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WWII時、列強において、10万馬力クラスの2軸推進艦がチラホラ見受けられますが、帝国海軍では島風の7万5千馬力が最大のようです。 帝国海軍で大出力2軸推進が採用されなかったのは、単に機関技術の遅れによるものなのでしょうか? それとも何か別の理由があるのでしょうか? Takeahero |
- S8.11.1制定の「機関計画内規 第0201号」に
1.機関は戦闘時被害を極小ならしめるよう配備すること
2.(略)
3.軸の数は次の標準に依るを例とする
艦種 軸数
戦艦及び之に準ずるもの 4又は3
巡洋艦及び之に準ずるもの 4,3又は2
駆逐艦、掃海艇及び之等に準ずるもの 2
(以下略)
・・・とあったからではないでしょうか
駄レス国務長官
- >1
ご回答ありがとうございます。
>巡洋艦及び之に準ずるもの 4,3又は2
戦前の伊海軍等では、8千トンクラスで2軸10万馬力の艦を建造していますが、日本では阿賀野型でも4軸10万馬力です。
戦艦クラスならともかく、容積に余裕が無いと思われるこのサイズの艦なら、軸数を減らした方が色々楽だったのでは?と思いまして・・・。
Takeahero
- 伊海軍の軽巡は缶機缶機の2軸シフト配置で、機械室は船体幅をフルに使ってますし、機関区画も相応に長くなってます
あと1発当たれば出力半減か1/4減かのどちらを採るかってのもあるんじゃないでしょうか
駄レス国務長官
- >3
ご回答ありがとうございます。
”技術的には可能だったけれども、設計思想等の理由によって採らなかった”
と云う解釈で良いのですね。
Takeahero
- 「海軍造船技術概要」に「1基6万馬力のタービンも設計せられ試作実験に着手したが戦争のため中止となった」とあります
技術的には周知のように1基4万馬力までは実用化されており、またタービンはがんらい蒸気供給量増大や途中段落への給気などによって理論上定格の最大5割増しの過負荷運転が可能とされてますので、1基5万馬力は楽勝と思われます
駄レス国務長官
- 関連質問です。
>「機関計画内規 第0201号」に
>1.機関は戦闘時被害を極小ならしめるよう配備すること
>あと1発当たれば出力半減か1/4減かのどちらを採るかってのもあるんじゃないでしょうか
日本海軍がそう考えている割には、被害極限に有効なシフト配置の導入が遅れたのは何故でしょうか?
二軸艦の場合、シフト配置にすると左右で推進軸の傾斜が異なるのを造機関係者が嫌ったからという解説を多く見ますが、秋月型、島風と左右の機械室を前後に分離する過渡期的な配置を採っているので、不採用の理由としては矛盾します。
また、日本海軍の場合、主缶の数が主機に対して整数で割り切れない例が多い(甲型駆逐艦だと二機二軸に対して缶三基、四軸の阿賀野型だと六基というように)のですが、これもシフト配置を採用しづらい理由でしょうか?
時々夕雲型が、既存の缶と主機のままでシフト配置を導入したとすれば、どうなるんだろうと夢想しますが、以下の私案の内、実現性、有効性が高いのはどれでしょうか。
<艦首 艦尾* B:主缶、T:主機、―*:推進軸&器
<BBBTT―*(史実の夕雲型、被弾に脆弱)
<BBTBT―*(変更点最少で実現性が高いが、後部主機への配管が冗長になる)
<BTBBT―*(特型III期のように第一煙突が細くなり、艦容は悪化する)
<BTBTB―*(第三缶に両軸が通る不合理が生じる)
<BTBT―* (松型と同様だが、大力量の主缶への更新が必要)
<BBTBBT―*(フレッチャー級、主缶が一つ多く1万馬力上回る)
2012.8.19.19:00記
NG151/20@疲労困憊
- >6.
