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WW2の艦艇について質問です。 ドイツの駆逐艦(未成のディーゼル艦除く)は燃料を7〜800t程度搭載している筈なのに、航続距離が19kt/2,000浬ちょっととやたら短いです。 対するアメリカの同規模駆逐艦が燃料500t程度で20kt/3,300浬走るのと比べると、 機関技術で立ち遅れている日本駆逐艦でも燃料600tで18kt/5000浬出している位です。 出力が高すぎて低速時の効率が悪かったのか?とも思いましたが、出力の高い島風型駆逐艦は燃費が良い(18kt/6000浬)ですし… ドイツの機関技術には何か問題点でもあったのでしょうか? 独駆に酸素魚雷を |
- 手元の独書籍には
Z1-16: 752cbm 4,400sm/19kt
Z17-22: 760cbm 4,850sm/19kt
Z23-50: 752-860cbm 5,000-6,200sm/19kt
って書かれてますケド(cbmは立方米)
>ドイツの機関技術には何か問題点でもあったのでしょうか?
思うに上記は独立の巡航タービンおよび減速歯車装置を持たず、高圧タービンのケーシング内に巡航段落を有するってあたりが燃費の悪さと関係してるんじゃないでしょうか
駄レス国務長官
- >>1
回答ありがとうございます。
>って書かれてますケド
済みませんが、smとはどういった単位でしょうか?浬(nm)とも違いますし。
>独立の巡航タービンおよび減速歯車装置を持たず
自分も色々調べたのですが、どうもドイツ駆逐艦は軸回転数が毎分約450回転とやたら速いようで、
長官の指摘の通り減速歯車が無く、その結果軸回転数を抑えられずに効率が低下した、
という事なのでしょうか。
>高圧タービンのケーシング内に巡航段落
英弩級巡戦や日本の5,500t級軽巡にも確か使用されてた機構でしたっけ。効率はあまり良くないのでしょうか。
独駆に酸素魚雷を
- >2.
>smとはどういった単位でしょうか?
seemeile(=sea mile=nautical mile)の略です
>長官の指摘の通り減速歯車が無く、
>1.の「減速歯車装置」は巡航タービン専用のモノで、主タービンの減速歯車装置はとうぜん付いてます(WW1期みたく直結タービンではない)
推進軸回転数は計画速力で427rpmと、吹雪・初春の400rpm、朝潮・陽炎・天津風の380rpm、島風の370rpmよか高めですケド、問題は巡航時ですから回転数は約半分です(ほぼ速力に比例)
>高圧タービンのケーシング内に巡航段落
Z1-16だと高圧タービン回転数は計画速力で7,100rpm、巡航時は約半分の3,500rpm前後でしょう
いっぽう独立の巡航タービンは一般的に巡航時で6,000〜7,000rpmなので、これに比べると燃費が悪くなるってコトだと思われます
(正確には各速度の燃費データを調べる必要有り)
駄レス国務長官
- 元々独駆逐艦は他国の艦隊駆逐艦と同等の航続性能付与を予定しており(1934年型で18kts@5400浬)、巡航タービンもZ4までの艦には装備が行われました。だが巡航タービンに繋がるフルカン式の減速機構に技術的な問題が生じ、早期に問題の解決不能と判断されたことからZ5以降の艦は巡航タービン非装備で完成させることになり、Z4以前の艦は後にこれを取り外しています。
1934年型の就役後、「航続力は19ノットで3,100浬程度でしかなく、15ノットに速度を落としても100浬程度しか航続力が伸びない」と報告されたように、この措置が独駆逐艦の航続性能を要求より大幅に低下させる主要因となったことは確かでしょう。また装備した高温高圧缶も、戦後の英米調査では機構が複雑で整備性・信頼性共に低いにも関わらず、より蒸気温度・圧力が低い英の駆逐艦用海軍省型三胴缶と熱効率は大差なく、米の駆逐艦用の汽缶に比べて劣る、と評されたように、額面ほどの性能を発揮しなかったことも大きな影響を与えました。
因みに独駆逐艦で主機のディーゼル化が検討されたのは、「戦闘時の抗堪性向上(高圧蒸気が艦上に漏れた場合の惨状等を考慮)」というお題目もありますが、高温高圧缶及びタービンの問題解決の見通しが暗かったことが、かなりの影響を及ぼしています。
>1
なんとなくその航続力の数値は、計画航続力の様な気がしてなりません…。
(上の数値が報告されていることと、Z1級とZ23以降の艦の数値が満載時の計画値に非常に近いんです…)。
大塚好古
- >3
>seemeile(=sea mile=nautical mile)
すみません。あまりに自分の知り得た(勿論簡単に手に入る物しかないのですが)数値と余りに違ったので、
なんか別の単位か?と思ってしまいました。
>問題は巡航時ですから回転数は約半分です(ほぼ速力に比例)
最高回転数=燃費効率、と単純に考えてしまいました…了解です。
大和の最高軸回転数が225rpmとの事だったんでてっきり日本駆逐艦はみんなそんな物だと思ってましたが、
新しい駆逐艦は回転数も結構あるのですね。峰風型が299rpmとまで分かってたので同じ位だと思ってました。
>4
回答ありがとうございます。
>Z5以降の艦は巡航タービン非装備で完成させることになり
好き好んでやってミスったわけでなく、技術的な問題だったんですね。それで巡航段落で誤魔化したけど燃費は悪化した、と。
>より蒸気温度・圧力が低い英の駆逐艦用海軍省型三胴缶と熱効率は大差なく
え、そうなんですか?圧力・温度高い=燃料効率良い、けど巡航タービンが…って話だと思ってました。
御二方の回答により、問題点が分かりました。
「巡航タービンが無い事と代替案の巡航段落の効率があまり良くなかったし、缶自体の性能も高温高圧の割に今一だった」
と言う事ですね。詳細な回答をありがとうございました。
独駆に酸素魚雷を
- >5.
>新しい駆逐艦は回転数も結構あるのですね。
駆逐艦の計画速力における推進軸回転数は
・日露戦争期の3段膨張レシプロ機関で400rpm前後
・大正初期の直結タービンで700rpm前後
・峯風型を含むオールギヤードタービンで400rpm前後(天龍型も同じ)
です
(おおむね駆逐艦>軽巡>重巡=空母>戦艦)
>え、そうなんですか?
缶の熱効率は型式によってそう大差はありません
問題は主機です
駄レス国務長官