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初歩的な質問ですが、ヘリコプターの進歩についてご教示願います。 1964年に富士山頂へレーダードームを運んだシコルスキーS62のペイロード(可搬量)は、NHK番組『プロジェクトX』によると1気圧で600sだったそうです。 現在、同じ大きさのヘリのペイロードはどれくらいでしょうか? PIAT |
- 同じ大きさというのは何の大きさでしょうか?
機体重量・機体寸法・エンジン出力といろんな比べ方がありますが。
超音速
- 自重が同じぐらい(2トン台半ば)で最近の機体はエアバスヘリコプターズH155やH145、ベル412EPなどがありますね。
貨物搭載量はだいたい1トン強で、吊り下げ輸送は1.5トン程度まで可能ってとこです。
もっと詳細なデータが欲しければ各メーカーのWebサイト等を見てください。
富士山レーダードームの時は装備や燃料を可能な限り減らし…という運用をしたと思いますが、現代ではエンジン・トランスミッション共かなり余裕をもって作られており、エンジン制御もデジタルなので高地運用の際のセッティングも簡単です。
超音速
- 超音速様 早速回答をいただき、ありがとうございます。
私はヘリコプターのことは無知で、大きさの基準がわからないのです。
自動車にはエンジンの排気量というわかりやすい基準があり、同じ排気量2000ccの車でも、50年前と現在では性能が段違いです。
ガスタービンエンジンには排気量という概念はないと思いますが、ヘリコプターの性能の向上がわかるような基準を教えていただければ幸いです。
PIAT
- ヘリの発達をわかりやすくって主旨でしたら、たとえば
・ベルUH-1(モデル204に始まり最新は412EPI)
・ヒューズOH-6(現MDヘリコプターズMD500シリーズ)
・シコルスキーCH-53(最新型はCH-53K)
これらは半世紀にわたって発展をつづけており、それぞれ初期型と現行型をくらべてみるっていうのはどうでしょうか?
ちなみにヒューイシリーズに単発機がなくなったためイーグルヘリコプターズ イーグルシングルというベル212を単発化(エンジンはT5317A/B)した改造機が発売されており、これも比較対象に加えるとおもしろいでしょう。
ガスタービンエンジンですと同じく半世紀にわたるシリーズとして、
・ライカミング(現ハネウェル)T53
・プラット&ホイットニーPT6
・アリソン(現RR)250
などがあります。最新型は初期型の2倍以上の出力となっております。
超音速
- 超音速様 くわしい情報ありがとうございます。
最近、「空飛ぶタクシー」が話題になったのですが、実用化の可能性を考えたとき、ヘリコプターがどれくらい進歩したのか知りたくて質問させていただきました。
PIAT
- 同じ問題に関心があります。
原理的な不利を技術的に解決できるのか。
このことについては、昔の予測ではありますが、「飛行の神髄」講談社α文庫 加藤寛一郎
P.39
P.58
P.62
P.73
P.105
が参考になるかと思います。
ヘリコプターの性能向上には原理的な限界があること(だからオスプレイになる)、同時に現在の高コストは非効率な運用システムによるので改善の余地があることがまとまっています。
ただし、ドローンについては述べていません。
管見になりますが、ドローンからの発展系は、
・ローターが小さいことの原理的な不利
・テイル・ローター・ボルテックス・リングによる失速墜落事故リスクがないか少ないという原理的な有利
・小レイノルズ数で発展してきたので、開発者が高レイノルズ領域に詳しくなく計画をブチ上げた可能性
(コスト無視の空飛ぶ白バイではなく、低コスト化が必須なものに限る)
であり、さらに、現在の制御技術(ヘリコプターにもドローン発展系にも共通して使える)により
・無人化(パイロット分のペイロード節減)
・航路の自由度大、ドア・トゥ・ドア化
・前項による(準)全天候性付与
によって輸送コストを下げう得るか、といったところが焦点かと思います。
レイノルズ数については同じ著者の「隠された飛行の秘術」が、輸送コストについては「鳥と飛行機どこが違うか」が参考になるかと思います。
千葉市の特区の計画案だとレイノルズ数について述べていないので、ここがネックになるのではないか、と個人的には考えています。
ドローンは制御機器やカメラの小型化のお陰で、昆虫や小鳥レベルの10の3乗か4乗あたりまでを美味しく使えるから良いのであって、実機レベル10の6乗では厳しいのではないかと。
10の5乗というのは過渡領域で、だから多くのボールスポーツはここに属するといった話が「隠された飛行の秘術」にあります。
鳥でも、平均的にわずかに軽い(重複もする)ハシボソガラスは小鳥と同じ翼を畳んだ砲弾飛行を行うが、わずかに大きいハシブトガラスは行わない、というぐらい微妙なので、ここを乗り越えるのはけっこう大変ではないかと。
オスプレイ形式にすると翼幅が必要になり、多葉化(100年前ですね)すると干渉が・・・というその先には何か希望があるのかもしれません。
六
- 空飛ぶタクシーとはつまり人を運ぶ電動ドローンで、いくつかの企業にプロジェクトがあるみたいですね。
ロビンソンR22のエンジンは約130hp(約100kw)なので、二人乗りヘリコプターならこれぐらいの出力が必要になるのですが、日産リーフのバッテリー容量は40kwhだそうで、100kwのモーターを回し続けたとすると単純計算で24分間しかもたないことになります。
実際は力率や効率でどんどん割り引かれることでしょう。
電動ヘリコプターは現在の技術では航続時間は数十分単位ということになりますので、どんな用途で商用化するかの問題ですね。
時代が進めば全固体電池などバッテリー性能の向上が期待できると思いますが。
ドローンで一般的な複数の小型ローターで飛ぶ方式はマルチコプターといい、ふつうのシングルローターヘリより空力効率で劣るとされます。
いろいろと画像や動画を見るに実に様々な形態が構想されてますがシングルローターはほとんど見当たりません。
モーターは高回転数のほうが出力重量比が良好になるそうですので、回転数の高い小直径ローターを多数並べる方がいいのだと思います。
一方電気的な効率は大容量モーターの方が良好らしいのでローターの大きさと数のバランスは最適な所を考えるのでしょうね。
固定翼と組み合わせたりローターをダクテッドファン化するなどの工夫もみられますが、こうしたデザインがとりやすいのもマルチコプターならではといえます。
超音速