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漠然とした質問で申し訳ありません、日本軍機のスペックを見ると、欧米機などに比べて数割軽量な割には空冷エンジンの馬力も大きいと思います。しかし、その割には「疾風や紫電改ならF6Fとタメorいやいや負けるね」「三式戦はP-40とタメ」みたいに、重量比出力の大きさが出ているとは思えません。 これはエンジンの出力が必ずしも額面どおりでは無い事にも加えて、プロペラの空力性能が劣っている事も一因なのでしょうか。 特にFw190、P-51などは、やや貧弱な出力に大しての重量の大きさに比べて素晴らしい性能と言わざるを得ません。 パンジャンドラム |
- 水冷の三式戦も上げてしまいましたが、これにしても同じです。三式戦(丁除く一型)とP-40なら馬力はそう負けていないのに、機体重量でだいぶ違う様です。
欧米と日本のプロペラの性能についての考察を知りません。
素人考えでは、敵のプロペラに優れた空力性能があったと思ってしまいます。
パンジャンドラム
- まずはこちらの過去ログをお読みください。
http://www.warbirds.sakura.ne.jp/ansqn/logs/A004/A0000931.html
超音速
- 超音速様 回答ありがとうございます。
上記リンクの中で超音速様とBUN様が仰る、性能とは計画値や条件の異なる試作機のデータである事が往々にしてあり得る話というのは理解できます。
しかし、 P-40と三式戦がタメ、とかこういった話は日米当事者の実際の体験談の類であり、正真正銘の実戦機に基づいた話だと思われます。
だいぶ軽量な飛燕がP-40とタメと評されたり、日本機より数割増しの重量のFw190やP-51が審査部に極めて高評を以って迎えられたりと、機体仕様を考えれば日本機が振るっていないのは遠からず事実だと考えています。
そこでFw190とかP-51は、基礎設計の優秀さに加えて、プロペラ性能が馬力不足を補って余りあるのではないかと疑って質問しました。
パンジャンドラム
- プロペラに関してはこちらの過去ログで
http://www.warbirds.sakura.ne.jp/ansqn/logs/A004/A0000737.html
http://www.warbirds.sakura.ne.jp/ansqn/logs/A004/A0000751.html
超音速
- >>4 申し訳ありませんが、日本のプロペラの空力性能につきフォーカスして質問しています。特にプロペラ直径や枚数・形状など一見で分かる要素ならともかく、プロペラ翼型なども劣っているかを私は知りません。
Fw190もP-51のプロペラの平面形状や枚数も全く別物のところから察するに、プロペラ翼型においての検討を更に必要としています。
パンジャンドラム
- 失礼、日本のプロペラの空力性能と欧米諸国の比較にフォーカス、です。
日本にも長い4翅プロペラから短い3翅プロペラ、はたまた6翅プロペラまで試しており、やはりそこのあたりは欧米同様に一通りやり切った感はあります。
となると他に空力的な面で何かしらの遅れがあったのではないかと疑っています。
プロペラの推進効率にはプロペラ翼型も大いに影響する筈ですから。
しかし上記の様に、変速機構(迎え角)や平面形状などにフォーカスした解説が専ら主流となっており、プロペラ翼型にフォーカスしたものは寡聞にして知りません。
やはり直径や枚数、変速機構で納得しない私が間違っているのでしょうか。
パンジャンドラム
- >変速機構
変節機構ではないですか?
プロペラの話は一旦置きます。
米軍機のエンジンの場合、戦闘緊急出力で物凄いパワーアップするのです。アリソンで1400HP、パッカードマーリンで1700HPぐらい出ます。
日本機も戦争末期には戦闘出力の設定ができますが、米軍機のそれには全然かないません。
Fw190の場合、全開高度に注意してください。BMW801Dシリーズは1段2速で1速が海面高度、2速が5180m〜5600mです。全開高度の谷間が弱点なのは有名な話ですね。鹵獲機をテストした英軍も気づいています。
荒蒔義次氏によると戦局の厳しいなか大急ぎでテストが行われたそうですので、この弱点に気づいたでしょうかね?
