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日本海軍はなぜ100kg級の航空爆弾を採用しなかったんでしょうか? へるにゃんこ |
- 非装甲の目標に対しては60キロ爆弾が使える。
装甲された目標に対しては250キロ以上が有効。
では、質問にある100キロ級というのは何に対するものなのでしょうか。
片
- 一〇〇瓩爆弾は陸軍でも評判の悪い爆弾です。
その理由は人力で懸吊する限界にあったためです。
機械で懸吊作業を行うには一〇〇瓩爆弾は威力が小さすぎ、
人力で懸吊するには重く、人数が必要で面倒なのです。
海軍も艦爆が実用化した頃には空母の飛行甲板破壊用として
一二五瓩爆弾を検討していましたが、威力の問題から二五〇瓩が主流となっています。
BUN
- ご質問を見て気になったので少し検索してみたのですが、こちらのページでtomoさんがドイツの航空爆弾の威力について書かれています。
http://warbirds.sakura.ne.jp/ansq/4/D2000319.html
また、IL-2のドイツ語wikiによれば、IL-2は当初FAB-100(100kg爆弾)を使用したものの、装甲目標に対して大した戦果を挙げられなかったとも。
https://de.wikipedia.org/wiki/Iljuschin_Il-2
同じく大戦中ではイギリスの250ポンド爆弾(250 lb. DC)を対潜用に使用していますが、これはその仕様上爆雷と言ったほうがよく、通常の対地爆弾である250 lb. MCが活躍した話は私は聞いたことがありません。
そんなこんなで鳴かず飛ばずの100kg旧爆弾ですが、面白いことにアメリカが1950年代にMk.81という250ポンドの新型爆弾を開発しています。
https://ja.wikipedia.org/wiki/Mk_81_(%E7%88%86%E5%BC%BE)
(A-4なんかに吊るされている小型爆弾です)
ですが、これも威力不足で短期間のうちに取りやめになりました。
威力不足を逆手に取り、ピンポイント爆撃のためにMk.81を誘導できるようにしたGBU-29というものも作ってはみたものの、小直径爆弾の登場によってこれも中止となっています。
GBU-29を中止に追いやった小直径爆弾(SDB)は100kg級の細長い誘導爆弾で、現在も米軍によって運用されています。
こんな形で一応今も100kg級航空爆弾は息をしていますが、誘導装置がない上に、敵地の被害を抑える余裕もない大戦中においては、どの国でもあまり有効な兵器ではなかったため、不採用か使用中止という選択をなされたケースが多いようです。
Shusui
- 連続の投稿失礼いたします。
S7.9.14印刷 S7.9.18発行の「軍事科学講座第6篇 空中戦 / 著:陸軍少将 大場彌平)という本に、当時の日本軍における爆弾の大きさごとの評価が載っていましたので追記いたします。
以下引用(記号、数字、旧字は改めて書きます)
A、侵徹力
弾種 尋常土 良ペトン 弱ペトン クルップ鋼
100kg 7.53m 0.46m 0.57m 0.0088m
200kg 7.94m 0.56m 0.67m 0.1072m
B、震蕩に依る効力
12kg 10m以内の窓硝子を破壊し木造家屋を損傷し使用不能に陥らしむ
50kg 5m以内の家屋の堅固なる石壁を破る
100kg 10m以内の堅固なる石壁を破る
300kg 15m以内の厚さ50cmの石壁を破り、尚余力を以てその後方を著しく破壊す、直撃すれば数階の家屋を粉砕す
500kg 付近に落下したるのみにて大家を粉砕す、直撃すれば集団家屋を倒壊す
1000kg 同右(同上)
以上引用
同書は信管の遅延による運用の差異にも触れており、S7年当時には爆弾の目的が土製陣地の破壊から装甲目標に移りつつあり、信管の起爆までの時間が短くなっていることが書かれています。
クルップ鋼への効力を見るに100kg爆弾は装甲目標に対して微妙な効力しか持たず、このころからすでに微妙な存在となりつつあったという事です。
Shusui
- 世傑によりますと、朝鮮戦争でF9Fパンサーが250ポンド爆弾を多用しているようです。
F4Uも護衛空母から出撃時には250ポンドが使われています。
いっぽう空軍のF-80やF-84が使ったのは主に500ポンドやナパームです。
海軍/海兵隊機が空母から出撃する際は搭載量をあまり多くできない・空母の燃料貯蔵量の関係であまりナパームを作れない等の事情があったように思えますが、確証はありません。
超音速