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ハンモックの寝心地について質問です。 映画「戦艦ポチョムキン」等を見ると水兵が兵員室の真ん中にある柱から放射状にハンモックを吊って寝ている描写があります。 ということは、船体の進行方向に沿って吊られたハンモックで寝る人もいれば、船体の進行方向とは直角に吊られたハンモックで寝た人もいるはずです。 船体の揺動の影響があるので、ハンモックを吊る方向で寝心地がそれぞれ違ってくるのではないかと想像しますが、ハンモックの吊り方に所謂「上座」「下座」とかいうようなランク付けはあったのでしょうか? たとえば、最古参の兵がここに吊ったハンモックで寝て、新兵はここ・・・というような・・・ おうる |
- 霧島に乗り組んでいた高橋孟『海軍めしたき物語』には「偉い人(階級・役職不明)のハンモックは涼しい風が来る送風ファンの前に吊った」、「偉い人のは幅を広げる木のつっかい棒に大きな枕、我々のには棒は無く作業着の枕」とイラスト付きで説明されています。
バツ
- 船の揺れのベクトルとハンモックを吊る方向は、寝心地に影響しないのでしょうか・・・ありがとうございました。
おうる
- 1.御質問の映画「戦艦ポチョムキン」ですが、ストーリーそのものに史実と異なる箇所が種々あるようです。ハンモックの吊り方についても、史実として本当に放射状に吊るしていたのか、小生には疑問が生じます。世界の艦船の1977年3月号(No.238号)は「艦艇の居住性」を特集していますが、複数の旧海軍関係者の回想では、少なくとも旧海軍では前後方向が原則であり、放射状に吊るしてはいないようです。また、20世紀初頭の英国の軍艦での写真も掲載されていますが、放射状には吊るしていません。
2.前記の回想では、「上座」、「下座」については記されていません。ただし、禁止されていた安眠棒を(上級者)がこっそり使用することについては記されています。
UK
- ご参考までに。
(1)寝心地について
船の揺れは横揺れの「ローリング」と縦揺れの「ピッチング」に分けられることは申し上げるまでもないと思います。 「ローリング」はその名のとおり横方向への“回転”の動きとなり、かつ回転角度も片舷30〜40度(小型艦艇ではそれ以上)になる場合もありますし、ある程度周期的な揺れとなります。 これに対して「ピッチング」は、角度的にはローリングに比べれば遥かに小さいでが、その代わり(船体は長いので)艦内の各場所ではその名のとおりの不規則な“上下動”となります。
したがって、ハンモックは艦首尾線に並行に吊らないとその意味がありませんし、艦首尾線に対して直角方向に吊ったらその回転運動により寝られたものではありません。 帆船時代から艦船ではこの横に吊る様なやり方は、その艤装(フック位置)も含め基本的にはあり得ません。 (帆船の場合は、風圧によりほとんどローリングせずに、風下側に傾いたまま走りますが。)
これは現在のようなベットでも基本的には同じ考えです。 そして食卓テーブルや机などは逆に横方向です。 両足でローリングの揺れを踏ん張れる様に。
ご質問の当時のロシア艦艇については確たるところは知りませんが、もしかすると“停泊中”には横のスペースを広く取れるようにそのようにしていたのかもしれませんが(ですから映画ではハンモックが上下に重なっている)・・・・あるいは単に映画としての演出上の話しかもしれません。
(2)場所のランク付けについて
基本的には“こうだ”というきまりはありません。 先任順に好きなところを選ぶのが原則です。
ただし、一般的な傾向というものはあります。 下士官兵の居住区は所謂「大部屋」ですから、基本的にはほぼ班単位でまとまります。 (普通はハンモックを吊る下が班の食事などのテーブル位置になります。) その班単位の中ではあとは、通風口や舷窓との位置関係や、昇降口・通路など人の通行との関係、艤装品(柱やパイプなど)との関係、当直割り(特に夜間)、班長など先任者の好み、等々によります。
これはベット方式になっても同じですし、現代の艦艇でも同じです。
以上ですが、これはもちろん“色々なシー・ストーリーから組み立てたもの”ではありませんw
艦船ファン