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2次大戦中の戦闘機において、高度変化による最高速度を表すグラフを見ましたが、その中機体の中で、2000m〜3000mにかけて、逆に速度が低下する機体がちらほらとありました。普通は全開高度になるにつれて速度が上がっていくものと思っていましたが、速度が下がる要因としては何が考えられるのでしょうか? あちゃ |
- 高度―出力曲線を見ると理由がわかるかと思います。
ペルシャ猫
- 回答ありがとうございます。
エンジン出力が下がる事によるものだったのですね。
最近飛行機の性能に興味を持つようになったまったくのド素人ですのでこれから勉強していくつもりですが、なぜその高度付近でのみ、エンジン出力が下がるのでしょうか?
公称一速と二速の谷間で出力が停滞するということでしょうか?
だとすると、過給機のしくみ等で速度が逆に下がる機体が存在するということでしょうか。
あちゃ
- 機械式過給機の全開高度とは最も効率よくブースト圧を作れる高度です。
つまり全開高度から外れると効率が悪くなるのです。効率が悪いということは所要のブースト圧を作るのに余計に馬力を使っているということです。
「一速と二速の谷間」で何が起きているかというと、一速の全開高度より高度が上がると大気が薄くなっていくのでスロットル全開でも必要なブースト圧に達しない。
二速の全開高度より低いと大気の濃さに対して過給機の回転数が速すぎるので、オーバーブーストにならないようスロットルバルブは全開ではなく適度に閉じて調整してやる。
したがってスロットルバルブが閉じているぶん過給機の効率が悪くなっているのです。
超音速
- とても分かりやすい回答をありがとうございます。
大変参考になりました。
そうしますと、一速と二速の谷間で最高速度が維持できずに下がってしまう機体は、過給機の一速の全開高度から、二速に切り替わるまでの高度が離れている機体ということでしょうか?
それとも、そういう機体はイレギュラーであり、テスト条件やエンジンの状態などで、たまたまそういう結果になったということでしょうか?
あちゃ
- 一速と二速の全開高度の差が広いと谷間が深いということになりますが、それで有名なBMW801Dの全開高度は一速S.L.(海面高度)、二速5180mですね。
DB601NやDB605Aも全開高度の差が広いのですが、フルカン(トルクコンバーター)付き過給機なのでそれほど問題になってません。
ほかに排気タービン・インタークーラー(又はアフタークーラー)・水メタ噴射などがあると谷間は緩やかで済みます。
あとは1355番のトピックでも言及したんですが、エンジンの装備の仕方によって特性が変わることもあります。
超音速
- 回答ありがとうございます。
エンジン一つにとってもとても奥深いものなんですね。
とても勉強になりました。
あちゃ