「機関計画内規 第0201号」には主機と主缶の配備例として4軸12缶・4軸8缶・4軸6缶・3軸9缶・3軸6缶・2軸6缶・2軸4缶・2軸3缶・2軸2缶の図があり、全缶全機配置のほかに缶機缶機配置も例示されてますので、日本海軍が同配置を忌避していたワケではないでしょうが、4軸6缶・2軸6缶・2軸3缶の場合のみ同配置の例示がなく、理由は後缶室の主缶と推進軸の場所取りの関係で主缶位置(重量配分)が左右非対称となるためと思われます
ご提示の中では最後の2例が実現性大かと
駄レス国務長官
- >7.駄レス閣下
ご即答いただきながら、今回も返事が遅れて申し訳ありません。
ご解説ありがとうございます。やはり無理なのですか…。
今回、拙問と設定に関して誤りというか矛盾がありました。訂正して再度掲示します。
案、<:艦首、B:主缶、T:主機、―*:推進軸&器
既存の2軸3缶をベースにした場合
C<B1B2B3 T×2―*(史実の夕雲型、被弾に脆弱 ※主機は左右並列)
D<B1B2T1B3T2―*(変更点最少だが、後部主機への配管が冗長になる)
E<B1T1B2B3T2―*(特型後期のように第一煙突が細くなり、艦容は悪化する)
F<B1T1B2T2B3―*(第三缶に両軸が通る不合理が生じる)
以下は、主缶の全面刷新が必要
G<B1T1B2T2―* (松型と同様だが、大力量の主缶への更新が必要)
H<B1B2T1B3B4T2―* (フレッチャー級、主缶が一つ多く1万馬力上回る)
私としては、夢想の過程で
・取得性向上の観点から、特型後期以降定着している2軸3缶からの変更点を最小限にする。
・シフト配置の導入を秘匿するために、外観上の変化も最小限にしたい。
を目指した結果D案が最良と考えており、その実現可能性を問いたかったのでした。
しかしながら閣下ご紹介の如く、当の日本海軍自身が、軸数に対して缶数を均等割りできない事例ではシフト配置はしない方針を示していて、本意でないG案以下をうっかり選択肢に挙げてしまえば、造機の専門家である駄レス閣下としては、GH案が最適との回答をなされるのは当然でした。
ここで敢えて再度お伺いしますが、D案に実現可能性はないのでしょうか?
>主缶位置(重量配分)が左右非対称となるため(二軸三缶のシフト配置は不可)
2000tクラスの船にとって、一基50t程度ある主缶を中心線に置けないのは確かに不都合でしょうが、右に寄るB3に対し、B2も左に寄せれば解決は可能なようにも思いますが、如何でしょうか?
また
>日本海軍が同(シフト)配置を忌避していたワケではないでしょうが、
主缶を均等割りできる4軸8缶の翔鶴や利根で、シフト配置は検討されなかったのでしょうか?
かなり以前ですが、福井静夫氏の著作で
>日本海軍は、米海軍より造機技術で劣勢にも係わらず、
>米海軍(重巡、空母で33ktで統一)より優速(重巡で35kt、空母で34kt)を追求して
>大馬力の機関を搭載したため、排水量に対する機関の比率が高く
>各部に無理が生じた(引用者による再構成)
という趣旨の記述を読んだ記憶があります。
シフト配置は、缶機集中配置より原則として容積、重量とも大きくなるので、機関部のさらなる重量増を回避するための、史実のシフト配置不採用なのでしょうか?
2012.9.09.15:35記
NG151/20@生活苦
- >8.
> ここで敢えて再度お伺いしますが、D案に実現可能性はないのでしょうか?
> 主缶を均等割りできる4軸8缶の翔鶴や利根で、シフト配置は検討されなかったのでしょうか?