超音速
- >>7 癖でしょうか、つい変速機構と書いてしまいます。
Fw190の出力の間隙は存じておりますが、しかし米海軍のレポートではそれを感じさせないが如くの善戦っぷりを示しています。
http://www.wwiiaircraftperformance.org/fw190/ptr-1107.pdf
本来、Fw190の仕様なら、日本じゃ明らかに馬力不足まっしぐらです。とてもではないですがコイツら米海軍と比較はおろか、重戦としても落第点を頂戴するでしょう。
素人目には、プロペラか?、と勘ぐってしまいます。
しかし、プロペラの解析とか出来ませんし、かといってプロペラの情報が少な過ぎますし。
パンジャンドラム
- 私の知る限りで、プロペラ効率に具体的に言及したものは、疾風のプロペラ効率が660km/hで76%とするものです。
ウィキペディアに書いてあった奴です(笑)
情報の乏しい時代でしたのでね、もはや日本機は勿論欧米機などもプロペラの空力に関する定量的な情報は途絶したかのような諦観の境地です。
最近はFw190は「実は全然凄くなかった」などとして批判される向きにあるような気がしますが、日本機慣れ親しんだ私からすれば、「逆にその仕様でよくあそこまでの性能が出せたな」としか思えません。
パンジャンドラム
- プロペラの話をしますと、米軍機の場合ハミルトンスタンダード製プロペラの性能が際立っておりまして、P-47ではカーチス製プロペラの装備機はハミルトン装備機に対しわずかに性能が劣ったそうです。
同じくハミルトン装備のP-51Dに対しP-51Kが装備したエアロプロダクツ製プロペラは同じく性能が若干劣り、さらに振動などもあって悪評でした。
ハミルトンプロペラの特徴は付け根から先端近くまで幅広としたパドルブレードとよばれる形状で、高性能のかわりにやや重いようです。カーチスもエアロプロダクツものちに同様のブレードに改良しました。
超音速
- 荒蒔氏がFw190を褒めたのはコクピットレイアウト・視界の良さ・操縦性・離着陸性能のよさ・電動機器の質の高さといったところですね。性能に関しては「日本でもこのていどの性能の飛行機なら・・・」と言ってて、性能自体は格段に褒めたわけではないようです。
超音速
- >>20 P-47のプロペラの件は有名ですが、P-51の件は知りませんでした。
しかしこうした「性能が上がった」の類の話で、やはりプロペラ効率など深入りした情報にはアクセス出来ません。ましてや後発のP-47ではなく、戦前戦中を通して、プロペラの空力理論は各国どう発達していったか?など、構造や機体空力ではしっかりしている解説が、プロペラの領域では未だ確立されていない状況です。
>>21
率直に言って、あの仕様でタメを張れるのが日本機の考えでは信じられないのです。
「この程度の飛行機なら…」は私も同意です。しかし、この程度とはFw190の馬力不足の仕様では達成出来ず、疾風といった軽量大馬力の仕様で達成できるものですよね。
Fw190の様な仕様で作ったら、どう見てもあの性能を再現出来る事が想像できません。日本機の基準で言えば6千まで8分はかかる様なレベルでしょう。
プロペラが馬力不足を補っていた感が強くて、どうも真相に近付きたいという思いがあります。
パンジャンドラム
- 「タメをはる」とはそもそもどういう意味なのですか? わかりません。
BUN
- >>13
確か、Fw190と四式戦でタメぐらいの評価を受けていた筈です。
Fw190の方が一見でアンダーパワーに見えますが、旋回性能以外の飛行性能において劣っているか互角の様です。
多分、Fw190の様な仕様で日本が作ったら、互角の戦闘機は作れないのではないかと思うのです。
パンジャンドラム
- ここでは細かい飛行性能の比較は本旨ではないと思い、タメをはるとか互角だとか敢えて簡単な記述に留めています。
もちろん要素要素で見れば四式戦が優っている部分もあるのですが、必ずしもFw190を上回るものではない様な印象を受けます。
馬力が低下しているだけだと言われればそれまでですが、本来なら軽量なボディに誉を積んだ四式戦がこの程度の評価に甘んじるのは、運転制限下であってもやはり振るっていないと感じざるを得ません。
もともと、世界が固定二翅プロペラでプロペラの空力性能も大した違いが無かった時代は、日本は96式や97式戦闘機といった世界水準を凌ぐ戦闘機を作れていましたが、プロペラの性能がトントンなら、日本の戦闘機設計技術はだいたいこの程度のものだったのではないかと思う次第です。
パンジャンドラム
- いえ、日本機・欧米機との比較は無しにしましょう。
対象がブレブレで質問がゴチャゴチャし過ぎていました。
対象を、欧米機 P-51 Fw190 日本機 四式戦 に絞ります。
Fw190、P-51は一見で四式戦からすればだいぶアンダーパワーに見えますが、実際の性能は全くアンダーパワーを感じさせません。
この二者のプロペラ性能が四式戦の76パーセント/660km/hを上回っているのでは?
