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巡洋戦艦フッドは近代化改装される予定だったのでしょうか。されるとしたら、どのような計画だったのでしょうか。 バツ |
- http://www.hmshood.com/history/construct/repair42.htm
こんな感じに1942年に改装プランがあったようです。
・機関とボイラーのアップグレード(最低でもボイラーの交換)。
・バルジを12" armour belt上端でなく7" armour belt 上端まで引き上げる。
・司令塔を撤去してKGVのような箱型艦橋を設ける。
・煙突をKGVに似たタイプにする。
・対空兵器改善:5.25"砲x12〜16 or 4.5"x16
・火器管制装置改善。
・船首楼の延長。
このような事が英海軍本部議事録ADM229/20(1938-1939)に記録されているみたいです。
ただ上記HPにADM229/20の抜粋へのリンクが貼られてますが、まだ「TAKE NOTE」の段階みたいでその後議決されたかは不明ですね。
jas1
- 関連質問です。
大改装がなされなかったフッドは、機関の老朽化で速度が26.5ktに落ちていたという記述をよく見ますが、定期点検だけだとそこまで経年劣化するものでしょうか?
日本では、改装前の条約型重巡や赤城(未改装期間がフッドに一番近い)でもそこまで速度が落ちたという話しは聞きません。
速度低下の真偽と併せ、ご教示をお願いします。
2011.12.25.16:00記
NG151/20
- 1941.3.25にパラヴェーンを曳航しながらの全力試運転で28.8ktという記録があり(排水量不明なるも48,000T前後と推定)、またビスマルクとの交戦当日の未明に28ktに増速したとされてますので、26.5ktという数値は前提条件を確認する必要が有ります
駄レス国務長官
- 英語wikiだと「1939/9/25にJU88から250Kg爆弾を喰らって左舷バルジが損傷し最高速度が26.5ktに制限された。その後1940/4/4から6/12にかけて修理された。」と書いてあるように見えますね。
jas1
- 駄レス閣下、jas1様
ご回答ありがとうございます。
仕事が急に多忙になり詳しい返信を書く時間がありません。
先ずは取り急ぎのお礼までで失礼します。
NG151/20@超多忙
- ん十年前に読んだタミヤの説明書で「大規模な改装はされず、速度は低下…」とありましたが、疑問が解けました。ありがとうございました。また質問させていただきます。
バツ
- ボイラは、内面にスケールが付着し、タービンの復水器も(特に、チューブの)腐食や汚染があるため、多少経年劣化が在り得ます(戦前はどの程度か知りませんが、現在は船の生涯を通じて多分数%以下と思います)。
また、船体外板は腐食により凹凸が生じるため、20ノット以下で重要な摩擦抵抗は、現在の技術でも多少(0.5%/年以下と思います)抵抗が増加します。但し、20数ノット以上での船体抵抗の大半を占める造波抵抗は、原理上経年による増加はありません。
フッドの場合、もともと30ノット前後のスピードを有していました。いくら第2次世界大戦以前だからといっても、20年程度の時間の経過でボイラが経年劣化して(あるいはそれに加えて船体外板の摩擦抵抗が増加して)、船速が30ノットから26.5ノットに低下する(馬力ベースで30%以上も低下する)ことはあり得ません。但し、これも考え難いことですが、幾つものボイラの重要な部品が同時に故障(経年劣化とは別です)してフル出力を発揮できなかったことはあり得ます。26.5ノットがいっぱいということが事実であれば、一番考えられる原因は戦傷だと思われます。
UK
- 質問者様への回答はすでに>1.で尽くされていますケド、HMSフッドの戦歴に関しては下記サイトが参考になります
“H.M.S.Hood Association”(WW2期はhttp://www.hmshood.com/history/timeline4.htm)
それによると
1939.9.26 Ju-88により左舷後部に至近弾(500lbs)、小数リベット跳散、バルジ内浸水、復水器故障(左舷機2基中1基と推定)
1939.10.5 本国艦隊司令長官Forbes、主復水器全数の水管交換retubingを勧告するも、作戦の都合上直ちに着手できず
※11月に仏海軍Gensoul中将の指揮下に入った頃に最大速度26.5kt(Robertsonに拠る)ないし25kt(Burtに拠る)に低下
1939.11.13〜25 ポーツマスで小修理 工事内容不詳
(中略)
1940.4.4〜5.23 プリマスで主復水器の水管交換、5.5in単装砲を4in連装砲に換装、その他
1940.7.3 メルセルケヴィユ沖で仏戦艦ストラスブールを28ktで追跡
(中略)
1941.1.16〜3.17 ロサイスで右舷内軸タービンブレード交換(ストラスブール追跡時に抜け落ち)
(追撃戦でタービンブレードが抜けちゃうのはこの時代の英国らしくて笑えます)
※修理後に小職が>3.で述べた28.8ktを発揮
ようは主缶や主機でなく、おもに復水器の不具合による速力低下で、別ソースに拠れば真水に事欠き、風呂や艦内暖房に回すスチームまで不足していたとのコトです
(高低圧2胴タービンの場合、低圧タービン後部段落は復水器の作用により大気圧以下で作動するので、復水器が不具合であれば2割程度の出力低下は起こり得ます)
駄レス国務長官
- バツ様、jas1様、駄レス閣下、UK様(投稿順)
ようやく休みが取れました(疲)。
その間、皆様から詳細な解説をいただきありがとうございます。
フッド26.5kt説は、立ち読みで何回か(「丸」か「世界の艦船」も含まれていたはず)見かけ、最近ではWikipediaでずっと掲載されていて疑問を感じていた点でしたが、やっと疑問が解けました。
一方で、新たに生じた疑問もあります。
Q1.主力艦でもパラヴェーンを曳くのか?