ぢつは日本軍艦で缶室と機械室の全幅が同一なのは大和型や大淀など少数派で、大抵は機械室のほうが幅広なのです
んで缶室両側の狭くなった部分は重油タンクとしたり・・・
ココから先は小職の想像ですが、缶機缶機配置だと船体両舷の縦通隔壁(強度部材)が真っ直ぐに通らず段差が増えるのを造船屋が嫌ったのではないでしょうか
(翔鶴や利根では前機械室前部をテーパーで幅を絞って缶室に合わせてる)
「昭和造船史」第1巻第4部第4編の各図を見ると判り易いと思いますケド
駄レス国務長官
- >9.駄レス閣下
超遅レスの駄問に即応いただき、感謝に堪えません。
>日本軍艦で(中略)大抵は機械室のほうが幅広なのです
>缶機缶機配置だと船体両舷の縦通隔壁(強度部材)が真っ直ぐに通らず段差が増える
だからといって缶機を等幅にしようとすれば、いずれか或いは双方の新設計が必要になり、取得性の維持という当方の目的は叶えられません。
そして史実は、大型艦用の標準機と見做される最上型の4軸8缶15万馬力でさえ、供給が間に合わず空母天城、葛城には甲型駆逐艦の主機があてがわれ、その駆逐艦では、水雷艇の機関に格下げしてようやくシフト配置が実現するという窮状を鑑みれば、シフト配置のために主缶を新設計することの実現可能性は限りなく低い、と言わざるを得ません(泣)。
結局、史実よりマシな解がないかと愚考しても、それは先人の試行錯誤をなぞるだけで史実以上の最適解は得られない、という辛い結末になるということでした。
2012.9.16記
NG151/20@貧窮中
- >10.
>最上型の4軸8缶15万馬力でさえ、
最上型は4軸10缶15.2万馬力だから、それを言うなら鈴谷型でしょ
>空母天城、葛城には甲型駆逐艦の主機があてがわれ、
葛城と阿蘇ね
駄レス国務長官
- >11.駄レス閣下
重ね重ねの正誤訂正、ご面倒おかけして申し訳ありません。
落胆と生活苦が重なって、思考力が低下していました。
NG151/20@内職中
- もともとのお題の回答は、総論として、船体を小さくすることを常に最優先にしたから、です。
少ない予算(建造費+人件費)で、多数艦=強打撃力を装備したかった。漸減-艦隊決戦思想に沿ったものです。
日本は「小さくまとめる」「隙間なく詰める」のが好きらしいです。軍艦の設計にも発揮して、船体を考えれるだけ小さく、ペイロード(載貨=武装)&上部構造を取れるだけ大きく取った。 シフト配置を敬遠したのも、船体を小さくする方を優先した、ことがあると思います。
船には、船型の都合で、わりと平気に「Void 空所」=(予備)浮力保持だけに使って、その他別に何も使わない(使えない)スペースがあります。
容積を切り詰めると、沈没までの時間が短くなります。
> 軸数を減らした方が色々楽
これは反対で、元々のお題の回答は、「手持ちの技術では、4軸の方が2軸より船をコンパクトにできたから」です。
直接には、「適当なプロペラがなかったから」です。
船は、船型+主機+プロペラ、三位一体の推進プラントで、あちらをたてれば、こちらが立たずの事情があります。
4軸推進を2軸で実現するには、主機の出力アップに合わせて、船型&軸系の改良が必要で、それが開発途上であったものです。
(技術課題)
・プロペラの大口径高速回転化(翼型の改良、キャビテーションの防止)
・船尾船型の細長化(大口径プロペラ装備の実現 : プロペラ水流と船体水流が干渉しないように。
船体振動問題=プロペラ起振力が増し、船尾部を細長化する分固有振動数が下がる)
・軸系の改良(長大化に伴う軸の振動問題)、シャフトブラケットの大型化
IWA
- >13.
> 4軸推進を2軸で実現するには、主機の出力アップに合わせて、船型&軸系の改良が必要で、それが開発途上であったものです。
4軸を2軸にするトキは、元の内軸同士に比べて軸間距離が広がりますから、艦尾横断面が略V字であれば推進器外径が多少増大しようと船型は弄らなくて済むんじゃないでしょうか
二等巡洋艦「筑摩」「平戸」(2軸)と「矢矧」(4軸)の例
推進器外径 2軸: 10ft6in/4軸: 7ft3-1/2in
軸間距離 2軸: 17ft4in/4軸: 12ft(内軸)・26ft(翼軸)
船体空隙 2軸: 1ft3in/4軸: 1ft9in(内軸)・1ft3in(翼軸)
駄レス国務長官
- > 船型&軸系の改良
このあたりが、「あちらを立てればこちらが立たず」の主機(出力)・プロペラ(径&回転数)・船型(抵抗・容積)の三位一体です。
船型を細くするのは、推進軸を短くするのにします。船型が細い方が、大きい直径のプロペラを前=機関に近い方に置ける。
プロペラは船底より下にはみ出せないのと、主機関をあまり外向きに置きたくない=プロペラ軸(主機軸)はできるだけ船体中心線に平行に
ということから、プロペラ径を増すのには装備位置を後ろにずらすものです。すると軸が長くなる。
上の二等巡の2軸→4軸(「矢矧」)の例では、プロペラの直径は1m減で、船体とのクリアランスはほとんど同じです。
機関軸はできるだけ下にも横にも振りたくない都合、「矢矧」の方がプロペラは前の方にあって、万事小振りにできていると思います。
(軸の長い問題)
・固有振動数が下がって、共振問題がでやすい。
・製造できる最大長さあり。
・大きなシャフトブラケット(鋳造品)の製造は難がある。
・重い、壊れやすい、修理しにくい。
IWA
- >15.