よし、質問が纏まりました。上では質問を広げ過ぎています。プロペラがこの二者に劣っていたかを知りたいです。
パンジャンドラム
- P-51の高性能は層流翼とラジエーターダクトの推力?によるものという話はいまだに論争になったりしますが、これらはどのように評価してますか?
Fw190の高性能に関して世傑の鳥養氏の記事では、プレッシャークーリングと排気による冷却空気吸出し効果を利用したカウリング設計の巧妙さによるものとしてます。
低速全力運転時にカウルフラップを立てなくてよい方式はかなり有利と私は思ってます。
超音速
- 早合点というか、あるいは先入観を廃して、ちゃんと調べて行けば馬力荷重で殆どの答が出るのではありませんか?
BUN
- >>17
層流翼や排熱は兎も角として、極めて平滑な主翼や口の大きいラジェーターは確かに効力があるとは考えています。
しかし、重量の重さを補って余りある様には感じられないのです。主観的な話で申し訳ございません。
抗力が小さくても、アンダーパワーなせいでトロトロの上昇力だった飛燕を見るに、抗力を減らしても結局パワーウェイトレシオを大きく覆す結果とは思えないのです。
そこで戦闘機の「パワー」とは何か…
そう、>>18 BUN様、パワーって馬力じゃなくて推力ジャン、!!、って気がついてしまったのです。
戦闘機の指標としてパワーウェイトレシオ、あるいは推力荷重などよく重視されます。旋回も上昇も加速も、それあってのモノです。
推力で見たら実は全くその通りの結果になっているんではないかと思って、質問しました。
馬力が1割劣っても、プロペラで1割挽回していたら?、というわけです。
そこで四式戦の76%/660キロって、やっぱり低かったのか高かったのか、とか知りたいわけです。
パンジャンドラム
- 前提として、日本機は「馬力荷重が低い(良い)」ですよね?
往々にして、海外の同級戦闘機より1〜2割軽量な事が殆どです。というか日本機が軽すぎるんです。
そのくせ、加速や上昇でぶっちぎるかと言うと、互角かむしろ負けてるわけです。
日本機のパフォーマンスが低下し出す6千メートル後半以上でいつも空戦していたわけでは無いですし、低空ならむしろ日本機の方が条件としては有利です。
なんで馬力荷重通りに行ってくれないのか、もちろんその「馬力荷重」が実際は出せなかったからだよ、というのは重々承知しているのですが、じゃあせめてプロペラの効率なんぼ劣っていたかを知りたいというのが今回の質問です。
仮に10パーセント劣っていたら、馬力を1割損しているのと同じなわけですし。
クルマでいうなら、軸出力で見ないと比較にならないのと同じです。
パンジャンドラム
- >8.「米海軍のレポートではそれを感じさせないが如くの善戦っぷりを示しています。」
ちなみに米軍はFw190Aをテストする際、電装系や無線機をぜんぶ米製に交換して軽量化し、燃料も100/130グレードを入れて飛ばしたそうですよ。
超音速
- >>21
重量を見る限りですとそこまで大幅には軽くなっていない様です。過給圧も1.35ata/2400rpmとあり、これ見る限りですと全然イカサマではない様です。これはFw190の真実だと思っています。というかC3燃料でもリッチの時は130相当の対ノック性能らしいですからね。
正真正銘、もし日本機だったら完全に馬力不足な機体で、ここまでの善戦を引き出しております。
パンジャンドラム
- 馬力荷重ではなく翼面馬力を比較してみては?