>1941.3.25にパラヴェーンを曳航しながらの全力試運転で28.8kt(駄レス閣下)
私にとってパラヴェーンは、駆逐艦夕雲のプラモデルを作った時(中学生の頃)から知っていて、そのユーモラスな姿が印象に残っています。
しかし実戦で、フッドなどの主力艦が、係維機雷を処理する防雷具を自ら曳いて回る場面は有り得るのでしょうか? 方式上船体を危険水域に先に出す状況になり、危険だと思うのですが…。それにパラヴェーンは磁気機雷には無効ですが、1941年だとドイツはまだ磁気機雷を使っていないのでしょうか?
Q2. タービンブレードが抜けるとは?
>追撃戦でタービンブレードが抜けちゃうのはこの時代の英国らしくて笑えます(駄レス閣下)
高速回転しているブレード(タービン翼だと思いますが)が脱落すれば、飛散して配管が破れるなど重篤な事故になると思いますが、どのような故障なのか今ひとつイメージが湧きません。
ご教示いただければ幸いです。
それでは皆様、よいお年を! 2011.12.31.23:56記
NG151/20
- >9.
Q1.主力艦でもパラヴェーンを曳くのか?
試運転海域は北部スコットランド沖で敵艦の跳梁し得る危険水域ですが、掃海のためでなく自艦防護のためと思われます
Q2. タービンブレードが抜けるとは?
飛散したムーヴィングブレードも頑丈なタービンケーシング(鋳鋼製)を突き破るほどの威力は無いので、破砕して他のブレードを巻き添えにし、当該段落が丸坊主になった程度と思われます
駄レス国務長官
- 皆様、あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。
駄レス閣下
早速の回答ありがとうございます。今年もご指導、ご鞭撻お願いします。
― 新年の初質問 ―
Q3.フッドの装甲防御の改善は?
大晦日の続きになりますが、jas1様ご紹介の記述を読み直すと
>Improved deck armour/protection over vital areas.
とあります。フッドの水平防御は、最厚部でも3in(76mm)しかないので改装時には増厚は必至と思われますが、どのくらいの増厚が考えられる、というか可能なのでしょうか?
バルジの増設or拡大が予定されていることから、相応の排水量の増加が想定されていたようですが、その範囲内で可能な厚さをご教示いただければ幸いです。
2011.1.1.16:10元旦記
NG151/20@謹賀新年
- >11.
>1.の資料中に主甲板の火薬庫上を5in、機関部上を4inとする案が有ります
駄レス国務長官
- 駄レス閣下
ご指摘ありがとうございます。英文読解に再挑戦します。
なお、未投稿の下書きを読み直していたら、こちらの「6.戦史、歴史」の3にも関連スレがあり、今回ご紹介いただいたサイトが掲示され、また
>”Hood”はこの時点で26〜27ktを出すのがやっとの状態です。
の投稿例があり、当時(2008年12月頃)からWikipediaにも掲載されており、触発されて当時(2008年12月頃)今回と同趣旨の質問をしようとしていたことに気付きました。
フッド26.5kt説は、結構広く浸透しているものと思われ、蒙を開けてくれた皆様には、改めて感謝致します。
NG151/20@謹賀新年