「筑摩」「平戸」(2軸)と「矢矧」(4軸)は同型で船型も同じなんですケド
> (軸の長い問題)
> ・固有振動数が下がって、共振問題がでやすい。
伝達馬力が大きくなれば軸径も太くなるから、その分剛性も上がるんじゃないでしょうか
> ・製造できる最大長さあり。
推進軸も中間軸も1本物ではなく複数本のつなぎだから大して問題無いんじゃないでしょうか
> ・大きなシャフトブラケット(鋳造品)の製造は難がある。
> ・重い、壊れやすい、修理しにくい。
倍も大きくなるワケではなく一回りかふた回りだから大して問題無いんじゃないでしょうか
駄レス国務長官
- >16.
(船型)15.は、船型が同じで、2種の径の異なるプロペラを搭載する場合、大口径のプロペラは、小口径のプロペラより後ろに置くと言う事を言ったものです。同位置におくこともします/できます。どこに置くかは船型、軸系、機関配置の 総合的なとこで妥当なところに決め、あまり極端なことはせず、前例にならい決めます。興味のある方には、手軽なところで、長谷川藤一さん『軍艦メカニズム図鑑-日本の航空母艦』グランプリ出版に、分かりやすい軸系の図があります。おススメします。
(軸剛性)
疑問に思われる通りです。実際は、軸の長さの方が直径より支配的に振動数を下げるものです。
(最大長)
海中にある部分の長さが致命的で、ここに接続継ぎ手を設けるのが難しいものです。
(最大鋳造サイズ)
70年前の話です。鋳造所が限られました。巨大ブラケットの鋳造所が内陸にあって、運搬経路上の橋が重さで落ちないか調べたと言う話を聞いたことがあります。
IWA
- >17.
> 実際は、軸の長さの方が直径より支配的に振動数を下げるものです。
貴殿は>13.で線型が変わると仰ったんですケド
まあそれは置いとくとして、縦振動と横振動の数式をお示し願います
> 海中にある部分の長さが致命的で、ここに接続継ぎ手を設けるのが難しいものです。
水中長にしたところで倍も伸びるワケではなく推進器直径比例分だから大して問題無いんじゃないでしょうか
> 70年前の話です。鋳造所が限られました。巨大ブラケットの鋳造所が内陸にあって、運搬経路上の橋が重さで落ちないか調べたと言う話を聞いたことがあります。
ふつうは工廠か造船所か日本製鋼所室蘭工場みたいに海の近くで造って海路運搬じゃないでしょうか
内陸にしたって道路じゃなく鉄道の大物車で運ぶんじゃないでしょうか
いずれにしても主機出力倍増に比べりゃ大した技術課題ではないと思いますケド
駄レス国務長官
- >18.
×線型
○船型
駄レス国務長官
- >「矢矧」の方が、万事小振
軸系の諸装備品は、の意味でした。 言葉足らずでした。
(管理人の方へ)Q&Aが元のお題、「日本海軍に大軸馬力、小軸数の船がみられないのはなぜか」からはずれました。書き込み浅慮、反省いたします。13.以降、削除ください。 m(_ _)m
IWA
- >20.
貴殿の削除要望部分に含まれる小職のレス(14.16.18)は削除拒否します
駄レス国務長官
- 質問者です。
各位、回答その他ありがとうございます。
>13
船尾云々とありますが、当時採用され始めたトランサムスターンとか、高速発揮に有利とか読んだ記憶(確か世艦増刊:近代巡洋艦史)があるのですが、その辺どうなんでしょう?
Takeahero