おうる
- ドイツ側データの全備重量はFw社の出したもので、弾薬を半分しか積んでないそうです。米軍はこれに重量を合わせたわけですが、英軍の試験時より150kgも軽いのです。
特に高度25000ftで356ノットという数値は全開高度よりかなり高いはずなのに不自然です。
超音速
- >>23
翼面馬力は水平速度の指標にはなりますが、空戦では上昇や加速といった指標が戦闘機の評価を左右していると思います。
翼面馬力で見れば日本機と良い勝負なのですが、やはり馬力荷重で見れば負けています。
肝心の馬力荷重を覆せるとは思えないのですが。
覆せるとしたら馬力荷重という見方が間違っていて、推力荷重で見るべきところを見失っていたのがこれまでだったのではないでしょうか。
しかし一向に調べど、プロペラ効率に関する解説は一切出てこないのが現状です。
日本機のものとしては、雷電の振動対策でプロペラ効率の低下を偲んで固有振動数を変えたというネガティブなものが一つ出てきたぐらいです。
情報が無いと言うことはやはり大した研究もしてなかったんじゃないかとさえ思ってしまいます。
パンジャンドラム
- こちらもどうぞ。かなり前の過去ログですが
http://www.warbirds.sakura.ne.jp/ansqn/logs/A004/A0000442.html
P-51のプロペラは先端速度が速く設定されていて低中速で有利としているところが特徴です。
高速域での圧縮性の影響をパドルブレードの特性によって抑えられるのです。長いブレード長でありながら高い剛性をもっているのがハミルトンプロペラのすごいところです。
標準的なブレード形状は根元から4分の3ほど外側の位置で最も幅広くなった楕円形状です。4分の3位置が最も効率がよいからです。
高速域での効率じたいは、ふつうの楕円形ブレードのほうが良好です。
キ84のプロペラ直径は3.0mとする資料がほとんどですが、実際は3.1mに拡大していたようです。
プロペラ効率は75%ぐらいなら普通。良ければ80前後、悪ければ70前後といったところですね。
効率の低下を忍んで〜という話なら英独でも木製プロペラを使用したりとかありますけどね。
超音速
- >>26
うお、ありがとうございます。75%で普通なのですね。良ければ80パーセントということは、P-51とかはその程度あったのでしょうか。
また80パーセント台後半や90パーセントといった値は当時の実用化では不可能ということでしょうか。
また四式戦のプロペラは米軍の鹵獲調査で3.1mとありこれで決まりのような気がします。私自身の考えとしては、短いプロペラでも効率は悪くないと考えています。
Fw190の様なケースもありますので。
私的には、平面形状も大事ですが、本質的にはプロペラ翼型がキモではないかと予想しています。翼型の種類ではないですが、彩雲偵察機で、翼厚比の小さい薄いタイプに変えたら10ノット上がったとか、スピットファイアでも似た様な話を聞いた記憶があります。
パンジャンドラム
- 彩雲のプロペラ翼型変更で10ノットは、確か雷電と似た様な振動問題で、「本来のプロペラに戻れて改善された」の話だった様な。
ともあれ、プロペラも一応「翼」なのですから、揚抗比が優れていたり優秀な特性の翼型をプロペラに使う事が出来れば、当然性能は上がると思うのです。
平面形状では様々な形を各国とも取っていますが、平面形状の違いでは低速で有利高速で有利分かれると思いますが、翼型の洗練はどちらかと言うと低速から高速まで広いレンジでのプロペラ性能改善を見ると思うのです。
あとパドル型という平面形状を取ることによって、相対的に薄翼型になっていたりということも考えられますしね。
パンジャンドラム
- この時代のプロペラ翼形はクラークYが一般的です。下面が平らなのでピッチ角の測定に便利だからです。
NACA4桁を使うことも多いです。NACA5桁・6桁、いわゆる層流翼は失速特性の理由でプロペラ翼形に使うのは難しいです。
臨界マッハ数の高い翼形を使えればいいんですが、スーパークリティカル翼ができ始めるのは1950年代以降の話ですから。
超音速
- >>29 ありがとうございます。
えーー、まさかのクラークYですか…(驚き)
クラークYなんて古い翼型を使っていたのですね。実戦機においては日本ですらとうに使っていない様なものなのに…。
クラークYの揚抗比は当時の日本の主力翼型、MACやNN翼型の多くと比べても、下から数え上げた方が早いでしょう。
プロペラ翼型は欧米とも大戦中後期(Fw190、P-51出現以降)においても、クラークYを使っていたということでしょうか。
