えて高速航行も可能なリチウムイオン電池に軍配が上がったというところでしょうか。
燃料電池についてはわかりません。
AIPが過去のものは言い過ぎたかも汗
はる
- 酸素3sあたり40MJの熱量
↑燃料の重油の密度をls/L(乱暴)として計算した場合です
はる
- 訂正
スターリングAIP:40*10^6 * (1/3 * 1/1) * (1/4 * X) * 30%=1X*10^6 J
ですね。第四区画の下半分がすべて酸素タンクとしても2X*10^6Jで、
これではスターリングAIPを使う意味はないですね。
そうりゅう11番艦も28SSもスターリング機関は搭載せずLiイオン電池一本でいくみたいですし、スターリングエンジンが日の目をみることはなさそうです。
燃料電池ならワンチャンスあるかもしれません。
はる
- ディーゼルエンジンは、廃熱を海水中に捨てられます。周りの海水の熱容量は膨大であり、その昇温も無視できます。
一方、ガスタービンは、廃熱を排気中に捨てます。このため、運転には膨大な量の空気が必要となります。従って、第1に艦内のダクトの配置が困難となります。第2に、必然的に吸気筒(シュノケール)も太く、高くなります。第3に排気の冷却も大変です。下手に捨てると、空気の昇温、排気のための泡や水柱から容易に探知されます。
UK
- 2020年代以降の次世代潜水艦用として小型・高出力化及び静粛化を図った新型スノーケル発電システムの開発が完了していますから容量が大幅に増加するLiイオン二次電池群使用には丁度よいですね。というか充電時間や搭載スペースを従来程度かそれ以下にするためにも必要な新システム開発だったのでしょう。
併せて次世代潜水艦用ソーナーシステムや新型の潜水艦用長魚雷(G-RX6)にも期待しています。特に後者は89式B以来の新型長魚雷なので出来映え(技術試験結果)に興味があります。
MK@2004-
- >5
膨大な量の空気とは具体的に同出力のディーゼル機関と比較して何倍になるのでしょうか?
ガスタービンは最も効率の良い回転数での運用する発電用タービンとします。
また、排気を海水で冷却することはできないのですか?
>6
新型スノーケル発電システムはディーゼルの機関の改良に関する研究なんですね
リチウムイオン電池のポテンシャルを十二分に発揮できるようになると思うと楽しみですね。
28ssは燃料電池を搭載するのでしょうかね。
はる
- >>7
まあ簡単なところだけですがコメントしましょう
同一出力のエンジンだとして、ガスタービンはディーゼルの1.5〜3倍程度の空気で運転されると試算しました。
試算方法は以下によります。
----------------------
[前提]
>>2で質問者さん自身が言及されているように、排気ガスの基準O2濃度は
http://www.env.go.jp/air/osen/law/t-kise-6.html
・ガスタービン:16%
・ディーゼル:13%
とします。
また燃料の理論空燃比を15とします。
空気中の酸素濃度は21%ですね。
燃費はガスタービンがディーゼルの1〜2倍かかるとします。
https://www.mhi.co.jp/technology/review/pdf/451/451018.pdf
[ガスタービンの空燃比Zを試算します]
((Z-15)x 21) ÷ Z = 16
→Z ≒ 60
[ディーゼルの空燃比Zを試算します]
((Z-15) x 21) ÷ Z = 13
→Z ≒ 40
[途中結論]
つまり燃料消費を同一とした場合、ガスタービンはディーゼルの1.5倍の空気量で運転していると言えます。
[試算結果]
途中結果の値(1.5倍)に燃費(1〜2倍)を加味すると、ガスタービンはディーゼルの1.5〜3倍の空気量で運転していると試算できます。
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より小さなガスタービンを用いれば、それ相応に空気量も減りますが、当然のことながら充電のための時間もかかってしまいます。あまりガスタービンにこだわる必要はないかと思いますが。
太助
- 水上艦においてもガスタービンは合理的ではありません、ディーゼルの方がずっといい。
航空用ガスタービンで圧倒的優位なアメリカのエゴで押し付けられてるだけです。
にも。
- >>8
>ttps://www.mhi.co.jp/technology/review/pdf/451/451018.pdf
おー!素晴らしい資料、ありがとうございます。
ディーゼル発電機の発電端効率は45%前後ですか。
ディーゼル潜が低速船舶用ディーゼルと、モーター兼発電機の組み合わせと仮定してもそれなりの効率を叩き出せそうですね。
他方、ガスタービンの発電効率は10kw級で平均30%、高いもので40%+αなようです。
(http://www.iae.or.jp/wp/wp-content/uploads/2014/09/2000-2.pdf p.6)
高圧縮比・タービン入り口温度の高温化が進み、減速機を介さずに発電できるような高速回転高出力発電機が登場すれば、発電効率がディーゼル+発電機を上回るようになるかもしれません。
さらに高温に耐えるセラミックスタービンにより理想に近い空燃比で運転できるようになれば吸排気量も抑えられてスノーゲルもコンパクトに!!!
少々多い排熱は海水にでもくれてやって、ガスタービン潜水艦の爆誕です!!!
・・・すいません
素人のおもいつきだったんですが、
今後蓄電池能力が飛躍的に向上してくるでしょうし、技術革新如何によってはガスタービン&専用発電機&大容量蓄電池&主機(モーター)の潜水艦もありうるような気がしてきました。
はる
- >9 にも。さま。
水上艦でも、巡航時のノイズの問題で、対潜艦にはCODOGやCODAGは望ましくないと聞いたことがありますが?
佐久間多聞
- 残念ながら2ストロークの低速ジーゼルエンジンは長さ20メートル超、高さも10メートルを超えますから、潜水艦には入りきらないですね。
Tokyo-Rose
- 12> 潜水艦は、4サイクルを採用しています。
よく考えると、潜水艦のガスタービンの補修が艦内で可能かな。外部への持出しも事実上不可能ではないでしょうか。
ともかく、単なる思付き、仮想事項についてこれ以上話をするのは止めましょう。
UK
- >>12
そのサイズは多分1軸9万馬力級のエンジンですよ。
太助
- >>13
10で「ディーゼル潜が低速船舶用ディーゼル」と書いてありますので、それに対するレスです。つまり低速船舶用ジーゼルは潜水艦には詰めないというお話です。思いつきでも何でもありません。潜水艦が4サイクルしかあり得ないのは重々承知しておりますわよ。
>>14
だから低速ジーゼルですよね。それを潜水艦に乗せることは不可能ということです。
10の「ディーゼル潜が低速船舶用ディーゼルと、モーター兼発電機の組み合わせと仮定して」とありますがそれはあり得ないということを言いたいのです。
Tokyo-Rose