一般的ということは例外もあるわけで、P-51もFw190も多数生産されようともカウント数としてはあくまで1カウント(1機種)ですから例外に分類されてもおかしくはないわけです 。
パンジャンドラム
- 失礼しました、クラークYしか目に入っていませんでしたが、NACA4桁を使う事も多いのですね。
NACA4桁なら当時のオーソドックスな翼型なわけで、実用性能としては十分です。
日本機がクラークYさえ使っていなければ、劣る様な事はないでしょう。
四式戦なんかはプロペラにクラークYを使っていたのでしょうか。
パンジャンドラム
- 個々のプロペラ翼型については情報をもっておらず回答できないのですが、
主翼とプロペラ翅とではレイノルズ数も違いますし、クラークYが主翼に使われなくなったのはマイナス仰角(背面飛行)時の特性やモーメント係数などが理由です。
それらの理由はプロペラ翅に使うには問題ではなく、クラークYの揚抗比と失速特性じたいは良好なものです。
フルフェザリングプロペラやリバースピッチプロペラになってくるとまた別の特性が求められるかもしれませんが。
超音速
- >>32
クラークYは、古い翼型なので揚抗比の面でも後発の翼型の方が色々な面で改良されていると思うのですが、違ったのでしょうか。
私の認識としては、下面が直線である事で加工しやすい、翼型としては下面が直線というのは必ずしも理想形では無いと思うのですが。
もともと高速化によって性能が後発翼型に取り残されつつあった事に加えて、捻り下げが一般的になって来たことが決め手で、実戦機の主翼翼型としては完全に旧式化しています(捻り下げによって、主翼下面が平面を成せなくなった為、加工しやすい利点を喪失した)。
ですがプロペラ翼型としてはまた評価が違ったのは知りませんでした。
この場合、クラークYを採用して劣る、というよりは、それ以上の優れた翼型を採用した方が優れる、と言うべきですね。
この場合、敢えてクラークYに代わるプロペラ翼型を選んだ機体が、「この後発のプロペラ翼型が勝る」として採用したわけですから、プロペラ効率としては高くなるのではないでしょうか。
また、同じクラークYでも、薄い翼型の方が臨海マッハ数が高く性能上有利です。
この点まだまだ解明の余地はありそうです。
高速回転体たるプロペラを物理的に薄くするのは限界がありますから、コードを長くとって相対的に翼厚比を下げるしか無いわけで、Fw190や新司偵の様に、一見幅広で誘導抵抗が大きそうなプロペラ平面形が意外と善戦した理由なのかもしれません。
パンジャンドラム
- チャートを見てもらえればわかるのですが、クラークYより後発の翼型は揚抗比を向上させたわけではないのです。
クラークYのモーメント係数は低い迎角で大きくマイナス、つまり高速で飛ぶと強い頭下げの力がかかるのです。そのため水平尾翼の負荷が大きくなり、したがって飛行機全体として揚抗比が悪くなるという欠点があったのです。
P-51は前述のとおりプロペラ先端速度を速くしています。かつ直径が大きいことで進行率(J=V/nD)を小さくしてます。660km/hでの進行率はP-51で2.26、キ84は2.36ですが、進行率とプロペラ効率の関係曲線はこのあたりで落ち始めるため、P-51のプロペラ効率は高速でも高いと言えます。
超音速
- >>34
その代わりにプロペラの対気速度は、プロペラの回転と機体の進行速度の合成ですから、プロペラの回転速度も高くそして機体の対気速度も高くとなると、やはりプロペラの対気速度としては極めて高くなるでしょう。
臨界マッハ数の優れる優秀な翼型を使用していたのではないかと思うのです。
パンジャンドラム
- 660km/高度5000mでの先端速度はキ84がマッハ0.98、P-51がマッハ0.95です。
層流翼は臨界マッハ数が高いといわれますが、それは低い迎角の時です。常に高い迎角を使うプロペラ翅に層流翼型を使ってもあまり意味はありません。
高い迎角でも臨界マッハ数の高い翼型は当時はありません。
高い剛性を保持しながら薄翼化で臨界マッハ数を高めていると思います。
ハミルトンはプロペラ翅に鋼製中空構造を実用化していますが、エアロプロダクツは従来どおりの鍛造実質アルミ製でした。性能差が出たのはこのあたりに原因がありそうです。
超音速
- 間違えました。
「660km/高度5000mでの先端速度はキ84がマッハ0.95、P-51がマッハ0.98」に訂正。
超音速
- 納得されているならもう既にそれで結構ですが
日本機の「実際に発揮できた」出力等々を考えると、プロペラ効率云々もまああるでしょうが、そもそも
「馬力でてねえ」
が根本にあると思いますがね。
上昇力等もほぼほぼ性能なみ、あとは十分な整備をした機体が十分な数で有利な態勢から戦闘に入れたか、
という点が一番違うような
とおり
- いえ、単に所用で返信遅れました。申し訳ありません。
>>36
「臨界マッハ数の優れる優秀な翼型」には当選薄翼型も包含したつもりです。P-51はプロペラの形状からも薄翼化の観点で日本軍機より良かったと想像します。
>>38
馬力が必ずしも定格通り出ていないのは確かに事実ですが、プロペラの性能不足がもしあるならば効果は重複するわけです。
例えば、日本で、P-47がプロペラ変えたら性能上がった!、みたいな話が無いんですよねぇ。雷電や彩雲みたいに振動問題でプロペラ効率の低下を偲んだというネガティブなものが出るばかりです。
ドイツもVDM方式を開発したりと後発なりの航空機先進国ですから、プロペラの技術蓄積も高いと思われます。むしろ欧米の後追い何の実績もない日本がどうやってこれらの理論を応用出来たか、を考えると厳しい面もあるのではないかと思います。
パンジャンドラム
- ちなみに、ここ2日間離れていた間に面白いものを発見しました。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsass1953/4/30/4_30_178/_pdf
ここによると、初期に開発された層流翼型であるNACA iシリーズは、主翼翼型としては不適だがプロペラ翼型として適していると証明された、そうです。誰によってかは知りませんが。
プロペラ効率がどれぐらいなら「良い」のかも調べていくと、よく設計されたもので80〜85パーセント程度で、先進国の後発組のP-51やFw190はおそらくその高い部類の近いところにいるのではないかと思います。
四式戦の76パーセントというのは660キロという速度の高さ(プロペラ翼端速度は超音速様が出してくださったもので極めて高い事がうかがえます)を考えればまだ善戦していると思いますが、余剰馬力がほとんどない660キロよりも、500キロぐらいでの推力こそが四式戦にとって重要ですから、そのあたりの性能差も効いてくると思われます。
パンジャンドラム
- クラークYより優れるプロペラの翼型は、確かに存在はするようです。
パンジャンドラム
- 備忘録ならばご自分のノートに書かれては如何かと思いますが。
通り
- >>42 そんなつもりでは。層流翼は一般的にプロペラ翼型に適さないとされてきましたが、プロペラ翼型としてクラークYより優れる層流翼型は存在したということを>>36もある手前伝えておくべきだったと勝手に判断したまでです。
因みに通り様は日本機のプロペラ効率をどう考えておられますか?
パンジャンドラム
- 個別のプロペラ翼型が何なのかお互いに確証がない以上は議論を進めても不毛だと考えます。
この場で結論を出すことにこだわらず時間をかけて確証を探すということで如何でしょうか。
超音速
- 情報を見つけました。P-51のプロペラ翼型はNACA2409-34が使われ、速度350mphにて効率87%だそうです。情報元はこちら
https://www.nasa.gov/sites/default/files/atoms/files/power-for-flight-tagged.pdf
40.で言及されたNACA16シリーズが使われるのは戦後のようです。
キ84のプロペラ「ペ32」の翼型もわかりませんしデータも足りないので(比較するには速度が違う)、
どちらが優れているとかダメだとかいう判定ができるかは何ともいえませんね。
超音速
- 返信遅れて申し訳ありません。
四式戦のペ32型プロペラの詳細仕様を探りましたが、私程度では無理でした。
ただ、その過程において高度馬力などを英文資料(全てww2aircraftperformanceに依ります)やはりP-51やFw190の飛行性能の秘訣の一端は少なくともプロペラにあると見て良い、程度の確信は持てました。
パンジャンドラム
- イギリスのビル・ガンストン氏がプロペラの解説書を書いておられるようですが、和訳はないようです。かなり複雑な設計とのこと。
参考になるか分かりませんが。
私も読んでみたいですが残念ながら英語からきしです。
茶
- http://www.warbirds.sakura.ne.jp/ansqn/logs/A004/A0001144.html
過去ログがありました。
超音速